NJドローンについてのトランプの声明
ホワイトハウスの報道官が、ニュージャージー州その他の上空を飛んでいるドローンについて、「FAA(連邦航空局)によって承認されており、それらは敵対的なものではない」と発表した。
この発言をめぐって早速ウェブ上では大きな反応が起きているが、まずは冷静にメッセージの中身を検討したい。
この動画の8分00秒あたりからの発言:
注目すべき点がいくつかある。
(1)このコメントは報道官のブリーフィング冒頭で大統領からの声明という形で発表されたもので、質疑応答の中で出てきたものではない。これはトランプがドローンについて発表するという約束を守ったというアピールであると同時に、質問を封じる意味もあったと思う。事実、この声明は他のさまざまなテーマ(主に移民問題や経済問題)に埋もれてしまい、この声明に対する当然の疑問(これまでのFAAによる発表との矛盾や、「その他のさまざまな理由」とは何なのか、といった)を指摘した記者はいなかった。
(2)ドローンは「FAAによって飛行が許可された」と述べているが、ドローン飛行の主体に対しては明言していない。「その多くは」「趣味のドローン」であるとしても、それ以外のものについては明確な言及がない。
(3)「敵ではない」というメッセージは、トランプ政権が一部のUAP開示推進者が主張しているような「偽旗作戦」(自国が他国やテロリスト等からの武力攻撃を受けたかのように偽装して戦争を誘発させる作戦)の方針を取らないことを意味する。ルー・エリゾンドやクリス・メロンなどの人々は、UAPが「国家安全保障上の脅威」であるという観点からディスクロージャーを求めているが、そのようなレトリックは(少なくともNJドローンについては)採用されないことを明言した。
自分の見立てでは、トランプは国民に対して「正体不明のものが空を飛んでいて、政府はそれに対してどうすることもできない」というメッセージを発したくなかった。つまり、UAPという言葉を現時点で使いたくなかった。
移民問題や経済問題など重大な国内問題が山積する中で、とても今UAP問題に本腰を入れて取り組めるような状況ではないから、「ドローンについては(とりあえず)これで終わり」という態度を取りたかったのだと思う。
だがこれは、トランプ政権がUAP問題に取り組むことを放棄したことを意味しない。以前も述べたように、政権の閣僚はUAP開示派で占められており、彼らは現在出てきている内部告発者たちと接触し、真剣に耳を傾けているという話があちこちから入ってきている。
トランプ政権が公にUAP問題に取り組み始めるのは、現政権と(あまりこの言葉は使いたくないのだが)「ディープステイト」との闘争の中で、トランプにとってこのカードが有利に使えると判断した時になると思う。
取り急ぎ現時点での私見を述べてみた。
追記:
先日「UFOファイルを開示せよ」とツイートしたチャック・シューマーが、「連邦政府の補助金と融資を事実上すべて停止するというトランプ大統領の決定は、無法かつ破壊的で、危険かつ残酷である」という声明を発表したことに対する意趣返しではないかという気もしてきた。
トランプはそういう個人的感情で動く男だ。本質的に危険な存在である。
UFO機密開示を行わないままで終われば、史上最悪の大統領と評価されることは間違いない。