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お飾りを考える:老化が憧れだった時代

 昨年末は慌ただしくて、訳もわからずしめ縄を作り、お飾りをつけまくってなんとか自作正月飾りを玄関に飾る事ができた。年も明けたので、ここらでしめ縄に付いているお飾りは何なのか調べてみた。なんとほとんどが長寿と子孫繁栄を願うものだった。

・海老:
長いヒゲや曲がった腰が翁を思わせるため長寿を表す

・ウラジロ:
葉が垂れ下がるシダの様子から「齢垂る」と掛けて長寿を表す
白い色から「白髪が生えるまで」「清廉潔白」、左右対称であることから夫婦円満を表す

・橙:
「代々」に通じることから子孫繁栄を表す

・ユズリハ:
新葉が育つと古葉が下がり譲る形になることから「事業繁栄」「子孫繁栄」を表す

・ホンダワラ:
実のような気泡がたくさん付くことから子孫繁栄や豊作を表す

・根引き松/根付きの松:
地に足が付く、成長し続けることを表す

・ヤブコウジ:
千両や万両に似ていることから「十両」とも呼ばれ、お金や幸運を呼び込む

・昆布:
「こぶ」の音が「よろこぶ」に通じる。広布(ひろめ)とも呼ばれ繁栄を表す

今年の正月飾り

 腰が曲がったり、ヒゲが伸びたり、白髪が生えたりという老化現象に見立てたものを縁起物として飾るのは、その時代にいかに長生きするのが難しかったかを表しているのだろう。昔の暮らしの過酷さに思いを馳せる。
 同時に、誰もが長生きをできるようになった高齢化社会に生きる私としては、むしろ子育てを終えたら将来世代に負担をかけないよう早めに召されるのが美徳と考えてしまう。
伝統的な正月飾りだけれども、さすがに自分の願いと逆のものは飾れない。 

私の願いは子孫繁栄だけで良い。
来年の自宅用の正月飾りは、橙、ユズリハ、ホンダワラ、昆布をメインに据えた飾りにアレンジしてみよう。

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