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五箇山の雪囲い〜振り返り〜
昨年(2024年)日本民家園の山田家でお手伝いした越中五箇山の雪囲いについて、あらためてまとめ。慣れない人が多かったとはいえ、30人ほどが集まって、ほぼ一日がかりの大変すぎる作業だった。
実際に五箇山では、現代でも雪囲いをしているのだろうかと疑問に思い、2017年に訪問した時の写真を引っ張り出してみた。訪問したのは4月3日だったので、すでに撤去されていた可能性もある。とはいえ、まだ雪が屋根に届くほど残っているところもたくさんあった。
拡大してみると、雪囲いの代わりに、透明の波板(トタン板のようなもの)で囲っている家が何軒か見える。また、ヨシズを立てかけたような部分もある。茅束の雪囲いがあるかどうかは、残念ながらはっきり写っていなかったが、もうないのかもしれない。
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以下は日本民家園で最初に五箇山の雪囲いを展示した時の記事からの引用。平成4年(1992年)に白川と五箇山に調査団を派遣し、その年初めて民家園に五箇山の雪囲いを再現したとのこと。
この山田家住宅のあった越中五箇山は、雪の多い地域で、年によっては4メートルも積もるといわれています。そのため11月から翌年3月頃まで、家屋敷が雪の被害を受けぬよう、また寒さを防ぐため、家の周囲に丸太や竹を支えに、旧山田家のいろりに暖まる見学者茅の束を巡らせます。この場合、その茅束の上部を少し開けて明りとりとし、入り口にはオダレという茅すだれを立て掛けます。このような雪囲いのことを、この地域では「カキ(垣)をする」といいます。
白川ではオダレをあらかじめ作ってから立てかけるようだが、五箇山では茅束を立て掛けて囲う、とも。白川と五箇山でも、少し違う。
今回(2024-2025年)民家園に再現した雪囲いの写真がこちら。
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大掛かりな作業だし結構力のいる作業なので、女一人ではとてもできない。村八分が死に直結する社会だったのだなと痛感する。何かと集団行動が苦手な私としては背筋が凍る思い。
昔の暮らしはサスティナブルで素晴らしかったなと思う一方、現代の暮らしは自由で素晴らしいなとも思う。
今訪問すれば情緒あふれる素敵な五箇山も、雪囲いが必要な時代に生まれていたら地獄だっただろう。