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朗読屋【塩の使い方 作:百裕】

作:百裕 朗読:いしもともり
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久々の朗読屋さんです♪
今回は百裕さんの【塩の使い方】
https://note.com/100kdvl/n/n308c5b539508

百ワールドをどう表現しようかと悩みましたが、できているかな😅

noteの音声は、私が思う百ワールドで読み、
スタエフはいつもの朗読風で読んでみました😆

☆スタエフバージョンはこちら♪
https://stand.fm/episodes/67492fe47c3f386490d32194

百さんはどちらがお好みかなぁ😆
ステキな作品のご提供ありがとうございました♪

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【本文】

20年ばかり前、趣味でビリヤードをやっていた。
 休みの日にはいつもビリヤードサークルの友人らと集まって遊んだ。大体いつも20人ぐらいいたように思う。
 日暮れまで遊んだ後は、近くのガストで食事をしながら延々語り合って、日付が変わる頃に解散した。店員にとっては随分迷惑な客だったろう。

 小川さんは、ドリンクバーでいつも洒落たお茶を飲んだ。彼がコーヒーやジュースを飲んでいるのは見た覚えがない。
 以前に一度、彼の提唱で数人集まって、中国茶の教室へ行ったことがある。
 教室と云っても淹れ方を教わるわけではない。ただ、これはこう云うお茶ですと先生が解説しながら淹れてくれるのを幾種類か飲むばかりである。最後に先生の奥さんが焼いたバナナのケーキをいただいた。お茶もケーキも随分美味しかったが、自分はそれきり行っていない。
 小川さんは随分場慣れした様子だったから、そういう場所へ常日頃から出入りしていたのだろう。それならお茶の微小な違いもわかるに違いない。全体、どこまでわかるか試してみることにして、当人が席を外した隙にお茶へ塩を入れてみた。ティースプーン4分の1ほどの量である。
 わくわくしながら見ていたら、小川さんは一口飲むなりカップを置いた。
「百さん、君か?」
「は?」
「君だろう?」
「何が?」
「塩だよ、塩」
「なんのはなしだね?」
「紅茶に、塩を、入れたのは、百さん、君だろうと訊いている」
 さすがは茶人であると感心したが、ここで正直に答えたってつまらない。それに小川さんは幾分殺気立っているようでもある。だから咄嗟に、「違う。長瀬さんだ」と答えておいた。ちょうど長瀬さんはトイレへ行っており、都合が良かったのである。
 後で考えると、お茶に対して塩の量が多かったらしい。

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