湯シャン女と鈍感男
ある日湯シャンをしてみようと思い立った。
ここで明確にしておきたいのは、私はどちらかというと湯シャン反対派である。
私はよくミニマリストに関するコンテンツを見るのだが、彼らの中にはシャンプーすらもたない人もいる。
それは流石に臭いんじゃない?という、半ば意地悪な気持ちから興味をもった。
なぜこんなにも湯シャンに偏見があるかというと、以前に湯シャンをしている人に巡り合ったことがあり、初めて人里に降り立ったイノシシのような匂いがしたからだ。
(しかし、その知人は私より幾分か年上だったので、「俺湯シャン始めたんだよ〜。意外と匂いとかも周りに指摘されなくてさァ」に対して、私はなにも返すことができなかった。)
湯シャンは臭いというのを立証したく、夫に「5/20週のうちどこかでランダムに湯シャンをするので、湯シャンだ!と思ったら指摘してほしい」とお願いした。
「それ俺になにかメリットある?」と言いながら、夫はしぶしぶ了承した。
そう、これは夫にデメリットしかないのだ。
湯シャンを当てた日には「おっ、やるねぇ」となるが、シャンプーをしたにも関わらず「今日湯シャンなんじゃない?」などと言おうものなら、とんだ無礼者である。
5月20日になり、せっかちな私は早速実行に移した。
スギ薬局から正しい湯シャンのやり方、という記事が出ていた。(大手薬局なのでそれなりに信頼性があるのではないかと思う。)それによると、38〜40度のお湯を5分程度当てるとのことだった。
5分。現代人にはあまりにも長すぎる。その上いざやってみるとあからさまに指通りが悪く、早々に後悔した。お風呂上がりにブラシを通した際も引っ掛かりを感じる。
しかし、想定外にベタつきは少なく、自分自身ではいわゆる頭皮っぽい匂いを感じなかった。ドライヤーをかけると別にいつも通りかな、といった感じだ。
その上、原理がイマイチよくわからないが、いつもストレートの髪がやんわりとオシャレな外ハネとなった。
いつも通り就寝前は夫にまとわりついたが、特に指摘されることなく、その日は終わった。
5月21日夕方になると、やはり頭がベタついてる気がする。最高気温が28度だったので、もはや湯シャンのせいか、そうでないのか分からない。
昨日の一件だけで湯シャンはバレないと決めつけていいのか分からず、もう一日湯シャンしてみることにした。
この日は寝る前に「(名前)の匂いがする」と言われたのでついにバレたかと思い、「えっ、臭いってこと?」と聞き返した。
「いや、いつも通り」とのことで、バレている様子はなかった。(もしくは私が日頃から芳しいのか。)
5月22日。だんだん疑心暗鬼になってきた。シャンプーをせず臭くないなんてことがありえるだろうか?スギ薬局を信じていいのか?
思えば、夫は匂いに鈍感だ。生ゴミを出し忘れ、「やっぱり結構匂いしちゃうね。袋縛ろうか。」と尋ねた時、「あ、そう?」と、異臭を感じていない様子だった。
掃除のために風呂場の排水溝を開けた時も、私だけがドブ臭さを感じていた。
この人は私が臭くなっても気づいてくれないんじゃないか?もしくは、気づいてるのに泳がせているのか…?
5月23日は(オンラインとはいえ)お客様との面談があるので、ネタバレの上、シャンプーをしようと思う。
5月22日夜、夫の帰宅後、「ねぇ、なんか気づくことない?」と面倒くさい女ムーブをかました。
夫は「えっ…なんかメイクがいつもと違う…?」と言いながら、私を上から下までサッとチェックした。
やはり、湯シャンはバレていなかった。
湯シャンをしても臭くないひともいる、と結論づけていいのか、夫が鈍感なだけなのか。結局分からずじまいだった。
湯シャン派の皆さま、疑ってしまいすみませんでした。
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