離島の郵便屋さんになりたい
「生まれ育った島」に戻って郵便屋さんをしたい。いわゆる限界集落で、住民の平均年齢は70歳。コンビニもスーパーも信号もない ーかろうじて診療所と郵便局はあるー 時代に取り残されたような島だけど、近年のブームで移住希望の若者もいたりする。元来のお節介な性格が災い(?)して郵便物の配達のついでに御用聞きをしたり、老人会のゲストとして会を盛り上げたり揉め事の仲裁をしたり移住者の世話をしたり、とにかく毎日忙しい。玄関前にお礼の野菜や魚がどっさり積み上げられているけど、野菜の種類や出来で誰が持ってきたものか判別するのを特技にしたい。島一番の長老に「この子のおしめを世話したのはワシじゃ!」と言われたいし、島育ちで年頃の女の子に訳あって街に暮らす母親からの手紙を届けたい(たまにこんな手紙いらないってキレられてもいい)。
いつも明るいお節介な私だけど、島に戻ってきたのには誰も知らない理由があって、ひょんなことから全てを知ってしまった診療所の医師と惹かれあいたい。この医師にも隠している過去があるのはまた別の話。
生まれ育った地がドラマチックなのってものすごいアドバンテージだと思う。田舎で不便で嫌だなっていう人もいるかもしれないけれど、生まれ育つところは基本的には選べないし、生まれた頃の自分を知っている人がいるのって意外と悪くない。それぞれだからむやみに羨ましいって言うのはナンセンスだけど。
あー来世は生まれ育った島の郵便屋さんになりたい。