何回生まれ変わればいいんだろう
大人になったらとか将来とか、色々未来の夢を思い描いてきたけれど、いよいよ三十路も板についてまさに今があの頃の「将来」だったのだと気がついた。
それなのにいまだに夢が多い。何かを始めるのに遅いということはないなんて人は言うけれど、さすがにもう無理なことばかり夢見てしまう。しかも怠惰な私はできるだけ努力せずに夢を実現したいのだ。こうなったらもう期待できるのは来世しかない。生まれた時から頑張ればなににだってなれるってもんじゃないのか。
いい感じに生まれ変われるように小さな徳を積んでいるつもりだ。行列に並ぶ時は無意識の割り込みをしないように注意深く周りを観察してから最後尾につくし、店で探し物がある時はまず自分で一生懸命探してどうしても見つけられない場合にのみ店員さんに助けてもらうようにしている。困ってそうな人がいればいつでも声をかけてもらえるように優しい雰囲気を纏ってそっと近くにいるし、お釣りがなくてもレシートは必ず受け取るようにしている(どうせすぐ捨てるのに)。今日も自意識過剰な徳を積んで来世に想いを馳せるのだった。