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1400メートルの謎

競馬のレースの中で好きな距離は? そんな質問があれば、僕は間違いなく「1400メートル」だと答える。
何が良いのかと聞かれたら、その「独特な中途半端さ」だと答えたい。スプリントにしては長すぎて、マイルにしては短すぎる。だから、スプリンターでもマイラーでもない、この距離が好きで得意な馬が生まれる。阪神カップを連覇したサンカルロはその好例と言えるだろう。

関東で1400メートルのコースと言えば、東京競馬場である。ここには芝もダートもこの距離が存在している。コーナーは1回、そして長い直線。シンプルでわかりやすく、かつ逃げに賭けても、末脚に賭けても、見所がある。また、東京のダートマイル戦は芝スタートであるため、1400メートルならば、より混じりけの無いダート勝負を味わうことができるのも大変よろしい。

僕がこのコースを愛するもう一つの理由は、「何度もこのコースにチャレンジしてくれる」可能性が高いということだ。勝ち上がって昇級した馬、夏になり降級した馬、そして、このコースが生命線だと信じて再びやってくる馬。
そんなカオスが漂う1000万円からオープン特別クラスは、特に興味深い。勝ちきれない者たちが集う、踊り場のような雰囲気が漂う。なんだ、またお前か。おう、久しぶりだな。パドックにいる僕がそう気がつくのだから、実際に戦っているものたちはより一層実感しているのかもしれない。

逆に1400メートル戦の悲しいところを挙げるとすれば、それは「スプリントやマイルでなかなか勝ってくれない」ということである。そう、1400メートルの魅力にハマってしまった馬は、なかなかそれ以外の距離に適応できないのだ。そして、1400メートルのG1レースは地方交流を含め、存在していない。

2017年のフェブラリーステークス、僕はカフジテイクとエイシンバッケンの単複勝負で挑んだ。自分は1400メートルで勝つ馬が好きだからこそ、この2頭を推さなければならない。悩んだ末に、最後は何とも単純な理由で購入してしまった。
残念ながら、そんな馬券が簡単に当たるほど、世の中は甘くない。

でも、僕の1400メートル熱は消え失せることはない。この日の最終レースは大島特別。そう、ダートの1400メートルの1000万クラスの一戦だ。シュテルングランツが人気に応え、僕の懐も少しだけ暖まった。そして、新しい馬がこの踊り場に来てくれたことを歓迎した。

10月9日の東京競馬場、再び彼はやってきた。春、シュテルングランツは準オープンのBSイレブン賞を勝ち上がった。しかし、続く欅ステークスはクラスの壁にぶち当たった。そして、夏を越えてこのグリーンチャンネルカップを迎えた。
どのレースも、府中ダート1400メートルである。

やっぱり、君もしつこいくらいココ狙っているな。パドックでの佇まいをぼんやりと確認しつつ、僕はためらいなくシュテルングランツの馬番をマークシートに塗りつぶした

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和良 拓馬
どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)