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ターニングポイント?

よもやの寝坊(!)で上柚木に到着したのは試合開始数分前だった。スタジアムへの緩やかな坂道を登り切り、息は少し切れていた。

いつもの常連さんを見つけ、隣に腰掛ける。ちょうど校歌斉唱が終わり、プレーヤーはピッチに散らばっていた。

散らばった各々を見て、すぐに気がついた。

「あれ、浜岸キャプテンが頭を丸めてますね?」

「そうなんだよねえ。今日はなんだか坊主が多いよ。藍好も坊主なんだ」

「えーっ、絶対に似合わない!」

メンバー表を片手に、該当する選手を照合してみる。やっぱりそうだ。今日は4年生が全員坊主になっていた。

関東大学ラグビーリーグも折り返し。中大ラグビーの「ホームグラウンド」こと上柚木陸上競技場にて日本大学と対戦した。

ここ数年の日大戦は中大ラグビー部にとって「ターニングポイント」となっていた。3年前の山北組はよもやの敗戦を喫し、これが中大旋風の終わりの始まりになってしまった。一昨年の桧山組も豪雨の中で土を付けられる。しかし、この敗戦を機にチーム体制を見直し、大東大戦や流経大戦といった名勝負を繰り広げた。

とは言え、今の浜岸組は「敗れて何かを得る」余裕があるチームではない。ここは何としてでも5年ぶりの勝利を持ち帰りたいところだ。

そんなシチュエーションは承知なのだろう。前半40分間の戦いはこれまでと比べると「マシ」になっていた。日大のブレイクダウンと強力なモールに苦しめられたが、中大も負けじとモールでお返し。お互いに2本ずつトライを取り切り15ー14の僅差で折り返す。

後半、日大は徐々にスタミナ不足に陥り、ディフェンスも散漫になってきた。こうなると中大のギアチェンジも効果的になる。スピードスター・SH住吉が素早い球捌きとランニングで縦横無尽に駆けめぐる。3トライとも彼の個性を思う存分に発揮したものだった。

途中までの緊張感溢れる展開はどこへやら。36ー14で中大が久々に日大から勝利を挙げ、大学選手権出場権争いに踏みとどまった。

勝ったとは言え、嬉しさは中くらいなり というのも本音である。流経大、大東大、そして東海大と戦うにはまだまだ「足りない」部分が多いからだ。特に前半の戦い方、ラインアウトの精度、オフェンス時におけるFWとBKの使い分けはもっと考えなければならない。強敵に「住吉ブースト」が通用するとは限らないのだ。

これらの課題を解決するためには何が必要か? それは「主力を驚かす存在」を生み出せるかに懸かっているだろう。

そして、その萌芽も見つけることができた。金子は後半からラインアウトのスローワーを務めたが、そつなく安定していた。住吉と共に投入された長田はペネトレーターとして大活躍。パントキャッチも地味ながらしっかりこなす。

個人的には長谷川に替わってスタメンに入った多賀に期待している。この試合でも1トライを奪ったとは言え、テンポ良い攻撃を主導できなかった点では課題が残る。だが、彼のような「4年生に挑戦する」存在こそ必要なのだ。これまでも「長谷川からの住吉」体制が壊れかけた時、それを大いに埋める存在が現れたものである。高崎しかり、加藤しかり……

酒井氏がHCに就任したのと時同じくして、入部したのがこの浜岸組である。彼らの思い、気合いは萎んでいないことは伝わってきた(光る頭部を見ればよくわかる)。

故に、そんな4年生をより燃え上がらせる存在もまた必要なのだ。彼らの存在が安泰ではないと、思わせてくれる存在が。

来月3日の流経大戦に向け、チームは1ヶ月弱の小休止に入る。この期間でどれだけチームが底上げされるのか。安定しているが少し淀んでいるこのチームを動かす、新たなスパイスの登場を僕は待ち望んでいる

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)