母への手紙「蒼鷺」を綴る 番外編 〜ミックスのこだわり〜
鈴木何某の3rdSingleとなる「蒼鷺」のMVが5月6日(金)にYouTubeで公開され、続いて22日(日)にAppleMusicやSpotify等の各種音楽サイトより配信開始された。是非、ダウンロードして聴いていただきたい。
本記事では、「母への手紙「蒼鷺」を綴る4 〜怒涛の11日間(後篇)〜」で書かれているボーカルトラック編集について、順序立てて具体的に綴ることにする。
01.ノーマライズ
レコーディングをしてきた音源(本作の場合、主メロ2本、予備主メロ2本、コーラス3本の計7本)をDAWに挿入しノーマライズをかける。ノーマライズとは、ボタン一つで音源データを音の割れない最大音量にまで上げてくれる機能のこと。ノーマライズをすることで声と一緒にノイズも一緒に音量があがるので次の「02.ノイズ除去」でノイズを見つけやすくなる。ノーマイライズが終わったら、一度7トラック分の音源を書き出す。
02.ノイズ除去
DAWでではなく、スタンドアローン(ソフト単体)でiZotopeRX9を立ち上げノイズ除去作業に入る。「Spectral De-noise」で録音はしているが歌っていない箇所のノイズの周波数を分析しカット、「De-click」でリップノイズの除去、「De-plosive」で吹かれ音の除去をする。終わったら保存。
03.プラグインをかける
DAWに戻したらここからプラグインをかけていく。
・Soothe2
・Sibilance
・RCompressor
・pro EQ
・PuigChild Compressor 660
・Auto Tune
04.波形の確認と結合
03でかけたプラグインの効果を確認するため、7トラック分を再度書き出し、もう一度DAWに挿入。とび抜けて大きい音量の部分はないか、逆にコンプなどがかかり過ぎていないかなどを波形を見ながら冷静に確認し、必要であればさらにプラグインをかけていく。また、不必要にバラバラにトラックを可能であれば結合しまとめ、トラック数を減らす。これは、後ほどオケのプロジェクトデータに移行した際、重くなるのを防ぎたいが為に行っている。
04.「AutoTune」のGRAPHモードで細かく調整
05.最後に出すぎた音域をほんの少しカットして完成
ここでのEQは-1.5db程を最大値として使用する。聞いた感じ問題なければ無理にカットせず「絶対に必要な場合」にのみ使用するのがポイントだ。
これが俺が今回行ったボーカル編集のすべてだ。8時間も費やしたが、作品を理想形にもっていく為には必須となる作業。手を抜いてはいけない最も重要な部分と言えるので、多少時間はかかってもこだわりをもって行うべき作業だ。
自分の声を自分で編集するメリットとしては、ストロングポイントとウィークポイントがはっきりとする為、自分の歌のどこを伸ばしてどこを改善すべきかがよくわかること。
ただ、これはあくまで編集が好きな人向けである。好きでなければ8時間もパソコンで細かい波形とにらめっこするなど考えられないはず。それでよい。ボーカルの基本は、自らの魂と身体を震わせ発する声なのだから。
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