激アツだった第2回THE SECOND
お久しブリーフ。
久々の投稿もすっかり板についてしまい、ダンディ坂野がすっかり味気ないものになってしまいました。
そんな体たらくな私を久々に筆を走らせてれる事にさせた第2回THE SECOND。第1回も素晴らしい興行でしたが、今年はさらにアツかった。去年以上の満足感だった。なので早速感想を書きましょう。
東西のお笑いフィクサー有田と東野の共演
開始早々我々お笑いファンを胸熱させてたのがくりぃむしちゅー有田と東野幸治の共演ですね。SNSでも「新鮮な組み合わせ」と呟かれてました。
50代になってもよりお笑い業界に精力的にアプローチしていく2人のフィクサー。東西のお笑いフィクサーと称しましたが、当の2人は「今、面白いぞ!」と感じた後輩芸人に対しては東西事務所問わず積極的にコンタクトを取っていく姿勢が共通してます。最近なら二人ともいち早く永野をターゲットにしてましたね。自分の中のイメージでは有田はプロデューサー、東野はディレクターって感じですかね。今大会を通じてお二人のお眼鏡にかなった芸人は一体誰だったのか。東野はタモンズ安部とガクテンソク奥田を気に入ってそう。有田はザパンチかな?
2年前の筆者の投稿。今ならさまぁ~ずから取って代わって東野を入れた方がしっくり来る。「東野幸治・くりぃむ有田・有吉・千鳥」
ダークホースだったタモンズとザパンチの千両役者ぶり
後出しになりますが、筆者の中で今大会のダークホースはタモンズとザ・パンチと思っていました。両者とも0か100みたいなハマり度合いの個性炸裂なキャラ漫才。その日お客さんのお口に合うか否か、やってみないと分からない。それぞれの対戦相手だったななまがり、タイムマシーン3号はここ数年で飛躍しファン数を増やしていった”今ノッテいる”2組だったのもあり、人気コンビvs不人気コンビという組み合わせ。ここで番狂わせが起きたら盛り上がるだろうなと期待してました。(・・・ななまがりが人気コンビ?)
まぁタモンズはお笑いガチ勢界隈で密かに注目されていたコンビではありました。マヂラブ、囲碁将棋をはじめとする今勢いのある「大宮セブン」のメンバーであり、唯一賞レースで爪痕を残していないリーサルウェポンとして期待値は高かった。よく言われる「爆発力」という要素も今大会の中だとタモンズこそが一番持ち合わせてるかなと思ってました。
そしてザ・パンチと言えば15年以上前に流行ったお笑い番組『爆笑レッドカーペット』でブレイクし2008年のM-1グランプリ決勝進出まで果たしていました。20代後半~30代のお笑いファン層には「懐かしい」と思わせるコンビです。今でも時よりM-1でのキャッチコピーだった「ラストチャッチャチャーンス」だけが面白過ぎてこすられる事もありますが、それを除くと完全に”過去の人”と化していました。セカンドチャンスを掴むのにピッタリな経歴。
2組が見事今大会をかき乱したわけですから、非常に満足です。
「テクニック」と「人間力」どちらが大事?
最近賞レースの審査員からの言葉でも良く耳にするようになった「人間力」。M-1グランプリでもマヂカルラブリー、錦鯉、ウエストランドと正に「人間力」で優勝をもぎ取った事でより一層賞レース優勝のカギとして取り上げられがちでした。直近の令和ロマンが「人間力」を上回る「知略戦略」でM-1を勝ちきった事で少し風向きが変わった感はありますが。
ただ結成歴15年以上の組しかいないTHESECONDでは泥臭い「人間力」の要素は誰しもがもっている部分であり、そこで差別化を図るのは結構難しかったするのかなとも思ったりしてます。ただ前提として「人間力」を発揮した上での戦いとなっているので、裏を返すと「人間力」を持ち合わせてなかった時点で負ける可能性がグッと上がりそうな雰囲気もあるTHE SECOND。
※「人間力」って非常に曖昧なので、とりあえず筆者的な解釈として「その人達がやるからこそ笑いになるネタ」って感じですかね。マヂラブ、錦鯉、ウエストランドのネタを完コピして同じ間合い尺でやっても全く受けないみたいな
今大会でその「人間力」より「テクニック」の方が前に出てきてしまい敗退したと考えられるのが、ラフ次元とタイムマシーン3号。とは言っても2組とも以前からこのスタイルだから、今回が特別テクニカル過ぎた、というわけでもないのが根本的にTHESECONDに不向きな芸風な気がします。なので正直筆者は大会前の勝ち上がり予想でラフ次元とタイムマシーン3号はおそらく1回戦で散ると予想してました。度々後出しじゃんけんで申し訳ない。タイムマシーン3号の方は対戦相手がザ・パンチで上述の通り0か100みたいな出来だと思ったので、0の方に転んだらタイムマシーン3号なのかなってぐらい。
ただここで手厳しいのがTHESECOND。「人間力」をもった上でさらに「テクニック」や「知略戦略」がないと優勝には僅かに届かないという事も第1回、第2回を通して感じさせてくれました。
第1回のマシンガンズ、第2回のザ・パンチは「人間力」こそ大会随一で決勝戦まで勝ち上がったものの、3本目の時点で燃え尽きていた。まだまだ引き出しがあったギャロップとガクテンソクはウイニングランっぽい感じで3本目をこなしてたのが印象的でした。
ベストバウトだったガクテンソク vs 金属バット
なんと言っても今大会満足だった理由の8割はココの対戦です。
本当に良いものを見たって感じです。大阪の劇場で何度も共演しており、プライベートでも交流が深い両者だったのでお互いの手の内は丸わかりだった状態での対戦でした。
まずは金属バットについて。第1戦のハンジロウ相手に危なげなく勝利。この時披露したのが「大阪交通安全カルタ」のネタ。このネタですがコテコテの関西臭、社会的なテーマの中にある治安の悪さ、小林の羅列スタイルのボケ・・・多くのお笑いファンが思い浮かべる金属バット像を分かりやすく体現したネタだなと感じました。掴みも友保が「お墓から出てきたあいみょん」とかなり大衆に寄せにいった感がありますし、3本の内の1本目と考えると名刺代わりに持って来いのネタでした。大会終了後もタラレバ妄想で1本目のネタをガクテンソクにぶつけていたらなぁ、という声もチラホラ。
ただ正直筆者の感想としては、今大会の金属バットのネタは2本目の方が圧倒的に好みでした。金属バットの1本目も面白かったけど、ガクテンソクの1本目がかなり面白かったのもあり、トーナメント1回戦が終わった時点では「この感じだとガクテンソクに喰われそう」とすら思ってました。トーナメント1回戦の中だと金属バットの点数が一番高かったのですが、「アレ?思ったより高いな。変なフリになりそうで怖いぞ」と一抹の不安があった筆者。
そして準決勝。先行はガクテンソク。「奥さんプーチンか?」とか、ねずみ講の件とか、漢字の件とか、どことなく金属バットがやりそうな件、言いそうなフレーズが散りばめられたような気がしました。「波で女で婆やぞ、どういう意味やねん」なんて友保のボイスで脳内再生余裕だもんな。
「金属バット対策してきてるやん・・・」と思った筆者はガクテンソクの用意周到ぶりに戦慄。後にガクテンソク本人達から「金属バット相手だったので自分達の中で一番強いネタをぶつけた」という証言がありました。金属バットがやりそうな事を先回りして潰しておくは筆者の憶測なので対策の詳細は分かりませんが、大方「金属バット対策」は練ってきてた様です。ちなみに今回のガクテンソクのネタ3本の中で筆者が一番好きだったのは1本目の「国分寺」のネタです。
以下はスポニチの記事を抜粋。
しかし後攻で応戦した金属バットは「料理」のネタを披露。1本目の様な”多くのお笑いファンが思い浮かべる金属バット像”のネタから少しズラした変化球ネタをぶつけてきました。筆者は小林が変なスイッチ入った時のネタが好きなんですよね。あの”キマッている”感じで危ない方向に突っ走っていく様子とそれに驚きおののく友保。
ただSNSでは金属バットの「死ね」や「子供いらない」のところがヒヤッとしたっていう感想がやや散見されました。正直筆者的には「?」でした。THESECONDを見る時点でそこそこお笑いにアツい人だろうし、それなら金属バットの存在と芸風は認知しているはずだから、今さら「死ね」や「子供いらない」に驚くってそんな事ある???って気持ちになりましたが・・・中々難しいですね。「知ってるけど、やっぱり好かん」ならまぁ仕方ないか。
金属バットは「えっ、それ笑いにして良いのか?」的なギリギリラインをついてくるのが醍醐味の一つなんですけどね。大阪のマナーの悪い運転手は笑い者にしていいっていう共通認識があるからこそ1本目はざわつく事なく笑えたって事なのかな。
まぁそんな批判云々はさておき、先行だった事を利用し金属バット対策の強いネタをぶつけてきたガクテンソク。それに対して1本目とは様変わりした雰囲気のネタをぶつけて応戦した金属バット。
これはもう見応えがありすぎました。強烈な問いかけに対してさらに強烈なアンサーはまるでフリースタイルダンジョンの様だった。今年お笑い関連で一番アツかった時間でした。筆者は金属バット好きなのもあり、ガクテンソクの仕掛けに対してしっかりアンサーがあった金属バットに軍配が上がると思ってましたが、結果はガクテンソク。めちゃクチャ悔しいけど納得は出来る。
ガクテンソクの用意周到ぶり
第2回大会を制し王者となったガクテンソク。上述であった金属バット対策もそうですが、とにかく「優勝するために」必要な準備を念入りに行っていた印象です。
そもそもですが、今回ガクテンソクが用意してきた3本のネタのカチカチぶり、かなりヤバくなかったですか?もう少し話題になってもいいぐらいに完璧な布陣だったと思います。3本全てがA面の様なラインナップ。金属バットとのベストバウトについて色々とアツく語りましたが、正直仮に金属バットがガクテンソクと反対のブロックで決勝でぶつかったとしても負けてたんじゃないかなと思うぐらいに今回のガクテンソクの3本は隙がなかった。
「強いて言うなら〇本目のネタは弱めだったから、その時にぶつかってたら勝てたかもなぁ」が取り分け見当たりもしない。マジで大人げないし可愛げないぞ!
予言者レベルに今大会の行く末を当てたスーパーマラドーナ武智のインタビューを是非ご覧あれ!
「テクニック」と「人間力」どちらが大事?のテーマでも述べた通り、THESECOND優勝に必要なのは「人間力」をもった上でさらに「テクニック」や「知略戦略」がある事。そんな事はどの賞レースに当てはまることですが、THESECOND特有のシステムのおかげでとりわけ「テクニック」「知略戦略」そして「場数」が如実に現れると思ってます。
THESECONDというお笑いショーレースの特徴としては以下の3点です。
①お客さん投票とライブ感
②対戦トーナメント形式。
③優勝までにネタを3本披露しなければいけない
①については第1回を終えた時点で審査員であるお客さんに向けて受けるネタをやる必要がある事、ライブ感が大事だというところが如実でした。第1回のマシンガンズは特にライブ感において強さがあった。そして第2回で際立たったのが②と③です。優勝したガクテンソクは②③が他組と比べて何枚も上手だった。いやっ唯一金属バットだけは②③で負けてはいなかった。1本目を名刺代わりの分かりやすさ重視のネタを披露してからの2本目で変化球なんだから「知略戦略」と「手数」は存分に発揮していた。いやっそういえば奥田が「”負けてない”はもう勝ってない」って言ってたな。
②について。ありそうで意外となかった対戦トーナメント形式のお笑い賞レース。近年のお笑い賞レースは全体で得点が高い上位陣が次の駒に進めるというルールが殆ど。しかし、THESECONDにおいては全体と戦うのではなく、特定の一組より上回っていれば勝ち上がれるというのがポイントであり「知略戦略」をフル活用する事が出来る。トーナメントの対戦相手や順番も抽選会で予め知る事が出来るので優勝するまでの道のりがある程度見通しがつく。コレは今後のTHESECONDの注目要素であり、抽選会~トーナメント当日の間までファン達が妄想として楽しめる部分です。皆さんも第2のスーマラ武智になってみましょう。
思えば、抽選の時ガクテンソク奥田が希望の出順を聞かれた時「金属バットの直後はイヤだな」と発言していたのですが、あの時から金属バットとの対戦を想定して当日を挑んだと思うと、THESECONDやなぁ、と呟きたくなります。
③について。これはガクテンソクのカチカチな3本が物語る通り、ネタの手数が豊富でなければ優勝は難しいという事。第1回のギャロップもこの要素はかなり強かったよね。そこに②と合わせて必要になってくるのが舞台上での経験値。要するに「場数」。ここについては劇場数と公演数が圧倒的な吉本興業の芸人がかなり有利です。なので、非吉本芸人はその差を埋めるには場数やネタの手数以外の部分で奮闘する必要が出てきてしまいます。マシンガンズみたいに一点突破な強さだったり、邪道なネタを繰り出して応戦しなければいけない。ただそれでも流石に3本目で限界が来そうなのはマシンガンズを見ていて思うところです。吉本の劇場鎖国もあったばかりですし、今後非吉本芸人の劇場問題については、、、お笑いファンに出来る事はとりあえずライブに足を運んでみる事が第一歩ですかね。筆者もここ数年は真空ジェシカと永田敬介を中心にライブに足を運んできましたが、そろそろ今年もいくつか観に行こうかしら。
第2回を終えて改めて感じたのがTHESECONDというお笑いショーレースは「最も策を講じやすいお笑いショーレース」だという事です。来年もしM-1優勝逃したら、トム・ブラウン、ロングコートダディ、セルライトスパ、デルマパンゲ、ダイタクとかが参加資格を持つことになります。「知略戦略」を駆使する堂前に涎垂らしながらnoteを綴る事になるかもしれない。楽しみ。
とか言って来年はランジャタイやモダンタイムズみたいな戦略もクソもないコンビが席巻してそのまま優勝、とか起こったら最悪だぜ。