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【読書記録】土門 蘭「死ぬまで生きる日記」

「自分が自分のお母さんになる」
この一文が私の心に残った。

この本の内容は小学生の頃から「死にたい」と思う著者(Rさん)が家庭を持ち、子供を授かってもなお、「死にたい」と思う自分と向き合い、心理カウンセリングを受けながら、変化していく自分を綴ったエッセイだ。

私は思った。
「死にたい」と思いながら生きるのは大変だろうなぁと。
そして、「死にたい」と思わなくなるための解決策はあるのだろうか?
と読書を進めていった。

Rさんは幼い頃から予告なく「死にたい」という気持ちに襲われるという。
大人になって、結婚をして子供を授かっても。
そして、経済を支える仕事を持っていても。

「死にたい」衝動を自分の腕をつねって耐え忍ぶRさん。
「死にたい」けど「死なない」ことを選ぶRさん。

(読んでいて痛々しくて、辛い気持ちになったし、
また、強い心をお持ちだと尊敬する気持ちにもなった。)

そしてカウンセリングを通して、
「死にたい」と思う過程を深掘っていく、
「死にたい」と思った時の対処法を習得していく、
そんなエッセイだった。

その対処法のひとつとして行われたのが
「マザーリング」
自分が自分のお母さんになるという技法。

なにもできない赤ちゃんを母親が愛し慈しむように自分が自分の母親になって、
なにもしない自分も、
がんばらない自分も
悪態をつく自分も、
死にたい自分も
そのまま受け入れる。

なかなかできないことかもな?と思いながら自分を振り返る。
私は死にたいとは思わなかったけれど、
ダメな自分や
怠け者の自分や
意地悪な自分や
ずるい自分を
自分で受け入れていただろうか?
明るくて、
笑顔で、
人にやさしい自分だけを良しとして
その他の自分は認めなかったのではないだろうか?

だから、孤独感が膨らんだり、
生きていくことがつまらなく感じたりしたのではないだろうか?
いまここで命が尽きてもいいや、と投げやりな気持ちになる時もあったんではないか?

Rさんと同じように、家庭もあり、子供もいるし、仕事もあるのに、心が寂しさで凍りつく時が私にも確かにあった。

自分をマルっと受け入れること。
それは、自分が自分のお母さんになることとイコールなんだ。

人はそれができれば穏やかに死ぬまで生きられるらしい。
想像してみたらその通りかもしれない。

自分が自分のお母さんになって、
ダメな自分も受け入れて、頭を撫でてくれるのだから安心するだろうなぁ。

どんな人生だとしても
自分の中にお母さんを住まわせることができれば
おだやかに幸せに過ごせるに違いない。

マザーリング、ときどき思い出して練習してみよう。

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