J1第5節 vs川崎F マッチレビュー 『苦しみのリーグ3連敗』
こんにちは。
インターナショナルマッチウィークが終わり、リーグ戦が再開されました。待ち望んだ中断明け1発目は、2連覇中の王者川崎フロンターレをホームに迎えての一戦。
川崎はここまでのリーグ戦勝ち無し。前節はロスタイムの失点でG大阪に敗れるなど、毎年恒例とはいえ苦しい序盤です。ここで昇格組の松本を叩いて勢いに乗りたいところ。
一方の松本もリーグ連敗中。王者だろうと何だろうと是が非でも勝ち点を掴みたい一戦となりました。
結果としては、川崎が王者の貫禄を見せつけて完勝。2-0というスコア以上の差を感じる試合となりました。負け試合は忘れて次を向きたいところではありますが、なるべくポジティブな面に注目しながら振り返りたいと思います。
基本システム
まずはホームの松本。前節まで固定していたスタメンを一気に変更。田中隼磨や今井智基、宮阪政樹が今季初スタメン。そして待望のブラジリアンストライカー、レアンドロペレイラが最前線に位置する形。ベンチの塚川孝輝は、今季初のリーグ戦メンバー入り。
一方で永井龍、服部康平がベンチからも外れた。これが競争によるものかアクシデントによるものかは不明。アクシデントでないことを祈るのみ。
川崎は新加入組ゼロの11人に。開幕から固定出来ていない右SBにはラルフこと鈴木雄斗が入る。1トップのチョイスは知念慶。大卒3年目、ポストも裏抜けもこなせる万能型FWだ。
代表を怪我で辞退した守田英正も復帰。田中碧とボランチを組む。筆者の愛する『川崎の心臓』こと大島僚太は離脱中。
王者の強み
川崎フロンターレの強みといえば、ネガトラの早さある。と筆者は考える。『ネガトラの質でリーグ優勝した』と言っても間違いではないだろう。
ネガトラとは「ネガティブトランジション」の略。トランジションとは切り替えの意であるから、ネガティブな切り替え、すなわち「攻→守の切り替え」という意味である。
川崎のネガトラは何故あんなに早いのか。答えは簡単である。ボールを失った瞬間、その周りに居る人数が多いから。川崎フロンターレといえばパスサッカーという印象が強いだろう。ショートパスを繋いで攻め込む川崎は、ハーフコートで押し込んで試合を進めていく。つまり、ボールを失った瞬間もその周りに川崎の選手がたくさん居るという事になる。そして失った瞬間、一気に寄せる。川崎の得点にショートカウンターが多いのはここに起因する。鬼木監督はここを徹底させリーグ2連覇へと導いた。つまり、ネガトラの早さは川崎の生命線である。
阿部浩之の存在感
また川崎の話。何故王者は苦戦しているのか。興味深い記事を見つけたので引用させていただく。
『【データで紐解く】川崎フロンターレの不調の要因(2019シーズン)』(@lovefootball216 さん) https://lovefootball-polestar.com/archives/frontale-2019-analyze-badstart_20190330.html
ゴール不足の要因について触れられている部分がある。そこを要約すると、「阿部浩之の不在が前プレのハマらなさに繋がっているのではないか」とのこと。非常に納得してしまった。阿部浩之の守備における貢献度は凄まじいが、今季はレアンドロダミアンの加入などによって定位置を掴めずにいた。そこが王者の不調の要因のひとつであったのだ。
そして今節、阿部浩之がスターティングメンバーに名を連ねた。小林悠、長谷川竜也などの選択肢の中からの阿部というチョイス。これが当たってしまったわけだ。
もしあの阿部浩之らしいゴラッソが無かったとしても、この試合のMVPは彼であったと思う。素早い切り替えでボールをハントするシーンもあれば、味方のカバーリングで最後方まで走る事もしばしば。本当に素晴らしい貢献度だった。
阿部浩之という選手は非常にクレバーである。特に守備面において。あの中村憲剛が何かのインタビューで、「阿部ちゃんの守備はすごい」と言及していたのを覚えている。本当に「気が利く」選手であると再確認させられた。
王者の「強み」に対して
ここに来てようやく松本の話題。
前述の通り、川崎は押し込んだ状態でのネガトラの早さを武器としている。その守備に引っかからない為にはどうするか。
1つは、奪ったボールを簡単に蹴ってしまうこと。川崎対策として今季積極的にそれを行うチームも多いようだ。前で収まらなければ意味がないように思えるが、川崎のストロングであるショートカウンターを行わせないという意図がある。
そしてもう1つ。押し込ませなければいいのである。押し込まれるからネガトラの瞬間に囲まれる。ならばこっちから押してしまえばいいのだ。なんて分かりやすい。が、押すという事は後ろが薄くなる。当たり前だ。そして、そんな状態であの川崎の攻撃を止めるのは不可能に近い。よって、このやり方はリスクが大きい。
この試合の松本はどうだったか。筆者の感じたイメージは「中途半端」。前半立ち上がりは、前からのプレッシングも織り交ぜながら良いバランスで守れていた。ような気がする。ペレイラが守田英正から掻っ攫ってセルジが打ち切れなかったシーンはその典型。
ただ、押し込まれ始めると苦しい時間が長くなる。これは奪った後の判断が中途半端だった事に原因があると考える。もっとシンプルに前でも良かったのでは。
と思ったが、意外とペレイラの位置取りが低いことも多かった。これが対川崎の難しさかもしれない。CB2枚を残して他全員が押し込みに来るので、1番前の選手もそれなりに落ちてしまう。それはターゲットが無くなるということ。つまりそうなるとひたすら押し込まれるしかなくなるわけだ。
宮阪政樹が見せた可能性
ポジティブな話題を1つ。この試合、ルヴァン杯で好パフォーマンスを見せていた宮阪政樹が先発した。
前述の通り中盤にはかなり激しく掛けてくる川崎。そんな中で、ボールの落ち着かせ所として機能したのが宮阪だった。
このポジションをこれまで務めていたのは藤田息吹。昨季J2ではトップクラスのプレーを見せた。今季も守備に関しては良い仕事振りであったが、攻撃面には物足りなさも感じさせていた。
そんな中、ルヴァン杯で存在感を見せたのが宮阪。元々技術の高さには定評がある。更に今季は精力的に走れるようになった。プレースキックの精度は相変わらず素晴らしいが、動きの中でのキック精度も上がってきた印象がある。
固定砲台から移動砲台へ。宮阪政樹への期待は大きい。
レアンドロペレイラのデビュー
待った。とにかく待った。残留へ向けて必要不可欠なラストピース・レアンドロペレイラ。遂にリーグデビューを果たした。
可能性は感じさせた。まだ可能性止まりではあるが。
競り合い、収めに関しては素晴らしかった。谷口彰悟と奈良竜樹はリーグでも屈指のCBコンビである。あの2人相手にあれだけやれれば十分。
コンディション的にフルタイムは厳しいのだろう。それはここから上げてくれれば問題ない。
ただし、チームとして彼に求めるのは試合を決めるプレーである。端的に言えば得点やアシスト。彼の評価は数字に左右されるだろう。ここからの爆発に期待したい。
雑感
完敗。何もさせてもらえなかった。
気になるのは試合を重ねる毎に得点に匂いがしなくなっている点。今季ここまで5試合で2得点。点が取れなければ勝てない。ペレイラ待ちではなく、チームとしての得点力底上げは必要不可欠だろう。
塚川孝輝のデビューはポジティブな要素。多少粗削りな感じは伸び代の大きさを感じさせる。停滞気味の攻撃陣に変化をつけられるか。杉本太郎と共に期待せざるを得ない。
神戸戦へ向けて
また嫌な相手を迎えます。今節はガンバとの壮絶な打ち合いを制した神戸。イニエスタがやってきます。ビジャも来ます。ポルディも来ます。J2の星・古橋亨梧も来ます。古橋が1番怖いと感じてしまうのはJ2脳ですね。
そろそろ勝ちが欲しいですね。それ以前に得点が欲しいですが。
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今回は川崎側からの視点も織り交ぜつつ書いてみました。当日更新ですのでクオリティは低め、ボリュームも少なめとなっております。ご了承ください。
また、若干毒の多いレビューとなってしまった事をお詫び申し上げます。リーグ3連敗、公式戦4連敗という現実はしっかりと受け止めて、チームには前を向いて進んで行って欲しいと思います。
それでは今回はこの辺で。最後までお読みいただきありがとうございました。
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