2024年 一口馬主の総括について
2024年の一口馬主ライフは高レベルでいいことも悪いこともあって、なかなか充実した1年だった。
まずは、ナミュール、ラクスバラディー、ヴァーンフリート、ファジェスの4頭が引退した。
ナミュールはマイルCSのレースの影響で香港マイルの出走を断念し、集大成の最後の秋がほぼ何もなくなってしまい、無念だった。
自分が出資した馬で初めてGⅠ馬となり、一口馬主の醍醐味を3年にわたって提供してくれた。感謝でいっぱいだ。
ただ、最後のレースでC. デムーロの騎乗の後味が悪かった。
後方からのレースで開花していた馬を、内枠から押して早めに仕掛け、直線失速という理解しがたいレース運びには強い疑問を感じる。状態もよくなかったかもしれないが、ヴィクトリアマイルの武豊のような判断はできなかったのだろうか。僕はドバイターフのような騎乗を求めていた。
C.デムーロは戦前から前目につけるようなコメントをしており、陣営もそれを許容するようなスタンスで、嫌な予感はあった。(東京新聞杯を思い出してほしかった)
調教師が騎手やレースの選択で全権をもっていないことは理解しつつも、安田記念を見れば、あと2戦、武豊がベストだったと思う。
C.デムーロは消耗品のようにレースで騎乗する時があり、レース後の体やメンタルに配慮を欠く騎乗はやはり好きになれない。
そう考えると、千載一遇のチャンスをものにしてくれた藤岡康太騎手には感謝しきれない。
いつもベストな選択は難しいのは承知しつつも、馬・騎手・厩舎・レースがすべてかみ合うことはやはり稀だ。
その中でも一定の安定感を示してくれたナミュールはやはりスペシャルな馬だった。
現地観戦した安田記念、小雨の府中の直線を僕は忘れない。
ラクスバラディーはクラブの規定よりだいぶ早い引退となったが、馬の走る気が損なわれてしまっており、よい時期に引退を決断してもらえた。
ラクスバラディーで驚いたのは、リアル収支がプラス(4口合計で15,733円)だったことだ。4,000万円の募集で3勝クラスで引退だったものの、未勝利戦で入着を繰り返したため、特別出走手当てが1,000万円ほどになったことが利いたようだ。
デビュー直前の凄まじいまでの期待値には応えられなかったものの、黒字とアワーブラッド入りの条件を達成出来て満足はしている。
ヴァーンフリートは障害に転向しようとしていた矢先に怪我をしてしまい引退となった。少し残念ではあるもののリアル収支は2口で42,642円のプラスで、この世代はナミュール・ラクスバラディーと3頭ともリアル収支がプラスで終わることができた。(惜しむらくは予算の関係でナミュールを2口にしてしまったことだ)
ファジェスは引退から1年ほど経過しているので、熱量はもうあまりないが、4口で175,000円のマイナスだった。2勝クラスでおそらくアワーブラッド入りも難しい。
この年は消去法(出資したい馬があまりおらず、ロベルト×ロベルト牝馬・短距離得意な安田厩舎などの不安要素に目をつぶって申し込んだ)でファジェスに出資してしまい、結果も赤字と反省が多い世代となった。
僕は過去14年間で11頭出資であるが、結果赤字を上乗せするだけであるので、消去法の出資はバツの権利を無駄にすることになったとしてもやめようと思った。
年間の収支としては、前半はナミュールのドバイと安田記念の2着が大きく、観戦にも力が入った。
秋はナミュールの不発を妹のラヴェルがドラマティックに復活を遂げて補ってくれた。
ラヴェルは5口出資しているので、収支としては十分にナミュールの代わりを果たしてくれた。
今年、復活したラヴェルが矢作厩舎のもとでどのような戦いをするのか興味は尽きない。ありがたいことだ。
2025年の見通しについては、もちろん唯一の現役馬ラヴェルの活躍に賭けるしかない。
エリザベス女王杯の華麗な復活は川田騎手の手腕に拠るものだ。
自分は正直なところ、これまで川田騎手の腕に懐疑的なところがあった。
好きな横山典や武豊とは性質が逆で、基本的には強い馬に乗って激しいレースをするため馬の消耗が激しく、騎乗馬が長距離でスムーズなレースができなかったり、長期にわたる活躍が難しくなったりと、ネガティブなイメージがあった。
しかし、ラヴェルは川田騎手が乗ってくれていなければ、今のような調子を取り戻すことはなかったし、あと1年間重賞で掲示板に乗るか乗らないかの成績を繰り返していたことだろう。
上記のコラムを読んだときは半信半疑だったが、チャレンジCはまさに別馬のような走りだった。
エリザベス女王杯は好走したものの、それまでの好走パターンと同じで、馬群で揉まれず外目を回りつつ、距離ロスは最低限に抑えて4コーナーを曲がってくるというものだった。
しかし、チャレンジCでは馬群の中を追走し、4角では狭いところを割って進出し、直線では他馬を突き放した。
川田騎手が言う通り、それまでのラヴェルは四肢の可動域は広いものの、動きが伴わず、素人目にもフォームが不安定だったが、チャレンジCのフォームは流麗だった。
矢作調教師はスタッフを讃えたが、オクトーバーSからの変わり身を見ると、川田騎手の手腕以外理由が説明できない。
最近、シャフリヤールは毎日杯で川田騎手が乗って、強引に動かした後からトモの入りがよくなり走りが変わった(よくなった)という記事を読んだ。
ラヴェルに関しても、川田騎手と巡り合ったおかげで競争生活と評価が劇的に変わった気がしてならない。
陣営は次走を京都記念かサウジアラビアのネオムターフCで検討しているようだ。コメントからはシンエンペラーがネオムターフCが有力視されているので、ラヴェルは京都記念に回るのかなと感じた。個人的には川田騎手の継続騎乗を最優先でレースを選択してほしい。
できればサウジアラビアからドバイターフを見てみたい。
2歳馬にはフィルムフェストの23、キタサンブラック産駒の牡馬が控えている。
今のところ調教は坂路で17~18秒を乗っており、標準よりやや遅れている。
血統的には母系にリファールが入っていないのが気になっているが、募集動画で後肢のバネが非常によかったので出資を決めた。
募集額が自分の出資としては過去最高の7,000万円となっているので、オープンでそこそこ走らないと黒字にならない。
3年ぶりの出資馬、楽しみだ。
最後にアワーブラッド(のはず)の牝馬について、希望の交配を述べておきたい。
ナミュールは父ハービンジャーなので、小柄だったものの、牝系の活力もあり繫殖牝馬として期待が大きい。
スワーヴリチャードをつけてくれればレガレイラやアーバンシックと同配合になる。少し幅を広げると、トニービンが入ったサンデー系と相性が良さそうなので、個人的希望としてはドゥデュースが嬉しい。
また、この牝系は牝馬であることが走る条件であると思うので、ぜひ牝馬に出てほしい。(そもそも牡馬だと予算オーバーで検討の俎上に乗らない)
ラクスバラディーはキャロット血統のリッチダンサーの系統になる。
この牝系の特徴としては、牝馬であることと体重が大きいことが走る馬の条件となる。勝手なイメージでは地味な種牡馬の方が走る気がする。
初年度はアドマイヤマーズをつけたようなのであとは牝馬が産まれてくることを期待している。
ゴールドティアはサンデー系を持っていないので、現役時代芝のレースで切れ味が圧倒的に足りなかった。
京都の力のいる芝がベストだったと思うのだが、京都競馬場の改修期間と現役時代がかなり被ってしまってかわいそうだった。
父がキングカメハメハのため、成功例の傾向が掴みづらい。
初年度はドレフォンの牝馬なので、かなり微妙なところであるが、馬の出来を見ながら検討したい。
2年目はアドマイヤマーズをつけており、血統的には初年度より期待している。
最後にサンブルエミューズだ。
サンブルエミューズの仔は、ナミュールとラヴェルにのみ出資した。
この2頭のおかげで一口馬主の総合収支がプラスに転じた。
本当に感謝している。
ヴェスターバルト、ヴァルドレス、ブルージュは馬の出来がよくなさそうなので敬遠した。(ヴェスターバルトは活躍したのに評価できなかった)
アルセナールは馬の出来はそこそこだったものの、牝馬で7,000万円を出せるほどの出来には見えなかったので申し込まなかった。
ネット情報によると、受胎率も低下しており、今年は受胎率が高いモーリスをつけたとのこと。
僕は基本的に母が高齢で出産した産駒に出資はしないことにしているが、この牝系はマルシュロレーヌの例もあるので、それだけで見切らないように馬の出来を慎重に見極めたいと思う。
受胎率はさておき、やはりキョウエイマーチのリファールを活かした配合を期待したいので、イクイノックス、キタサンブラック、キズナ、コントレイル等、王道の種牡馬の仔を見てみたい。ただ、こちらも牝馬血統なので牡馬は見栄えがいくらよくてもNGだ。
今年は久しぶりに現役馬が一頭になり、寂しい陣容だ。
一戦一戦を大事に見守りたい。