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草木染め@臭木
臭い木と書く「くさぎ」。雑木なのだと思います。身近なところに生えている落葉小高木。確かに香りは独特かもしれませんが「臭い」かどうかは人それぞれに感じるところかと思います。
この臭木、夏には白い可愛らしい花をつけ、秋も深まる頃には青い実をつけます。
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その青い実を集めて煮詰めると、なんとも言えない綺麗な濃い青い染め液ができます。煮立たせはじめから30分くらい煮て、さらに実をつぶすようにしていると、さらに濃い青になります。この液の色が変わっていく様子を見ているのが好きです。
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この白い糸が すーーー・・っと青い色を吸い上げます。
染め方にはいろいろな方法がありますが、私が教えていただいている方法は、しっかりと糸を染め液に潜らせ、ムラのないようにゆっくりと動かしていきます。「何分」という時間は特になく、染め液と糸の様子を見ながら、その時間を楽しみながら染めていきます。
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今回は実が熟していたからか濃いめかもしれません。臭木で染めた青いいろは綺麗な空の色になります。
その実がどこでできたものなのか、採った時期・量など様々な条件で染め上がりの青い色は違います。けれど、どの青色も空の色。この臭木の青いいろは本当にすっきりとした、綺麗で少し儚い感じの色になります。
人間国宝でもある染織家の志村ふくみさんはこの臭木の色を「天青」と呼んでいるそうです。まさに天青。
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初めに書きましたが、臭木はどこにでも生えている雑木です。けれど、気にしていないとわからないものですし、なかなか染めに使うだけの量の実を手に入れることも難しいかもしれません。今回は、近所の知り合いから分けてもらえました。
「草木染めをしててね、こういう植物があったら教えて欲しい」ということを話したことがあるので、気に留めていてくれたようです。本当に、嬉しい限です。
今回も、素敵な色をいただくことができました。
自然に感謝。自分を知っていてくれる人に感謝です。