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ルビー 担当:かわかみなおこ
わたしの誕生石は、ルビー。
けれど、どうしてもルビーが好きになれなかった頃がある。
あの赤い色が血のようで、ちょっとだけ不気味。
そもそもそんなに赤い色が好きではなかった。
姉とわたしでお揃いのものを買うときは、姉が赤でわたしは青だったし、「わたしの色」ではないと思っていたのかもしれない。
アクセサリーにしては色の主張が強くて、
大人になってからもアクアマリンとかオパールとか
そっちの方がきれいでいいなあって羨んだ。
そんなわたしがルビーを好きになっていくきっかけは、鉱物収集。
ブラックライトをあてると蛍光する鉱物のひとつにルビーがある。
蛍光鉱物にゾッコンだった当時のわたしは、そういうわけで、ルビーの原石を買った。
白い母岩から小さく顔を出すルビーはブラックライトを当てると、明るいピンク色に力強く光る。
宝石に加工されていないその姿は、思ったよりも愛らしく、存在感があった。
ルビーの意味は、「情熱・生命・愛情」。
古くは宝石の王様とも言われ、
その中には火が宿っていると考えられていた。
血が滴るような赤さを持つものは、ピジョンブラッドと呼ばれ価値が高い。
火にしても血にしても、石に対して生命力を見出されているのは、不思議なものだ。
母岩からのぞく赤い色は、地球の血の雫のよう。
そうとらえてみると、なかなかロマンチックじゃないの。
定期的に弱っている自分にとっても、きっとルビーはお守りになってくれそう。そんな気がするようになった。
そろそろ少しゴツい宝石も、肌に馴染みやすいお年頃になってきた。
小さな石しか買えないかもしれないけれど、
いつか燃えるような、滴るような赤を身に纏いたいと思う。
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