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金正恩の選択は過激路線

■瀬戸際外交が使えない
 北朝鮮は代々瀬戸際外交でアメリカに挑んできた。これまではアメリカは戦争回避が目的で譲歩。だが歴代大統領は北朝鮮から経済的利益を奪われるだけだった。アメリカは戦争を回避したが外交的利益は無かった。

 だがトランプ大統領は北朝鮮の瀬戸際外交に対抗している。しかも逆に北朝鮮を追い詰めている。北朝鮮はこれまでとは異なる流れに苦労している様に見える。

北朝鮮の核施設で作業か、再処理関連の可能性=米シンクタンク
https://jp.reuters.com/article/northkorea-nuclear-report-idJPKCN1RS28P

■過激路線で対応
 北朝鮮は瀬戸際外交でコストが合わない戦争を売り付け、アメリカに戦争回避目的の譲歩を求めるのが常だった。アメリカとしては北朝鮮の様な国と戦争しても価値が無い。だから歴代大統領は譲歩した。
 
 アメリカ歴代大統領の譲歩は常に裏切られ、北朝鮮を喜ばせるだけに終わる。だがトランプ大統領は北朝鮮の非核化一択。しかもトランプ大統領から金正恩氏に譲歩を迫る。この流れは無かった現象。

 金正恩氏とトランプ大統領は双方が譲歩を迫る。これでは噛み合わないから瀬戸際外交は成立しない。瀬戸際外交が成立しないと困るのは金正恩氏。交渉材料など無いし相手にもされない。

 金正恩氏は強引に交渉材料を作り出すがトランプ大統領は無視。新型潜水艦建造を臭わせるが相手にされない。次に核施設の作業を臭わせてトランプ大統領の反応を伺っている。

■非核化放棄が交渉材料
 金正恩氏は核施設の作業を意図的に見せている。核施設で真に作業が行われているかは不明。偵察衛星で特殊車列の動きが確認されているだけ。これは北朝鮮が非核化を放棄する様な動き。だが金正恩氏は非核化放棄を宣言していない。

 北朝鮮の動きは、「非核化を放棄すると戦争になるぞ!」と脅す意味になる。金正恩氏は瀬戸際外交の原点に戻り、戦争を売りつけることで交渉材料にした。金正恩氏には譲歩の選択は無く過激路線しか選べない。

■過激路線を小出し
 金正恩氏は過激路線を小出しにしているが、これは金正恩氏に戦争する意志が無い証。仮に米朝戦争が始まれば技術の差で北朝鮮は圧倒される。北朝鮮は電力不足でアメリカの爆撃機B52すら探知できなかった。この事実はトランプ大統領を強気にさせる。

 ステルス機ではなく通常機すらレーダーに探知されないならば、ミサイルを用いた遠距離攻撃だけで北朝鮮を殲滅できる。北朝鮮への侵攻は韓国軍に任せれば良い。在韓米軍は韓国の防御に専念し空爆だけを行えば良い。

 トランプ大統領は金正恩氏が非核化放棄を公言すれば、これを大義名分に北朝鮮を攻撃可能。だから金正恩氏は公に非核化放棄はできない。金正恩氏としては、過激路線の小出しでトランプ大統領が譲歩することを祈るだけ。

■トランプ大統領は待つだけ
 トランプ大統領から北朝鮮を攻撃すれば大義名分が無い。これでは国際社会から批判されてアメリカの立場は悪くなる。だが北朝鮮が過激路線を続け、非核化放棄すればトランプ大統領は大義名分を得る。

 トランプ大統領は金正恩氏を追い詰め、金正恩氏から非核化放棄するように追い詰めている。だからトランプ大統領は待つだけなのだ。北朝鮮との戦争は韓国軍に任せ、空爆などをアメリカ軍が担当するだけだろう。

 中国とロシアが北朝鮮を支援するのは明らか。だがトランプ大統領が北朝鮮に侵攻しなければ?そうなれば中国軍とロシア軍は北朝鮮を占領するだけ。これは戦後処理を中国とロシアが行うから都合が良い。

 中国軍とロシア軍が韓国まで侵攻することは可能。実行すれば第三次世界大戦になるが、これは中国とロシア政府の覚悟次第。国力を無視して戦争することは可能だが、補給を行う兵站線ではアメリカが短い。つまりアメリカ軍有利で中国軍とロシア軍には不利なのだ。

■中国とロシアには迷惑
 中国とロシアは北朝鮮とアメリカの戦争は都合が良い。中国とロシアは北朝鮮を支援してアメリカとの戦争を長期化させたい。これならアメリカが消耗するだけ。その間に中国は南シナ海とインド洋の覇権拡大ができる。ロシアはシリア周辺の覇権拡大が可能。

 だがトランプ大統領が在韓米軍を北朝鮮に侵攻させず韓国軍に任せたら話が変わる。中国とロシアはアメリカを消耗させることはできず、北朝鮮は韓国に併合される。そうなれば中国とロシアは緩衝地帯を失うことになる。

 これでは中国とロシアは困るから、嫌でも北朝鮮に軍隊を派遣しなければならない。問題なのは、北朝鮮に巻き込まれて韓国まで侵攻すること。韓国まで侵攻すれば兵站線を伸ばすことになり、しかも毎日大量の物資を消費する。

 中国は南シナ海とインド洋覇権拡大が困難になり、金・物資・人員を朝鮮半島で消費する。これはロシアも同じで、北朝鮮への介入は覇権拡大を放棄することを意味する。外国の戦争で自国が消耗することは避けたい。だから中国とロシアには韓国への侵攻は迷惑なのだ。

■トランプ大統領の決断は?
 トランプ大統領は北朝鮮の担当者をロシアに派遣したらしい。ならば中国にも派遣している可能性が有る。目的はアメリカが北朝鮮を攻撃しても、中国とロシアは動かないようにする説得だと思われる。

 仮に米朝戦争になっても地域紛争で終わる。北朝鮮を亡命政府に任せれば、北朝鮮は中国とロシアの緩衝地帯として継続する。すると朝鮮半島はこれまで通り南北に別れて継続。そうなればバランスが維持されてアメリカ・中国・ロシアにも都合が良い。

 短所として中国の覇権は南シナ海とインド洋で拡大する。ならば中国とロシアはトランプ大統領の提案を受け入れる可能性が高い。これは私の推測が正しい場合だが。

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上岡 龍次(うえおか りゅうじ)
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