国土を軽んじる日本人

■国土を奪われる日本
 日本は戦後から竹島・北方領土・尖閣諸島を奪われる立場に置かれている。日本が領土であることを主張しても竹島には韓国、北方領土にはロシア、尖閣諸島には中国が居座っている。日本は世界に対して日本の領土であることを主張するが回復に成功していない。

 戦後日本は韓国による竹島、ソ連・ロシアによる北方領土の問題を抱えている。だが日本は実効支配で領土を主張することをしていない。最近では中国による尖閣諸島を狙う動きが活発化した。それでも日本は実効支配を世界に宣伝することを回避している。

■イスラエルと尖閣諸島
 国内では土地の権利は法律で守られている。だから他人が勝手に土地に居座ると違法になる。だが国外では法律は適用されず国家間の領土問題は外交と軍事の世界。国境紛争は世界各地に存在しているが国境紛争を解決するのは戦争。何故なら政治の延長として戦争が有るので軍隊による実効支配が領土問題を解決する。これは国際社会の現実。

 この典型例はイスラエル。歴史的に先にユダヤ人が住んでいたがユダヤ人は世界に離散した。それが第二次世界大戦後にユダヤ人は今のイスラエルに戻って建国した。だが住んでいたパレスチナ人は拒絶する。

 当時のイスラエルは孤立無援だったが第一次中東戦争(948-194)で独立を獲得した。イスラエルから見れば独立戦争だから戦争で土地を奪還したことになる。その後のイスラエルは1973年まで第四次中東戦争を行い国家の独立と領土を獲得した。イスラエルの領土は軍隊が実効支配している領域。多くの国が軍隊による実効支配を認めており領土と見なされている。

 次の典型例は西沙諸島。第二次世界大戦後の中国は領土拡大に邁進し、西沙諸島の戦い (1974)でベトナムと交戦して西沙諸島を獲得した。さらにスプラトリー諸島海戦 (1988)でベトナムと交戦し岩礁・珊瑚礁を獲得した。その後中国は西沙諸島・南沙諸島を実効支配し世界の大半が認めている。

 中国は1994年からフィリピンが領有を主張する海域まで進出。その後の10年間で、中国は南沙諸島の岩礁・珊瑚礁を人工島に作り変えた。しかも人民解放軍を配置して実効支配を行い、結果的に世界の多くが中国の領土であることを認めている。アメリカは海軍艦艇を南沙諸島で定期的に航行させ公開であることを示している。だが人民解放軍が実効支配する領域までは接近していない。これは中国との対立を避けたことと、軍隊が実効支配する領域にはアメリカすら接近できないことを意味している。

■竹島・北方領土・尖閣諸島
 世界は自国の領土だと主張するなら軍隊による実効支配が基準になる。竹島は日本の領土だと主張しても自衛隊による実効支配は無い。そうなると世界は“竹島を実効支配しているのは韓国”と見なす。これで日本の法律論は霧散する。

 さらにロシアに対して北方領土を日本に返せと発言してもロシアは困らない。何故なら自衛隊を用いた奪還をしないから無視できる。外交は軍事を背景にするから効力を持つのであり戦争は政治の延長。だから外交で解決しない最後の手段として戦争が有る。日本人の多くはこの現実を見ない。だからロシアは安心して北方領土に居座れる。さらに北方領土にはロシア軍が実効支配しているので世界の多くはロシアの領土と見なす。

 日本は戦後から領土を奪われている。それでも尖閣諸島すら放棄する道を選んでいる。尖閣諸島は日本の領土だと主張するなら海上自衛隊が継続的に活動するか陸上自衛隊を配置しなければ実効支配にはならない。これは中国が行った西沙諸島・南沙諸島が典型例になる。

 つまり、中国は西沙諸島・南沙諸島で成功した手段で尖閣諸島を日本から奪おうとしている。それなのに日本は海上保安庁を使い穏便外交を継続。これでは実効支配を選ぶ中国には勝てない。仮に中国が人民解放軍を尖閣諸島に常駐させたらどうなる?日本は自衛隊を用いて奪還するのか?

 仮に話し合いで解決する道を選ぶと竹島・北方領土と同じ運命。これは実効支配の期間が長期化すると領土を放棄したことになる。さらに実効支配している国の領土になることはイスラエルが証明している。

■穏便外交は通用しない
 領土問題は穏便外交で解決しない。西沙諸島・南沙諸島におけるベトナムとフィリピンは典型例。国境紛争で負ければ領土を奪われる。さらに戦争を回避したベトナムとフィリピンは奪われた領土を奪還できていない。

 アメリカは領土問題に介入せず放置した。これで中国の領土拡大は成功し今では日本が狙われている。人民解放軍が実効支配すると人工島を批判しても公海を確保するのが限界。この現実を日本は見てきた。これでアメリカを頼っても動かないことは明白。何故なら日本の問題だから日本が自衛隊を使わなければ世界は認めない。

 今は日本の好機。何故ならアメリカと中国・ロシアは対立しているので、日本が自衛隊を用いて尖閣諸島に自衛隊を配置しても応援する。さらに北方領土の奪還目的で北方領土に自衛隊を派遣してもアメリカは応援する。

 仮に日本が中国・ロシアと戦争になってもアメリカは日本を軍事支援する。何故ならアメリカから見れば中国・ロシアは仮想敵国。だからアメリカはウクライナを軍事支援して仮想敵国ロシアと間接的に戦争している。今の日本は好機なのだ。国境紛争には法律論は使えないことを受け入れ自衛隊を用いた実効支配を選ぶべきだ。そうしなければ日本は領土を放棄することになる。

 中国は人民解放軍ではなく海警を使っているから大丈夫と思うのは間違い。海警を使い継続的に尖閣諸島で活動させる。次に領海侵入で日本の様子を見る。これで対応しないなら海警による領海侵入が状態化。この結果、世界から日本の実効支配は無いと見なされたら?尖閣諸島は竹島と同じことになる。中国はこれを狙っている。嫌なら自衛隊を使い実効支配を行え。

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