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ロケットマン再起動

■5月4日の軍事演習
 北朝鮮は5月4日に軍事演習を行った。北朝鮮は攻撃的な軍事演習を行うことでトランプ大統領に意志を伝えたことになる。問題なのは演習で使われた武器。北朝鮮が公開した画像には、国連安保理決議違反となる弾道ミサイルが存在する。これは明らかにトランプ大統領に対する挑戦だ。

北朝鮮、4日の飛翔体発射はロケット砲などの「攻撃演習」 KCNA
https://www.afpbb.com/articles/-/3223614?cx_part=top_topstory&cx_position=1

■短距離弾道ミサイル
 北朝鮮は日本海に向けて飛翔体を発射。北朝鮮が公開した画像から、無誘導のロケット弾と短距離弾道ミサイルが確認できる。これは北朝鮮が公開した画像だが真実とは限らない。何故なら公開された画像には、国連安保理決議違反に該当する短距離弾道ミサイルが存在する。

 北朝鮮が公開するだけでも危険なのだが、金正恩氏がトランプ大統領を挑発していることは明らか。そうでなければ短距離弾道ミサイルの画像を公開しない。

 公開された画像から、短距離弾道ミサイルはロシア製の9K720・イスカンデルE(輸出用)と推測される。本国仕様のイスカンデルの射程距離は400から500kmと推測されている。北朝鮮が運用している輸出用イスカンデルEの射程距離は280km以下 。だから北朝鮮のイスカンデルEは200kmの射程が有ると思われる。

 だから5月4日の軍事演習で70から200kmの飛翔体が数発確認されているから、ロケット弾の射程距離70kmとイスカンデルEの射程距離200kmと合致する。

 韓国は当初短距離弾道ミサイル発射としたが、直ぐに飛翔体発射に表現を変えた。これは明らかに北朝鮮を意識した切り替えだと思われる。だが韓国の苦労虚しく、北朝鮮は堂々と短距離弾道ミサイル発射を公開した。

■金正恩氏の意図
 金正恩氏は攻撃的な軍事演習を行い、しかも短距離弾道ミサイル発射を公開した。これは金正恩氏がトランプ大統領に非核化で譲歩を迫るメッセージ。

「戦争が嫌なら譲歩して戦争を回避せよ!」

これが金正恩氏の意志。北朝鮮は代々瀬戸際外交を行っている。瀬戸際外交は相手国にコストが合わない戦争を売り付け、相手国が戦争回避を目的とした譲歩を選ばせる策。これまでの北朝鮮は瀬戸際外交に思考してアメリカから利益を奪ってきた。だがトランプ大統領になると瀬戸際外交が通用しなくなった。

 金正恩氏の予想に反してトランプ大統領は制限戦争を採用。制限戦争は軍事的圧力で相手国に譲歩を迫る。金正恩氏としては焦ったのだろう。トランプ大統領は譲歩するどころか軍事的圧力を高めた。これで金正恩氏は非核化を選んだが、第一回米朝首脳会談までは時間稼ぎができた。

 第二回米朝首脳会談で非核化の時間稼ぎは終わる。トランプ大統領は非核化一択で、短期でも長期でも良い。非核化なら長期間でも良い。トランプ大統領は非核化以外を認めないから、金正恩氏は駄々をこねるようになる。

 これでトランプ大統領に無視されていたが、金正恩氏は潜水艦建造や弾道ミサイル開発などをチラつかせていた。これだけでも挑発行為なのだが、トランプ大統領が譲歩しないので短距離弾道ミサイルを発射するまで至った。

 金正恩氏はアメリカの目の前に存在するベネズエラに軍事介入しないので、トランプ大統領には強気の姿勢が必要だと思ったのだろう。そうでなければ短距離弾道ミサイルを使わない。

■ベネズエラ軍事介入
 ベネズエラは内戦状態。今の政権は独裁的で国民を苦しめている。しかも独裁的な現政権は反米派で、反政権派は親米派。トランプ大統領は独裁者から国民を救う目的で、親米派の政治家を支援してベネズエラ国民を救うことが可能。

 トランプ大統領はベネズエラに軍事介入する大義名分を手に入れたが、今も軍事介入していない。これで金正恩氏は、トランプ大統領が容易には戦争を始めないことに気付いたと思われる。

 アメリカの目の前に存在し、しかもベネズエラにさえ軍事介入しないなら北朝鮮にも軍事介入しない可能性が有る。だから金正恩氏は試したのだ。軍事演習で短距離弾道ミサイルを使い、トランプ大統領の反応を試した。これが金正恩氏の真意だと思われる。

■ベネズエラが左右する
 金正恩氏の動向はベネズエラが左右すると言える。金正恩氏はトランプ大統領がベネズエラに軍事介入しないから強気になった。だがトランプ大統領がベネズエラに軍事介入すれば金正恩氏は軍事的圧力を弱めることになる。これは明らかだ。

 ならばイランも同じ動きをすると予想できる。イランも北朝鮮もベネズエラを見ているのだ。トランプ大統領が自国を攻撃するかの判断をベネズエラで判断している。ならばトランプ大統領がベネズエラに軍事介入すれば、北朝鮮とイランは軍事的圧力を弱めることになる。

■ロケットマン
 金正恩氏はロケットマンを再起動させた。トランプ大統領が金正恩氏を無視すれば、ロケットマンとして驚異を高めるだろう。そうなれば行き着く先は、アメリカによる北朝鮮への攻撃。

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上岡 龍次(うえおか りゅうじ)
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