アメリカの主敵は中国
■イランに対して強硬
アメリカはイランに対して強硬姿勢。北朝鮮が軍事演習で短距離弾道ミサイルを発射しても無反応。イランと北朝鮮はアメリカから経済制裁を受けているが、イランに対する姿勢は北朝鮮よりも上。
アメリカはイランが弾道ミサイルを移動しただけで、空母艦隊をイラン近海まで派遣させた。しかもB52爆撃機まで派遣する。イランの弾道ミサイル移動は不確かなのだが、北朝鮮とは異なる対応を見せている。
■干渉と関与
政治家の国家戦略として干渉と関与は基本。干渉は相手国の政治に介入する内政干渉。これは相手国の政権運用を妨害する。内政干渉ができることは妨害のみ。だから直接的な効果は無い。だが世界では基本的に干渉で内政干渉している。
干渉:間接的・内政干渉
関与:直接的・軍事力の投入
関与は軍隊を投入するので直接的な効果が有るが、関与を行う国は強国が大半。何故なら軍隊を用いることは今の平和を否定する行為なので、容易には軍隊を投入できない。だが強国の場合は、平和維持活動を名目に軍隊を投入することが可能。
このため基本的な国は干渉戦略だけを採用するが、強国は干渉と関与の戦略を採用することになる。アメリカは今の強国なので、平和維持活動を名目に関与が可能。
■見た目はイラン優先
現在のアメリカの対応は、軍隊派遣の規模から見てもイランを重視している。次に中国への対応であり、北朝鮮とベネズエラへの対応は軽くなっている。
見た目の優先順位
イラン>中国>北朝鮮>ベネズエラ
イランは反米国であり海上交通路を遮断可能な位置に国が存在する。仮にイランがペルシャ湾に1個でも機雷を漂わせれば、これだけで世界経済に打撃を与える。株価は下落し、確実に機雷を排除するまで海上交通路は遮断されるか、輸送船の航行が制限される。
仮に1個の機雷投入だったとしても、「他にも在るかもしれない」不安が生まれる。この不安が輸送船の航行を妨害し株価を下落させる。だからアメリカはイランへの対応が強硬になる。
■本音は中国優先
アメリカの真の主敵は中国。イランへの強硬姿勢は事実だが、真の敵は中国に狙いを定めている。理由は中国の覇権拡大と一帯一路。中国の一帯一路は経済圏だが、陸路と海路の輸送路を守るには軍隊が必要になる。
実際にアメリカは、海上交通路を守るために世界各地に基地と軍隊を用いて置いている。そして海上交通路を脅かす脅威が出現すると、アメリカは付近の基地から軍隊を投入して対応している。
そうしなければ海上交通路を安定して使えない。海上交通路付近で紛争やテロが発生すると世界経済に打撃を与える。だからアメリカは、世界平和を建前として軍隊を投入した。だがアメリカの本音はアメリカのための平和。
中国の一帯一路も同じこと。中国は世界のための経済発展と平和を建前にする。中国の本音は中国のための平和。だから一帯一路の陸路と海路には、人民解放軍と基地が置かれることになる。これは中国の覇権拡大であり、強国アメリカの覇権と衝突している。だからアメリカは中国と対立する。
実際の優先順位
中国>イラン>北朝鮮>ベネズエラ
アメリカは直接中国と対立することを回避し、イランを直接叩くことにした。イランならば以前からの反米国だから軍隊を投入しても驚かれない。しかもイランは、海上交通路を遮断する実行力と可能性を持つ。さらにイランは何度もホルムズ海峡封鎖を示唆しているので、アメリカが軍隊を派遣しても驚かれない。
■一帯一路の陸路潰し
アメリカはイランを攻撃することは、中国の一帯一路を妨害することを意味する。何故ならイランは一帯一路の陸路に位置する。イランは一帯一路の中継地点であり、海から攻撃できる国の一つ。しかも以前からの反米国だから軍事投入しても自然になる。
一帯一路の陸路:中国↔イラン↔トルコ↔ヨーロッパ
アメリカがイランを攻撃すると、中国の一帯一路を遮断することになる。さらにイランで政権交代が発生すれば、イランは一帯一路から離脱する可能性が有る。何故ならイランは宗教組織が革命を起こした国。独裁的な政治に拒絶する国民もいる。
だからアメリカは、イランを攻撃すると副産物として政権交代も可能。この可能性は旨味になるから、イランを攻撃する価値は高い。さらに反イラン国が周辺に存在するので、アメリカの軍事投入に合わせてイランを攻撃する可能性も有る。
そうなればイラン政権を運営する宗教組織は、外国と国民から排除される可能性が有るのだ。そうなればアメリカは、海上交通路を守れるし中国の一帯一路を遮断できる。だからアメリカはイランを攻撃することで、間接的に中国を攻撃することになる。
私はアメリカがイランを攻撃すると見ている。根拠は北朝鮮が短距離弾道ミサイルを軍事演習で発射しても反応しない。しかも北朝鮮が公式に短距離弾道ミサイルを公開しても無反応。それに対し、イランの曖昧な軍事行動だけで空母艦隊を派遣した。この比較からアメリカが攻撃する意志だと判断した。
■戦争ではなく懲罰
アメリカはイランとの戦争は考えていない。根拠はアメリカの物資移動が確認できないこと。アメリカが戦争を行う時には、戦争準備として物資の備蓄と移動を行う。これは半年から一年かけて行うから秘密にはできない。
戦争準備の物資移動と集積は誰の目にも確認できる。だが現段階では確認されていない。これはアメリカが戦争を計画していない証。だがアメリカは、「イランは平和を乱した国」として懲罰目的の攻撃をする。これは空爆中心で一ヶ月は続くだろう。