【ぶんぶくちゃいな】現代中国女性たちの「生き方」とは
朝起きがけのニュースチェックのタイムラインに「名媛」という言葉が舞い飛んでいて、いったい何ごとかと思ったら、なんでも「上海名媛グループ3」なるSNSグループについての暴露記事が注目を浴びていた。
上海、そして名媛。このアンバランスな組み合わせに寝ぼけ眼のわたしはしばし考えた。
「名媛」とは日本語と同じく、「やんごとなきお家柄に生まれたお嬢様」という意味である。社会主義国の中国のどこに「やんごとなきお家柄」があるというのか? 中華人民共和国になる前の上海なら伝説になるような文字通りの名媛はたしかにいた。だが、ご存命中だとしても、もう軽く80歳は超えているはずのこうした名媛たちがまさかSNS上でグループ作ってくっちゃべっているわけがない。
つまり、現代の上海の名媛ってどこの誰?
この暴露記事の書き手は男性で、「上海名媛グループ3」に興味を持ち、グループ参加の条件である入会金500元(約7900円)を支払って加入した。もちろん、名前はハンドルネームだし、性別は女性にしておけばほぼ男性と見破られることはない。いや、もしかしたらこの入会金さえ払えばそれが女性だろうが男性だろうが、主催者は頓着していないのかもしれない。
その証拠にグループ名には「3」がついており、同じようなグループが複数存在することを示している。きっとどこかに「元締め」らしき人がいることは容易に想像できた。
蛇足になるが、驚いたことにこの話題でSNSのタイムラインが持ち切りになっているその時に、ある知り合い男性が「実はオレもメンバーになってる。オレがSNSにあげている豪華ホテルの写真はほとんどあのグループから『借り』たものだ」と告白した。おいおーい!
彼はクレジットカードや航空会社のマイルズポイントを集めては豪華世界の旅を楽しむ様子をネットに上げるのを「生業」にしている。それで本当にお金を稼げているのかどうかはよくわからないのだが、一度彼が所有するクレジットカードや会員かーどを見せてもらったことがある。分厚いカード入れにびっしりと様々な銀行やクレジット会社のカード、ショップの特典カードが詰め込まれていた。その人も羨むような特典交換手段をよくSNSで披露しており、裏では実際に事細かくポイントの稼ぎ方を教授して小銭をかせいでいるようだった。
それにしても、「名媛」への入り口がたった8000円弱とは。まぁ、そこからだいたい想像がつく。そこは「上海名媛」というより「上海名媛になりたい人」のグループなわけである。でも、500元のはした金(失礼)でわざわざ現代の名媛になりたい人たちっていったいどんな人たちなんだろう?
ふと、なんの脈絡もなく、1990年代の終わり頃に北京の「銀座」と呼ばれた王府井通りのはしっこに「皇家〇〇」という看板を掲げたゴルフショップのような店があったのを思い出した。
「皇家」とは当時香港でよく使われていた文字で、つまるところ「ロイヤルコペンハーゲン」などのブランドの「ロイヤル」を表す言葉だ。イギリスなどで王室御用達のブランドが賜る大事な歴史的な重みのある称号のはずだが、もちろん社会主義国のど真ん中に「皇家」店舗があるはずがない。きっと店主は中国ではありえない名ばかりの「皇家」をぶら下げて高級感を味わっていたのだろう。
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