【ぶんぶくちゃいな】「香港は植民地ではなかった」? 政府の仰天屁理屈に、英女王追悼で抵抗する市民
9月に入り、香港では新学期が始まった。
昨年のこの時期、メディアでは学生や教師の激減が大きく取り上げられ、香港政府は敢えて統計を取ろうとはしないものの、移民の流れが間違いなく激化していることが伝わるニュースとなった。
今年はというと、香港全体約534校ある小学校のうち約11%に当たる63校で、開設クラス数が昨年より70クラス減ったと報道されていた。特に新1年生は46クラス減とその半分以上を占めている。昨年よりも新1年生のクラス数が増えた学校も一部あるものの、37校ではなんと1クラスのみしか開設されず、その中には1クラスを開くに十分な人数すら集まらなかった学校もあるという。
大都市のはずの香港で、山奥の過疎の学校並みの事態が起きている。
香港教育処は公立小学校に対して、生徒24人集まれば2クラスを開設しても良いとする指導を始めた。つまり、1クラス12人の「ゆとり教育」というわけだが、そうして無理やり開設クラス数を増やすことは税金の無駄遣いにならないかという声もある。
だが、その一方で教師の離職も驚くほどのスピードで進んでいる。ニュースで紹介されていた中高一貫校では昨年度は60人余りいた教師のうち、この夏休みには20人あまりが離職した。辞職の理由は全員が移民というわけではなく、中にはもっと条件の良い、あるいはランクの高い学校に移った教師もいるのだそうだ。つまり、教師の離職ブームによって学校間で教師争奪戦が起きているのである。
一挙に3分の1もの教師が去ったこの学校では、受験を目前にした学生に与える影響を心配している。
というのも、経験豊かな教師が海外へ移民して抜けていくため、その全体数が減っている。教師争奪戦で十分な教師を集められなかった学校は、その穴埋めを大学を卒業したばかりや、教学経験の少ない人たちに求めた。本来ならそうした教学経験のない新米教師は1年生や2年生を担当し、彼らが年長になっていくのに伴って高学年を担当するのだが、現状ではあまりの人手不足から受験生生たちを新たに赴任した教師が担当するケースも起きている。だが、ただでさえ受験でナーバスになりがちが学生たちは、気心の知れた教師たちを失い、これまでとは教え方が違う新教師に馴染混なければならず、動揺が広がっているのだ。
こんなふうに、今の香港はまさに誰もが未来の予想がたたない、「人心惘惘」――茫然自失の状態にある。無責任と去っていった人たちを罵ることもできるが、だが彼らが直面していた不安は実は「明日は我が身」状態であることを知っている人たちは、その不安を吐き出すことすら政治的タブーと見なされる中で窒息しそうになっている。
そんな中、9月8日未明に英エリザベス女王の死が伝えられ、香港で大きな感情の渦を引き起こした。
●「香港は植民地ではなかった」の仰天解釈
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