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【ぶんぶくちゃいな】ポッドキャスト「不明白播客」:リネット・オン「外注される鎮圧:中国はいかにして社会を制御しているのか」

中国では今、コロナ・パンデミックの不快な記憶を拭い去ろうと、必死に経済振興が語られている。しかし、政策措置解除直後は期待された経済の動きも思ったほど振るわず、先に発表された6月の経済実績は甚だその期待を裏切るものとなった。

大学新卒者を含む若年層の就職難は一部の研究者によると、実質40%にも達しているとされ、コロナ期に解雇された30代、40代の中年層の就職もスムーズに進まず、これまでブイブイ言わせてきた中産階級とその予備軍たちの間で言葉にできない不安が広がっている。

言葉にできない――のは当然ながら、「社会に不安を及ぼす」ことにつながることへのネガティブな感情である。ニュースは10年前に比べて明らかに不安要素を正面切って取り上げなくなり、かろうじて経済データが事務作業的に報道され、論じられるだけだ。未来予測に至っては、そこに不安要素があっても語られない。つまり、「言葉にできない」範囲がどんどん増えていることが、そんな報道記事を読んでいても伝わってくる。

一体、中国という国はいかにしてその鎮圧を成功サせているのか。上海という大都市を、「ロックダウン」という言葉を使わずに実質的にロックダウンしてしまったことからも、この国が持つ強大なパワーが伝わってくる。そこに住む人たちはいかにしてこの強大なパワーに封じ込められているのか……

今回は、また「ニューヨーク・タイムズ」記者の袁莉さんのポッドキャスト「不明白播客」(わからないVlog)から、なんと「外注される鎮圧」についてのインタビューをご紹介する。袁莉さんについては、これまでの配信でもすでにご紹介しているのでここでは割愛する。

なお、以下文中[]で示したのは筆者による補足、さらに[*]で日本人の一般読者の理解に必要と思われる事情の解説を追加した。


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