【ぶんぶくちゃいな】「ぼくらは民意で選ばれた」辞めていく香港区議会議員の想い
先週末から今週初めにかけて、日本の各メディアに「香港の民主派区議会議員が大量辞職」の記事が流れた(NHK/読売新聞/朝日新聞 )。
朝日新聞の記事のように、新型コロナ規制もあってフリーランスも含めて外部から香港入りできない間に起こった大きな政治的背景の変化について触れた記事もある一方で、相変わらずその瞬間の事実だけを述べた報道もある。だが、どちらにしても、日本で暮らす人たちがそれを読んだだけでは、「大変なことが起きている」ということはわかっても、そこに至るまでの経緯をことこまかに理解するのは難しい。
その経緯とはまさに、「香港市民がかろうじて実践できていた政治参与」の最後の可能性が削り取られるまでの流れだ。今年3月には今後の選挙に向けた大きな制度改革が行われたことはすでにお伝えした。
新しい選挙制度では、中国政府がその意志を左右できる商業機関や団体、中央政府任命の委員や代表らによって立候補希望者がフィルタリングされることになり、名もなき「民」がその意志を投じることができる可能性が徹底的に削られてしまった。これを中国と香港の政府関係者は「改善」と呼ぶが、「善」とはいったい誰のためなのかはいちいち口にするまでもない。
だが、この制度改革よりもずっと人々の心にのしかかっている事件を無視して、香港社会の今後を語ることはできない。
それは今年1月に起きた、2020年立法会議員選挙「予備選挙」関係者の大量逮捕だった。
●「政府にNo!」を突きつけた2019年区議会選挙
このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。