【ぶんぶくちゃいな】興行成績更新続くも…岐路に立つ香港映画界
香港映画業界がこの2、3年、すっかり忘れていたにぎわいを取り戻している。
まず、昨年公開された『毒舌大状』(邦題『毒舌弁護人〜正義への戦い〜』)の興行収入が公開からわずか32日で1億香港ドル(約20億円、レートは執筆時の12月14日現在で統一)を突破し、香港の映画興行史上初めての「1億ドル」作品に躍り出た。もちろん、欧米作品を含めた香港興行成績の塗り替える記録である。
続いて、今年5月に公開された『九龍城寨之圍戰』(邦題『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』、以下『九龍城砦』)が公開から62日後にまた1億香港ドルを突破する好成績を上げた。現時点では後者は『毒舌大状』を抜くまでには至っていないものの、堂々と歴代興行収入第2位に輝いた。
すると、である。この11月9日に公開された『破・地獄』(邦題『ラスト・ダンス』)の封切り当日午後5時までのチケット売り上げが550万香港ドル(約1億800万円)を達成。『九龍城砦』が打ち立てた同記録519万香港ドル(約1億270万円)を上回る人気ぶりを見せた。その後も興行収入は破竹の勢いで伸び続け、とうとう12月7日に1億2200万香港ドルを突破、『毒舌大状』を抜いて歴代興行成績トップに立った。
香港映画界がかつて、「東洋のハリウッド」と呼ばれていたのは1980年代から1990年代のこと。当然のことながら、今では1席分のチケット代も数倍に値上がりしているため、単純に「チケット売上」だけで当時を持ち出してその優劣を比べることには無理がある。だが、わずかここ2年間のうちに出現した作品が次々と同時代の記録を塗り替えていることは注目や比較に値するだろう。
とはいえ、この3本のヒットにはそれぞれ、ちょっとした違いと意味がある。香港映画界の現状を語る前に、まずその点からお話ししたい。
このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。