【ぶんぶくちゃいな】「アップル・デイリー」は中国共産党100週年の生け贄にされた?
日本でも大きく報じられ、産経新聞に至ってはトップに哀悼の言葉を掲載した、香港紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)の発行停止。編集者出身の経営トップら5人が突然逮捕されてからちょうど1週間目という、ものすごい速さで廃刊が決まった。
直接の原因は5人の逮捕とともに、アップル・デイリーの親会社である「壱伝媒」(ネクスト・デジタル)の資産口座が警察によって凍結されたこと。
凍結直後は「それでもあと数ヶ月は大丈夫」「少なくとも今月末までは」…といった声がメディアに流れていたが、5月から昨年8月に逮捕された黎智英(ジミー・ライ)社主の個人資産が凍結されたままで、そのことを考えるとネクスト・デジタルの口座凍結がそう簡単には解消される可能性はなかった。さらに1000人を超える職員たちへの離職手当などを考えるならば、残された資金でジリ貧の運営を続けるよりも、今考えられるベストな方法で発行を止め、職員たちを路頭に迷わせないことを優先したようだ。
日本の報道でも強調されているが、このアップル・デイリーは今や「民主派」新聞とみなされ、香港国家安全維持法(以下、国家安全法)施行後、ますます追い詰められていく香港の民主派にとってある種「希望のメディア」だった。その存続は当然、民主を求める人たちにとって非常に大きな意味を持つのは明らかだが、一方で今後さらに追い詰められるのが明らかなのに運営を続けることは職員たちとの共倒れになってしまうのは間違いない。
その結果、ギリギリな状況下で見栄や意地をはらずに実を取るという、アップル・デイリー及びネクスト・デジタルトップの判断の柔軟さは称賛に値する。
この「職員の利をとる」という手法は、この4月まで進められていた台湾「アップルデイリー」身売り交渉でも発揮されていたことはすでに【ぶんぶくちゃいな】「アップル・デイリー」の先に透ける、中国政府の「標的」でもご紹介したので、ご興味ある方はぜひごらんいただきたい。
なお、今回の逮捕劇及びアップルデイリー攻略、そしてこの間の状況変化において、この記事でわたしが結論として上げた「中国政府の『標的』」については、ますます確信が深まってきた。
以下、今回の逮捕劇から始まった一連の流れと観察をまとめておく。
●消えた「シビリアン・コントロール」の伝統
「中国ニュースクリップ」でも取り上げたが、このアップル・デイリー廃刊翌日の25日、香港政府は新たな政府トップ人事を発表した。
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