《フェイクニュースとネット言論》(「Journalism」11月号):キレイ事を言うかたわらで自らフェイクニュースを垂れ流す、日本のマスメディア
「フェイクニュースとネット言論」というテーマの朝日新聞社発行の雑誌「Journalism」11月号。9月に行われた公開座談会がメインになっていますが、そこでどうどうとフェイクニュースが語られ、それがそのまんま訂正も注記もされずに掲載されています。
わたしはこの座談会に聴衆の一人として参加し、質疑応答でそれがフェイクであることを指摘しましたが、記事では質疑応答は完全になかったことになり、壇上で語られたことがまるで事実であるかのように述べられています。知らない人はきっとこれを事実として記憶するでしょう。
わたしの指摘と論点はここに再掲しています。
◎「フェイクニュースの現場より」
つまり、あそこでわたしが中国専門のプロとして指摘したことは完全にムダだったことになります。中国関係のフェイクニュースはこうやって生半可な「知ったかぶり」の勘違いからたくさん生まれています。
わたしは一応、中国事情を書いて長年飯を食っています。「Journalism」さんにもなんどか原稿を書いてきました。全く知らない仲でもなく、「どこぞの馬の骨」と思われるはずはありません。ですが、そのわたしの指摘を「Journalism」を完全に無視して、問い合わせや確認もないままに、フェイクニュースをそのまんま掲載しています。
指摘があるのに訂正しない。これこそがフェイクを流布する「メディアのおごり」ではないでしょうか。
良い雑誌だと思っていたけれど、心より残念です。何よりも恥ずかしすぎます。なんかもう、日本のメデイアの世界で間違った中国認識を変えていこうとする気力も失せました。
「ネット言論」どころか、フェイクニュースはメディアに関わる者の過信と自己陶酔から生まれる、という好例ともいえます。確か、その時の質疑応答でマスメデイア関係者が生むフェイクについても質問したはずですが、お答えくださったのは藤代さんだけで、壇上の現役マスメデイア関係者はスルーしましたしね。