【ぶんぶくちゃいな】目立ち始めた奇妙な社会対立:フェミニズムvsアンチ西洋主義

毎日、ネットで繰り返しニュースチェックをしていると、数々のニュースや話題から時折「ある傾向」に気づくことがある。先日、今回、そうして気づいたのは、中国の女性たちが自分らしい「生き方」や「主張」の手段を手に入れつつあるようだ、ということだ。だが、そんな彼女たちが直面するのは意外な「抵抗」勢力である。

その傾向を紹介する意味で、一部の例を取り上げた記事が「ダイヤモンド・オンライン」で公開されている。

この記事の中でご紹介したスタンダップ・コメディエンヌの楊笠さん自身は、記事にも書いた通り、「たいしたことないのに、自信満々の男って一体何なの?」という一言で大きな注目を受けた。

この言葉は女性視聴者たちには拍手と大喝采で迎えられた一方で男性コメディファンの激しい憎悪の対象となり、今年10月にイメージキャラクターとして起用されたオンラインショッピングサイト「京東 JD.com」(JDドットコム)には主に男性ユーザーから抗議が殺到、「会員サービスを退会する」「JDドットコムのサービスを今後一切使わない」などという脅しの声まで届き、イメージキャラクターから排除されてしまった。

中国では長らく、「ネットは男性の世界」と言われてきた。ネットが広まりだしたのは2000年代初めのことで、政府が世界貿易機関(WTO)加盟(2001年12月)をにらんで高学歴人材を育成すべく大学改革を行い、大学の入学募集枠を拡大すると同時に英語とIT教育を必修としたことがそのきっかけとなった。

だから、2000年代はまだ大学進学率が女子よりも高かった男子を中心にネットに触れる機会が増えた。もちろん、大学入学枠の拡大によって女子の進学率も次第に高まったが、都市に比べて地方になればなるほどまだまだ伝統的な男尊女卑の意識が強いため、女子のチャンスは削られてきた。

1992年生まれの楊笠さんが「たいしたことないのに、自信満々の男って……」というギャグを発したのは、2020年のこと。彼女が大学に上がった2010年前後にはすでに女性の進学率もかなり上がっており、すでに都会を中心に男性と互角に職場でビジネスキャリアを積む女性も増えていた。

だが、筆者はちょうどこの頃、北京で働くそんな女性の一人が、「経済成長は中国の女性に間違いなく自己発展のチャンスをもたらしてくれたけど、男たちの脳みそはまだ農村生活のまま」と不満を漏らすのを耳にした。そして続けた。「自分にふさわしいと思える男性が見つからなければ、今後の女性は自分ひとりで十分自分を養える。無理してそんな男たちの遅れた意識に自分を合わせる必要はない」と。


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