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【能登半島地震】地盤沈下修正プロジェクト実施報告

新潟家守舎は様々な工務店のサポートで、住まいづくりに携わっています。
能登半島地震が1月1日に起きてから、新潟市で「災害に強い工務店のあり方」について、考えさせられました。

今回は、新潟家守舎で実際に現場管理として、
沈下補修工事に携わりました。
その内容や学びをノートにまとめて、
今後の復興のために発信します。

今回のプロジェクトの概要

物件は、築35年のツーバイフォーで建てられた建物。
改良杭がなく160mm傾いて、
応急危険度判定で大規模半壊と認定されました。
建具枠やサッシもそこまで大きくゆがんでなく
躯体がただ傾いているという状態でした。

写真を見ただけでも、右側に建物が傾いているのが分かります

沈下補修の方法として、
今後住み続ける年数のとコストの面から、
土台揚げ工法で沈下修正を行うことになりました。

ジャッキアップを行うには、
・1階のお風呂も解体が必要
・基礎に人通口がないので、床を所々開口させないといけない
が必要でした。

そのため、将来の生活に備えて、一階をバリアフリーにリノベーションを行う計画も行うことになりました。

ガレージも左側に傾いています。
塀も傾いているので、
門扉が納まらなくなってました。
中は傾いている以外、大きな損傷はありませんでした。
ツーバイフォーは当時の作りでも
ある程度地震に対して強いことを実感します。

リノベ工事のポイント

沈下補修工事のため、普段のリノベとは違います。

・お施主さんが住みながらの工事になる
・さまざまな補助金、支援金があるので、申請について整理が必要

工期は7月末から2カ月。
(土台揚げ自体は2週間。)
真夏にお風呂に入れないのは大変なので、
土台揚げ工事と連動して、ユニットバスの解体と設置のタイミングも
超重要です。
今回は近くにホテルの銭湯があって、本当に助かりました。

35年前の建築中の写真。
これが復旧工事をする上で良いヒントとなりました。
みなさん、捨てないでくださいね!
床下に潜って、配管の状態や基礎の状態もチェックします。
人通口がない場合は、床を開口させる必要がありました。

補助金・支援金のまとめ

今回活用できる補助金・支援金は4種類です

A.応急修理制度(国+県) 【上限170.6万円】
B.修繕支援事業補助金(市)【上限150万円】
C.生活再建支援金 【上限200万円】
D.宅地等復旧支援 【指定の計算式による算定が必要】

補助金の対象となる工事や振込先(施主か、施工業者か)
算定対象の金額(税込か、税抜か)
それぞれ異なるので、整理していきます。

支援金・補助金のフローと資金計画を整理

土台揚げ工事の流れ

土台揚げの工事は、
基礎と土台の間にジャッキを設置して、
土台を持ち上げて水平に補修、
その後隙間にモルタルを詰めて、
横づけのアンカーを設置していきます。

土台揚げ前後にも準備や復旧のため、他の工事も絡んできます。

ジャッキアップ前
・床下に潜れるように、床を開口する
・基礎のアンカーボルトを切断しておく
・配管の切断

ジャッキアップ後
・束の交換、付け足し
・風呂の再設置

配管切断時は水やお湯が使えないので、その間だけ別の場所に非難してもらう必要があります。
ホテルの予約を取る必要もあるので、お施主さんと調整が必要です。
また土台揚げ工事中は、床下に曳家業者以外にも、大工・設備屋など色々な業者が入るので、このタイミングも被らないようにする必要があります。
そのため、工務店側のスケジュール調整は大切です。

給湯器周りの配管を切断していきます。
基礎の中の配管を切断しました。
ジャッキアップの機械を土台と基礎の間に
設置していきます。
ツーバイフォーの家は、壁面で構造を支える特性から、
サッシや建具の歪みが少なく、ほとんど支障なく使える状態でしたが、
アンカーボルトの量や床の構造が異なるので、
工事の工数が多くなりました。
玄関回りも設置
ジャッキアップ後、
隙間が空いて、外が見えました。
土台と基礎が離れたので、
この間にモルタルを充填していきます。
もちろん型枠の設置が必要なので、床下で組んでいきます。
床束も浮いて、防湿コンクリートと離れてしまうので、
間に束を入れて、接地するようにします。
場所によって、高さが変わるので、
束も高さに応じて、使い分けます。
モルタルで基礎との隙間を埋めました。
一緒に和室のインテリアも変えることにしました。
和室の畳の間も床張りにして、
バリアフリーにしていきます。
土台揚げで玄関の立上りが高くなったので、
上りやすいように踏み台を考えます。

無事完了!

土台揚げ工事後、
床の上貼りによるバリアフリー工事や、クロスや土間の補修も実施。

床貼り時に色々な歪みも一緒に直していきます。
畳の部屋も床張りをして、
リビングとの段差もなく、
バリアフリーになりました。
土台揚げで玄関の段差が大きくなったので、
踏み台を作って上りやすくします。
アプローチもひび割れが激しかったので、
今回土間を新しく打ち直しました。

まとめ

工事や申請、ともに手間のかかるプロジェクトでしたが、
何よりまず無事に傾きが直って、本当に良かったです。

もし震災が起きて被害があったお住まいがあった場合、
今回の復旧工事の経験を基に、
対策や補修方法について情報提供をしていきたいと思います。

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