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【オフィス・リノベーション】南魚沼市ゼネコンの島田組改装プロジェクト

新潟県南魚沼市浦佐のゼネコン会社、島田組のオフィスが完成しました!
今回のプロジェクトの紹介をnoteでまとめておきます。


オフィス改装プロジェクトについて

このプロジェクトは、ビジョンや理念などのリニューアルに合わせて
1階を改装したいという依頼を、
4代目社長の島田奏太さんより受け、始動しました。

島田組は、大正9年に創業され、地域の土木事業や線路のメンテナンス、学校などの中規模建築から個人住宅まで、浦佐の様々な土木・建築を100年以上支え続けてきた会社です。

まずは現況のオフィスの空間を確認します。
オフィスは浦佐駅から徒歩2分。駅から目と鼻の先にあります。

社旗を揚げるポールが並ぶ
RC3階建てのタイル張りのオフィス
エントランスと事務室は両開き扉で分かれており、
今の時代的には、少し閉鎖的な印象もありました
1階の事務室はあまり使われていないとのこと。
このスペースの使い方を考えます
パーテーションで仕切りつつも、
使用頻度が少ないので、荷物置き場化していました
『どんなスペースが良いか?』を島田組の社員の方と、
会社に関わる様々な方のシチュエーションを想像し、ブレストしていきます。

建築のコンセプトとデザインコード

オフィスに求める要素として下の3つが浮かび上がり、
コンセプトを『つなぐ。つむぐ。』としました。

『変化』
外にオープン、情報発信、島田組らしさ、コンセプトの共有

『風通し』
部署間の横のつながり、集まれる場所、前向きな文化を作る

『フレキシブル』
気軽な利用、デスクを持たない社員も働ける環境

また、デザインコードは下記の3つを掲げ、空間を設計していきます。

①情報発信をする本棚  
②可変性があり、多義的な空間  
③地材地建

本棚のトンネルをくぐるような空間
玄関に入ると島田組らしさを感じるように
会社の紹介や施工写真、100年の歩みを本棚に飾る計画にしました。
通常時は、軽作業やミーティングスペースとしての利用
イベント時は、社内発表会や新卒説明会など
小上がりをステージとして使うような
フレキシブルかつ多義的な空間で計画します
デザインコードは、
縦・横の交わりで、「つながり」を表現
縦を互い違いにずらし、「つむぎ」を表現
ラウンジスペースは。3つのゾーニングで計画しました
小上がりのスペース、バックヤードの割合、いろいろな用途を想定します
↑打合せ中に描いたスケッチ
せっかくなら外観も変えたいということで
本棚が外からも見える開かれた印象の外観を計画
本棚の作り方も考案します
天井の棚板をどう留めるかが納まりとしてのポイントでした

建築の空間について

昨年の2023年12月中旬ごろから解体工事が始まり、
工期約3か月で、3月末にオフィスが完成しました。

越後杉合板を200mmにカットして、
天井と壁をぐるっと囲んだ
本棚のトンネル
杉板の本棚が目立つように
建具は白に統一
コーポレートメッセージ『上を向いて、挑む』から、
天井の素材を印象的にします
魚沼産の杉合板とマホガニー合板・白塗装で地材地建
空間を明るくする白で塗装しつつ、
木目が残って味のある素材にするため、
白のふき取り塗装の加減はこだわりました
ラウンジスペース
イベント時はテーブルを移動して、大きく利用もできるように計画。
既存の窓の下台・カウンターは素材感を消すため、白で塗りつぶし塗装しました。
窓の存在を和らげるためのルーバー
ルーバー材には、厚みのあるツーバイフォー材を選定し、
密度は2丁開け、圧迫感がないように
部分的にCGを作り、バランスを決定しました
バックヤード部分をゆるく仕切りつつも見通しせるように
アイストップの本棚をデザインしました。
大テーブルは井口製材所で古材を購入して制作しました
合板の小口もテープで処理するのではなく、表しにします
通常は下地材に使う合板なので、
実は現場の大工さんから、これが本棚の仕上げ材なの?間違ってるんじゃない?
と言われてたみたいで、
島田さんからも「大丈夫ですか?」と何度も連絡がありました
その度、木材を運送業者に頼まず、
自分で浦佐まで運ぶことにし、現場を確認しました
出来上がると、杉板合板はシンプルな白の中で、
ちゃんと存在感を発揮してくれました
縦勝ちではなく、横勝ちに納め、
棚板を少し跳ねだしました
縦と横の交わりを表現しました
オフィスの中から外が見える
開いたエントランス空間に変わりました
外は1階部分をぬりかべで仕上げました
夕方になると、ガラス越しに中の本棚が見えます
上向きに進む様子の、黄色の新しいロゴ
ロゴに合わせて、外水栓も黄色にします

まとめ

今回は特に、素材に対して苦戦したプロジェクトでした。

マホガニー合板も、
どの大きさでカットするのが見た目が良いのか?
どの幅が塗りやすいのか?
材料取りが良いのはどの寸法か?
塗装の色はクリアー、グレー、白どれが良いのか?
塗り加減はコテで何回塗ればいいのか?ふき取りの方法は?

地産地建というテーマに素材を選んだため、
素材の見せ方が肝でもあり、
そのため色々な検討をしました。

ただプロジェクトや空間、プロセスを振り返ると、
新潟家守舎らしいものになったかなと思いました。

良い材料とも出会えたので、また他の物件でも試してみたいと思います。

クライアント
 株式会社 島田組(https://simadagumi.co.jp/
建築プロデュース・設計
 株式会社 新潟家守舎(https://niigata-yamorisha.com/)
   (共同設計 二階堂将(https://nikaido-ao.com/index.html))
施工 
 株式会社 島田組


おまけ

羽目板づくりも新潟家守舎内でワークショップ化して
インターン生も交えて、建築のプロセスを体験しました。

羽目板の制作風景
塗装屋やインターン生も交えて一緒に塗ります
サイズが小さいので、
ビニールシートを敷いて仕事の合間にぬりぬり
軽自動車で運べるサイズ感なので、
施工性もバッチリ

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