泡沫のユークロニア 依√感想(真相√までネタバレあり)
前置き:乙女ゲームはオタク人生の中でもほとんどやったことないけど、今年ピオフィに出会って沼落ちして(ちなみにピオフィの推しはニコラ・フランチェスカ)、ピオフィ製作陣を信じてユークロ買いました。総じて、買って良かったです。
※口がクッソ悪いんですけど沼の底からの叫び声ということでご容赦ください
【総評】
凍玻璃という歪んだ世界が生み出してしまった怪物。
私が彼を称するなら、こう呼ぶかなと思います。
とか格好つけて書きだしたけど、8割くらい「バーカバーカ!!お前みたいな頭いかれぽんちクソクズ男大っ嫌いに決まってんだろバーカバーカ!!」って思いながらプレイしてました。こんな男好きとか認めない。悔しい。こんな男好きになるなんて悔しすぎる。いや好きじゃないですけど、全然好きじゃないんですけど。まったくもって好きじゃないんです!!けど!!ね!!
何でこんな…こんなクソ男に…ッ!クソッ…悔しい…!ぜんっぜん!!好きじゃない!!んですけど!!全然好きじゃないんですけどね!!でも、クソッ…!!沼から…出られねえ…!
結局コイツの沼でバタフライスキューバダイビングする羽目になりました。
悔しい…悔しすぎる…こんな男好きになるなんて思ってもなかった…。いや好きじゃないですけど!!
というか、この令和の時代にこんなコンプライアンスフル無視男をよくぞ乙女ゲームに出したな!?って製作陣の気合と覚悟に拍手喝采したくなりました。
あと、同じ製作陣だからいいかなと、ちょっと横道にそれたこと言います。
巷では「ニコラっぽいかと思ったら楊じゃね?」って言われてて、立ち位置的にはそうかもしれないんですけど、個人的にはニコラの悪性を伸ばしたらこうなりそうだな…と思いました。(これはホントに個人の感想です)。ニコラは彼自身で思ってるよりは善性寄り(無関係な人間に迷惑をかけない程度というだけで善人でないところがミソ)の人間ですけど、依はそうじゃないので。
大切にしているものが「自分」か「自分以外」か、というところの違いだけで、性質としてはこの2人似ているのでは?と思ったり。特に似てるのは地頭の良さと底意地の悪さかな。あと、人のことをよく見て言葉だけでなく視線や行動で真意を図るところ。
まあ、これは本当に余談の余談です。
とりあえず、ニコラとは違う種類の「ニコニコ笑っている、腹に一物抱えた男」という製作陣の【性癖】をみせてもらいましたニッコリ。
コイツに関しては賛否両論あるのは当然だし、誰もが好きになるタイプ、それこそ帷みたいな男ではないので依を受け入れられないっていう意見があるのは当然そうだよなーと。
根っからのヒールで、誰かのヒーローにはなれない男。
でも、ただの狂人ではないところが、いっそ骨の髄まで狂ってしまえば楽だったのにそうじゃないところが、誰よりも人間らしいなって感じました。
冒頭で怪物って言葉を使いましたけど、正確に言うなら「怪物になり切れなかった人間」なんですよね。
凍玻璃に生きる人々のことを「人形みたい」と評していた彼が「人間らしい」という感想を持たれることに皮肉を感じてしまうわけですが。でも、ディレクターさんや声優さんが依のことを「人間らしい、人らしい」と言っているのも、そういうところなのかなって。
自分が良ければあとはどうでもいいって、人間として多かれ少なかれ持っている感性だと思うんですよね。だからってやって良いことと悪いことっていうのがあって、そこを皆が守っているから社会の秩序ってのは保たれているわけで。だから依がしたことは「悪い」のはもう間違いないし、そこに一切の情状酌量の余地はないんですけど。
でも、自分の手の届く範囲が快適であればそれでいいという感覚自体は決して間違ったものではないよなって、個人的には思いました。こういうところが人間臭いんですよね、彼は。凍玻璃の人々じゃなくて、プレイヤー(私たち)側の感覚に近い。
やっていることは異常なんだけど、その感性自体は異常じゃなくて、手段を選ぶ倫理観があるかどうかだけの話で。(その倫理観が重要なんですけどね!!)
殺人に興じる趣味も快楽を感じる感覚もないけど、人がどう死ぬのか見てみたかったという気持ちはなくもない。自分のプライドに障る人間は殺したいほど許せないけど、彼我の差を自覚できないほど馬鹿でもない。自分が良ければ他はすべてどうでもいいけど、その思考が周囲に受け入れられないこと自体は理解している。嘘を吐くことが正しいとは思ってないけど、自分が快適に生きるための嘘を悪いとも思ってない。
書けば書くほど、器用に生きているくせに生きるのが下手くそな男だな…としみじみ思ってしまいますな…。生き方が下手くそすぎる…もっと「普通」に生きられたら良かったのにね。
他√の依が比較的まともに見えるの(淡雪√は論外ですが…)って、彼の深淵を覗いてないからっていうのが大きいですよね。あと、まあまあちゃんと社会の中でそれなりに生きようとしてるところも、依の一面ではありますし。
帷√で淡雪が「癖がものすごくあるけど機関兵としては優秀」とか石蕗がCGコメで「賢明で任務には忠実」とか言ってるあたり、家柄だけではなくてちゃんと実力もあるという。
それが、依が貴族社会や黒鶴でそこそこまあまあうまくやってることの証明にもなっているというか。唯我独尊なんだけど、社会全体のルールに常に違反してるわけじゃなくて、自分に不利益がなければまあ従ってやってもいいという感じ。ただのサイコパス狂人なら、その辺の尺度すらない場合もありますし。
そのバランス感覚が、彼が「人間らしい」と評されるポイントの1つなのかなーという。
いやまあ、善か悪かでいえば極悪だけど、0と100だけで語れないところが人間の人間たる所以ですからね…。
淡雪√だとマジでただのクソヒールになってますけど、アレもある意味「嫉妬」とか「劣等感」という人間だからこそ抱く感情が行動の根源になってますよね。理由のない害悪じゃなくて、理由が明確すぎて逆に「そんなことで!?」ってなってしまうっていう。
ただ、貴族社会って平民が思っているよりも見栄とかプライドだけで飯を食っている人間が多いので、平民が貴族に負けたという事実は、平民(プレイヤー含めて)が思っているより重いものなんだろうな…というひとかけらの同情もあったりする。まあ、そもそも平民に手出してる時点で終わってますけど。でもあのモブが余計なこと言っちゃってる感も無くは、ない……うーん……依の性格見抜けなかったんですかね、あのモブ。
ただでさえ石蕗と比べられて、たぶんだけど「西二の次男は出来損ない」とか言われてそうなので、そこに平民に負けた事実が乗っかってきたとすれば、かなり精神的苦痛を味わってそうではある。
悪意しかない男だけど、もしかしたら彼は周囲からの悪意で歪み切ってしまったのかな、とか思ったり。まあ元々欠落している部分も大きくあるでしょうけども。たぶん石蕗とあそこまで比べられることが無ければ、元々の性根の悪さはともかくもうちょっと仲良くできてただろうし(嫌味言いつつ軽口叩き合えるくらいの関係性とか)、淡雪に負けてなければあそこまで選民思想に染まらなかったかもしれない。
うーん、生きるの下手すぎ選手権一位。
とりあえず自ルート以外で本心を見せない男が好きすぎるので、結局コイツに沼ってしまうのは仕方ないことだったのかもしんない。いや、好きじゃないですけど。
ていうか、矢代と依という2人のサイコパス抱えた状態の凍玻璃って大丈夫なんですか??
【BESTの話】
初手の出会いのシーンから、胡散臭さと唯我独尊が服着て歩いてるみたいな男出てきて手叩いて笑ってしまった。
一応、刃の方を姫君に向けない優しさ(あえて優しさって言うけど本当は優しさじゃなくてただの合理性でしょうね)はあるんだな、と。ここから思い返すと、すでに彼の性格が垣間見れて良きですね。
別に個人的には姫君が怪我しようがどうでもいいけど、ここで怪我させて自分の責任を問われて面倒が起きるのは嫌だからとりあえず峰にしとこってことですよな。うーん、清々しいほど合理的かつ最低。
プレイ前はもっとずっとヘラヘラしているタイプかと思ってたんですけど、割と機嫌とかが素直に顔に出るタイプなのおもしれーなコイツって思って眺めちゃいました。てか、この人ご機嫌な日ってあるんだろうか。あ、新作の抹茶パフェとか食べた日は機嫌良さそう。
余談ですけど、依ってこんな感じなのに酒に弱くて甘党なのマジでズルい。ズルすぎる。属性盛らないで。上司とかの飲みの誘いとかあるんだろうか?どうしてんだろ。飲んだらすぐ酔うのか、体調悪くなるのか、どういう感じなのか気になります。
雛菊ちゃんが飲んでたワインを奪ってた時は顔には出てなかったけどなー。出さないようにしてたのか、急に限界くるタイプなのか…。限定ドラマCDとかで弄られてないのかな、弄るの無理か、依様だし(笑)
ぜひ続編でベロベロになった依見たいです。お願いします。
ちょっと横道それました、失礼しました。
依ってえぐたくさん(声優さん)に「誠実な人」って言われてて、プレイし始めてどこが!?って叫んだりしてたんですけど、よくよくセリフ聞いてると嘘吐いてるとき明らかに声音が違うんですよね。ワントーン明るくなって、ちょっとねばっこくなる。
「今言ってることは嘘だよ」って示しながらしゃべってる感じ。
必ずしも当てはまらないんですけど、法則としてはかなり当たりじゃないかなーと思ってます。
なので、誠実かどうかはともかく、ちゃんと気をつけたら「彼が嘘を選んで吐いている」というのが分かるというのは、まあ他の嘘つきキャラに比べたら分かりやすいかな、とか。
その点で言うと、「平民にいじめられてた」とかの辺りって明らかに白々しい言い方になってるんで一発で嘘って分かるんですけど、それを信じてあげる雛菊ちゃん本当にいい子すぎて…。詐欺に引っかからないか、おばちゃん心配になりました。
この手の男が身の上話し始めたら大概相手を騙そうとしているってばあちゃん言ってた。
たぶんそうでなくても義務教育で習う。凍玻璃にはなかったのかな(?)
まあ、虐められてたとは思えないしアレは嘘でしたけど、それはそれとして士官学校時代に「西二の長男は出来が良い、それに比べて次男は…」みたいなこと言われたというのは想像に難くない。そのタイミングで平民である淡雪に負けたのって、たぶん依の人生の中では相当なダメージというか、汚点なんだろうな。総評にも書きましたけど、「兄に敵わない上に平民にも負けるなんて、西二の次男は出来損ない」って言われてそう。自分で書いてて胸が苦しくなってきた。
一貫して、依√で周囲の人間が「依でいいの!?石蕗じゃなくて!?」って言うの、マジで地味にダメージなんだよな、個人的には…。そりゃあそこまで性格悪いってみんなに知れ渡ってたら、明らかに石蕗の方が良いってなるでしょうけど!
枸橘までが「西二の…」って雛菊ちゃんに言われた瞬間に石蕗呼ぶのはマジで死ぬほどしんどかった。
依の婚約者って分かってんのにそれでも石蕗呼ぶの??何で??何でそんなに……ウッ……
あと、雛菊ちゃんが言ってもないうちから「ボクより石蕗の方がいいでしょ?ハイハイ知ってる知ってる」みたいな発言すんのさぁ……依さぁ……みんなにそう言われて今まで生きてきたってこと……??ンググググ………。
ちょっと話飛びますけど、BESTのラストでも「姫君はボクみたいなのじゃなくて石蕗みたいな真面目なのが好きなんじゃないの」って、雛菊ちゃんが何も言ってないうちから言うの悲しかったな…。きっと、彼はずっとそうやって言われてきたんだろうな。
なんか、そこまで比べる必要ある?って思っちゃった。彼自身、優秀だとは思うんですけどね…恐ろしく頭回るし。比較対象が石蕗だから色々言われてしまうだけなんですよね、きっと。その点だけはマジで依のせいではないので…。こんな男に同情したら頭おかしいって思われそうですが(笑)。
プレイ途中の感想でも書いたんですけど、優秀で人気で心優しくて非の打ち所がない兄と、その背中といつまでも比べられる宿命を負った弟って感じが、プレイした人の感想にそのまま表れてる気がするんですよね。感想漁ってみたら「依じゃなくて石蕗がいい!」「石蕗が攻略できないのおかしい!」って言われてて、まあそりゃ普通の感覚なら絶対に石蕗がいいに決まってるんだけど…
「石蕗がいい〜〜〜!」って叫びを聞くたび
依が後ろでくしゃって顔を歪めてる気がするんだよな……。
周りからもずっと言われてそう、お前じゃなくて石蕗がいいって。プレイヤーの感想がそのまま、依が凍玻璃で受けていた扱いな気がして、何とも言えない気持ちになりました。
元々の欠落した部分とか歪んだ部分とか、彼の言葉を借りるなら、依が「ボクがおかしいのはちゃんと分かってるんだ」って自覚しているところがあるのはあるとして、周囲からの悪意によってその部分が助長されてここまで歪んだのでは…としょっぱい気持ちに。
どうしてここまで放っておいたんだ……誰か助けてやれなかったのか……。
助けてやれなかったんでしょうね、依は「おかしい」から。
依って実年齢より言動とか感覚に幼い部分があると思うんですけど、あの幼稚さって愛されずに育った人の典型だと思うんですよね。彼が家族に言及する場面(凍玻璃の誰よりも最速で雛菊に手出したあの問題シーン)がありましたけど、あそこはたぶん本当のことを言っている気がするので、あそこと終盤のセリフを信じるとすると、彼は生みの母親にさえ拒まれていたんだろうな、という事は想像できるわけで。
どんな貴族の家でも、血統って他のことより最優先される事項だと思うんですよ。だからこそ貴族は結婚して跡継ぎを生んで…ということが求められる。西二の家が例外なわけはないので、その感覚自体はあるはずなんですけど、そうなるとますます依の母親が跡継ぎに石蕗を推した理由が分からなくてですね、非常に辛い。
実の息子より可愛がってた節が垣間見えてましたけど、マジでどういう感覚なんですかね。普通、こういう時って周囲が石蕗を認めたとしても母親だけは味方しません?父親は愛人(しかも平民)を外に作ってる段階で論外ですけど。貴族だから愛人の一人二人いたとしても、そこで生まれた子供を跡継ぎにしたがるってのがどういう理屈なのか全く分からない…西二の家はどういう教育方針なんでしょうか…。
もし続編を望めるなら、この辺を深堀りして依がどういう環境で育ったのか知りたいですね。お前も続編まで追っかけないと腹の底が見えない男か…(横目でニコラフランチェスカを睨みながら)
そういうとこ、そういうとこだぞ西二の依。
あと、これは完全に好みの問題なんですけど、私は石蕗がまったくタイプではないので、良い人だなーと思うし、きっと優秀で真面目で結婚したら幸せになれるんだろうなという理解はするんですけど、「良い」とは思いませんでしたね…。我ながらひねくれている…。依に似ているのか…?それはそれで嫌だな…(笑)。
雛菊が弟の婚約者になった途端に石蕗が贈り物しだすのも、個人的には「えええ…?」でした。婚約者になったことを知らなかったわけではなかった、はずなので。いやそれは普通にアウトやろ。例えば、露草とか矢代からの贈り物なら、依もあそこまで目くじら立ててないと思うんですよね。依が彼らにコンプレックスがないっていうのもあるけど、雛菊と以前から友人だったっていうところもあるので。嫉妬して嫌味言ったとしても、それで許してそう。その点、石蕗はさほど接点もないのに行動が脈絡なさ過ぎて、恋心を忍ばせる気ないやんっていう…。あれ、雛菊ちゃんがにぶちんでなかったら気づいてたよな…。本当に真面目で実直な「だけ」の男なら、ああいう行動には出てないよなーとちょっと思っちゃいました。
あと彼の立場的に、雛菊と結婚するとしたら彼女は嫁にいかなきゃいけないので、東五はなくなる。それでは雛菊が一番大切に想っている「当主」という立場と領民を奪うことになるわけで。そんな相手と結婚して、雛菊が幸せと思えるか?と問われると、たぶんNOなんだよな…。石蕗は「女性」は幸せにできても、「雛菊」は幸せにできないんですよねー。皮肉だなあ…。
また横道にそれたので戻します。
個人的に、依の「お前そういうところだぞ」ポイントの1つは、嘘を吐く目的が「姫君を騙して弄ぶため」ではなく「雛菊の気を引くこと」だったというところです。結局、フタを開けたら姫君を振り向かせるためにアレコレやってたんだっていう。
自分の目的を果たすために姫を使い捨てて良いと思ってるなら、嘘を吐き続けて騙して騙して、死ぬまで騙したままでも良かったはずなのに。そこまではいけなかったんですよね、この男。最初は【淡雪と石蕗へ嫌がらせしたい→雛菊と婚約→適当なところで捨てる】だったんでしょうけど、うっかり惚れちゃったもんだからこの計画が狂っちゃったんでしょうねえ。ざまぁみろ。
最初の動機は石蕗と淡雪二人への当てつけだったんだろうけど、マジで自分が姫君にハマるとは思ってもみなかったんだろうな、この男…。
クックックッ……落とすつもりが落とされてやがる……クックックッ……
騙したままで好きにならなきゃよかったね?姫君のことなんて。そしたら石蕗のことは陥れなくても、気取られることなく目的だけ済ませて無事に自分の望む快適な世界を作れたのにね?
ざまーみやがれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
雛菊が自ら気づいて依を問い詰めに行くの、後先考えなし行動派お嬢様って感じでマジで好きでしたね!ここで彼と向き合う行動をできるか否かでBESTかBADになるのも、このお話のうまいところ。
BEST√のはずなのにビンタCG見れて笑いました。
ド修羅場やないかい。
でも、あの依にビンタかまそうとするあたりおもしれー女ですよね、雛菊ちゃん。お嬢様だしお上品に育てられているはずなのに、怒りが湧くと手が出る姫君…。その胆力は依と結婚するにあたり絶対に必要なものだぞ…。
例えここで決別したとしても、依の本心を知らないままなのは嫌だ!って向き合うことがBESTエンドへの分岐点なのだとしたら、依は「自分と真正面から向き合ってくれる存在」を求めていたのかもしれないですね。この男から逃げたら地の果てまで追っかけてきそうなので、追っかけてくるのを迎え撃ってビンタかますくらいの方がちょうどいいのかもしんない。
しかし、ビンタするあたりではまだ全然依の本心が分かんなくて笑いました。コレBESTエンド入れる兆しある?って思いながらプレイしてたんですけど、あとでBAD回収する時に好感度が低いとそもそも向き合うための選択肢が出ないことに気づいて、お前そういうとこだぞって殴り飛ばしたくなりました。
そしてついに第8章でBEST√入れたはいいけど、しょっぱなから不穏すぎて「これは本当にBESTなのか!?」」と何度もセーブ画面を見返してしまった…(笑)。
何回見てもBESTでした。あっそう…そうなんだ…これで…ふーん…この感じでBESTね…。
とか思っていたら花畑燃え始めて「!?!?」って慌てたんですけど、そのシーンのCGが本当に好きで。
ここで初めて、依がちゃんと笑っているところを見た気がするんですよね。張り付けた微笑でもない、相手を挑発する笑みでもない、普通の笑顔。
なんか、生まれたのが凍玻璃じゃなかったらこの人ここまで異端扱いされなかったよなあ〜と思ってしまった。
ほんとのサイコパスって、例えば苦しむ様が見たいから無差別に人を殺すとか、とんでもねー猟奇殺人をするとか、私が知ってるやつで例を出すとピオフィのファントムみたいな輩だと思うから、依をただのサイコパスと形容するのはまた違う気がしてるんですけど。でも、サイコパスではあるんですよね、凍玻璃の民からすれば。
そもそも、依が思ってる「この世界の人間はまるで人形」っていう感想も、ある意味正しいんですよ。しかも、真相√でそれが証明されてしまうという。遺伝子いじられてるなら、それはもう「人形」と同じこと。遺伝子いじられてるのは平民だけですけど、その平民を当たり前に受け入れて何の違和感も持っていない時点で、貴族たちも異質ですよね、本来なら。
凍玻璃の人は異常な信仰を持ってて、それに疑いすら抱いてなくて。そりゃ気持ちわりーってなるっていうか。凍玻璃で生まれたはずの依が、それに対して違和感を覚えていること自体が「異端でおかしい」ことだったんでしょうね。
人を殺すことに罪悪感がないという点で言えば淡雪とか矢代もそうだから、その部分だけでいうなら依だけが突出して異常というわけでもないんですよねえ。私がサイコパスなんか??(笑)
雛菊はそもそも世間知らずというか、凍玻璃の上辺しか見ていなかったから、殺人とかそういう事が起こる事態すら彼女にとっては「ありえない」。なので、そりゃ彼女から見たら立派にやべーヤツなんですけどね、依って。
最終章でやっと彼の腹の中というか、恐らく誰にも言ってなかったであろう彼の心の中を垣間見れたんですけど。本当に狂って狂い切ってる人間って、自分がおかしいとは思ってないんですよ。
『ボクがおかしいのは、ちゃんと分かってるんだ』というこの一言で分かっちゃったんですけど、彼はまだ狂い切れてないんですよね。人間と怪物の間にいる。
人間が嫌い、って言ったんですよ、彼。
人間なんてどうでもいい、じゃなくて。
「好き」の反対は「嫌い」じゃなくて、「どうでもいい」なんですよね。でも彼は「どうでもいい」とは言わなかった。小さな違いですけど、大きなポイントだと思います。何のポイントかって「お前そう言うところだぞ」ポイントです。彼をどうしても嫌いになれないところ。ンガガガガガガって胸を搔きむしりたくなるところです。
まともに生きようとした事があるのは、自分のためじゃなくて家族のため。
自分を異端だと知りながら家族として扱おうとした、善良な人間たちのため。
依に善性があったとしたら、この時に使い切ったんだろうなーと思ってしまった。元々、善性の在庫が少ないタイプだったとは思うので。
そして色々ありーの投獄され―の、
お前は何で作中で2回も牢屋に入れられてんだよ趣味なのか??
というのはおいといて。
例の「お前そういうところだぞ」ポイントの到来です。ええ、あの大事件ですよ。【ハンカチぽろっと落っことし事件】です。
これは有罪ですよ。マジで有罪。もう死刑確定。
何だこの男は。
何なんだこの男は!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ここであのハンカチ出てくると思ってなくて、あーたぶん捨てたんだろうなこの男…とか思ってたら、まさかのポケットから出てくると思わなくて
驚きのあまり勢いよく椅子から立ち上がってしまいました。(実話です)
何で、何で持ってんの!?!?!?しかもなんか大事そうだしちょっと気まずそうだし!?!?!?!?!?!?!?
ここで下手な言い訳せずに無言でサッと懐に仕舞うの訳分かんない。だってここで適当に「姫君からもらったものだから…」とか何とか言っとけば、姫君のことだから騙されてくれたかもしれないんだよ??それを何故利用しない!?
ハァ~~~~~~~~~~~~~そういうとこだよ、そういうとこなんだよこの男。
吐く嘘を選んだのか、嘘が吐けなかったのかわかんない。吐けなかった説に一票だけど、たぶんコイツ一生明かさないな。
でもここでやっと「依は本当に姫のことが好きだった」というのが分かって天を仰ぎました。
いやここで!?!?獄中ですけど!?!?!?もう手遅れでは!?!?!?
そもそも、姫君を騙して弄ぶだけならハンカチもらったあの場面で「嬉しいな、ありがとう。大切にするね」とかなんとか言ってさあ、甘い顔してたら良かったじゃん?
さすがのボクでも喜ぶよ、君からのプレゼントだからね。みたいな?ことを言えば?騙せたじゃん?
でも実際は反応うッッッッッッッす…?って感じになってたじゃん…。あれちょっと「んん??」ってなったんですよ。
わたしゃてっきり、喜ぶにしろ喜ばないにしろ「こんな安物のプレゼント貰ったのは初めてだよ。大事にはしないけどもらってあげる」くらいは言いそうだなとか思ってたんだよ。
だって性格悪いので。その後ハンカチ捨てそうとか思ってましたスミマセン。てかそのあと何にも音沙汰なかったから、絶対にコイツ捨てたんだろうなまで思ってました。
ネタばらしパートで「あのハンカチ?ああ、あんな安物捨てたよ。だって気品あふれるボクに似合わないでしょ」とか言いそうだなって思ってました。そういう事をする、できる男だと思っていたので…。
でも実際はさあ、ハンカチをさあ、肌身離さず持ってやがったんだよこのクソ男はよぉ……
やめてくれ……心臓ギュンッなるから……獄中にまで持ってきてやがる…ほんとに、ほんとに大事だったんだ……。
何の変哲もない、だけど世界で一枚だけのハンカチ。
他の誰のためでもない、依のために雛菊が心を込めた贈り物。
依は何で持ってたのか絶対に言葉にしないだろうけど、その言葉にしない男がポケットにずっと入れてたのか…と思っただけで脳汁ドバドバ出てぐちゃぐちゃになってしまう。
だってこれ、時系列的にあの花畑燃やしたとこでもポケットに入れてたってことでしょ!?連行されて一回おうちに帰らせてもらっているはずがないので…。であれば、コイツ普段から持ち歩いていた説が出てくるんですよね…。
もし連行された後に一回お家帰っていたとしても、それはそれで脳汁出る。わざわざ自分ちからあの書類とハンカチ持ってきたってことでしょ?
ンググググググググ………グオォォォォォォォォォ……(怪物憑きになりそうな声)
そして本当のネタばらしはここからとばかりに、石蕗に罪を着せた理由が分かって完全に頭抱えました。一回コントローラー置いて両手で顔覆って唸ってしまった…。
完璧だったはずの計画が狂った理由が「好きな子を兄にとられそうだったから」なのがマジで…
マジで…どうしてくれようこの男…。
あんな緻密な計画を立てられる男が、そんな子供じみた嫉妬で行動するというこの不可解ともいえる感じ。これこそが、依が「人間らしい」と思えるところなんですよね。普段は合理的に、自分に不利益が被らないようにだけ考えて生きているくせに、こうやって理にかなわない行動をしてしまうという。
だって別に、雛菊は石蕗を好きだとか気になるとか、依に一言も言ってないんですよ。依と違って良い人だなとは思ってたみたいだけど(それは純然たる事実として正解)。なのに、そんな不確かなことであの依が計画を変えてしまうほど、取られたくなかったんだなあ…。
しかも、自分よりも優秀な人間が自分の好きな子を好きだという状況で「自分は選ばれない、このままでは取られてしまう」と思い込んでる辺りがもう…もう…どうしてくれようこの男…ホントに…。
キャラメルとかドレス選んだりするの、どんな気持ちだったんだろうな…案外楽しく選んだのかもしれん。いやてか、普通に本気で選んでたってことですよね、CGコメントとかから察するに。
だってコイツは!!!!!!!!!!!!!牢屋にまで!!!!!!!!!!!もらったハンカチを!!!!!!!!!!!持ってきた男!!!!!!!!!!!!!!!!(血涙)
もうダメだよそういうの…こっちの心に爪痕残しまくりなんですけど…
最後の最後で、牢屋にヒロインちゃんが面会しに来たときの「え。」がめちゃくちゃイイんだよな……数少ない、彼の素の驚きだと思うんですよ。
予定狂ったし、どうせ良くて泉下送り、悪くて処刑だろうな〜って思ってたところに雛菊ちゃん来るのは確かに驚きだろうな…。てか私も驚いた。減刑望むんだ??っていう…(笑)
淡雪√でも思ってましたけど、牢屋に入ることに不快感は示してもそこから出ようと思わない諦めの良さというか潔さみたいなのありますよね、コイツ。足掻こうとはしない、っていう。
婚約破棄しないの?キミはボクみたいなのじゃなくて石蕗のようなやつが好きなんじゃないの?っていうスタンスが一貫しているのが、本人がどう思ってようと私は悲しかったな……。
(上でも書きましたが)彼の人生の中で何度言われたセリフなんだろう。
だからってどうかとは思う、クソほど性格悪いのは変わらない、ってのは前提として。彼が人間を嫌いになっていった過程に、きっと彼の心に溜まった澱が含まれてるんだろうな。
そんな男が……プレゼントされたハンカチを……懐に大事に入れて、た……
ダメだ何回考えても心臓ギュンッなる……
自分は姫君のこと好きだけど、姫君からの気持ちをもう期待してるわけじゃないところに、なんかこう、味わい深さを感じるんですよね…唸り声あげて走り出しそう…怪物憑きになってしまう…。
実際、婚約破棄される前提で考えてたぽいし。BESTエンドなのに最後の最後でBAD入るし!!!!!!
婚約破棄しませんって書面破り捨てる姫君が最高にかっこよくて惚れたけど、時間くださいって言ったら依と二度と会えなくなるの(たぶん処刑?もしかしたら枸橘に消された説もある)マジでこの制作陣ならではって感じで床に転がり落ちましたね。
ね~~~~~~~~~~~あと一歩やったやん!?!?!?!?!?!?ここでTHE END!?!?!?!?!?!?!?人の心なさすぎないか!?!?!?!?!?!?!?
っていう……
てかBEST入ってたのに最後の最後で攻略キャラ処刑エンドって何!?!?!?!?!?
私は初手で「婚約破棄しません」の方選んだので無事に終わりましたけど、あれって時間くださいって選んだらどうなるんだろ?って思ってやり直したら、普通に依と最後の別れすることになって「ンハアァァァァ!?!?!?!?」って声出ました。コレBEST√だよね?????????????
最後の最後まで盛り上げてくれるじゃねえか…でも心臓に悪いので二度とやらないでください。
そしてここから問題の(問題の??)後日談ですよ、ええ。
これはもう、皆さんと語り合いたい。
何ですかコレ?????????????????????????????
本編で全然語らなかった胸の内めちゃくちゃ語るやん?????????
姫君のこと「良い玩具」くらいにしか思ってなかったんじゃないの?????????
正直、本編だけだと「まあまあ好きかなコイツ」くらいだったんですよ。でももうね、あんな後日談お出しされたらもう沼に沈むしかないです。
何で??
何でこう、何でこの男はこういう……!!!!!!!!!!!!!!!!!
手出すの早かったから、後日談でも朝チュンとかすんのかなーコイツ…とか思ってたんです。すみません。全然だった、むしろ何かこう、反対方向だった。色々吹き飛ぶくらいの衝撃でした。
ぐっだぐだ言い訳いっぱい言いながらも最後「謝ろうかな」って思えるの、マジで初期からだとあり得ないことなので、それだけ姫君のこと好きになっている証拠なんですよね…クソッ……ウググググ……でも言い訳パート長すぎて声出して笑った。そこまで言い訳しないと謝れないの、マジでおもしれ―男。もう適当に謝った方が早かっただろ。そうしないのが、何よりの変化ですよな…。
雛菊の寝顔見ながらつらつらと色々独白しているあの言葉が、たぶん彼の本当の本心なんでしょうね…独白で嘘吐く必要はないので。
「でも、好きなんだ」というあのポツリと零された想いにすべて持っていかれました。
あ~~~~~~~~~~~~~~~~バカ野郎。それを何故雛菊に言わないんだよ……あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~…………何なんだこの男…ほんとに何なんだ……
しかも手を出したのも、遊びとかじゃなくて本気で石蕗にとられたくなかったからなんだな…という…いや最低なのは変わりないですけど。でもあれは、石蕗ザマァでも淡雪ザマァでもなく、彼の焦りからの行動だったという事実に頭抱えてます。あとちゃんと、彼女にとって負担だったと思っているところも。いや普通に最低ですけどね。一回死刑。
何よりマジで意外過ぎて目ん玉ひん剥いてひっくり返ったのが、
彼が雛菊の泣き顔を「嫌だ」と思っているところなんですよね…。
自分のせいで雛菊が泣いていたら嫌だと思うくらいには、彼女が好き。
これ爆弾すぎて、聞いた瞬間唸りました。だってこの手の男って、彼女が自分のせいで感情を乱しているのを嬉しいと感じるタイプで、泣き顔も「そそる」とか「もっと虐めたい」とか思うんじゃないんですか!?!?!?!?!?っていう……。
泣かせたくないんだ……散々翻弄して困らせて怒らせて、それでも彼女が泣くのは嫌なんだ……ふーん…そうなんだ…そうなんだね…。
この後日談で、彼が改心したという意味ではないんですけど、ちょっと人間に近づいたのかなって思いました。雛菊との出会いで、欠落していた部分が少し補われたのかもしれない。
ほんとに、ほんとにお前は姫君が好きなんだね…。ほんとに好きになっちゃったんだねえ…。あーあ…そうなんだ…ウウゥゥゥゥゥゥ……
改心する必要はないし、それは依ではなくなってしまうので嫌なんですけどね。
同情も哀れみも必要はないだろうけど、彼の隣でいつもビンタかまえてくれる姫君が彼を拾ってくれたのは、幸せなことなのかもしれない。
そして眠っている姫君を無理やり起こすこともせず、無理に唇を奪うこともせず、おでこにちゅーだけしていく男…。
「ボクの大事な眠り姫」って、言いましたね…この男…。大事なんだ…そうなんだ…姫君が大事なんだ……ンググググググググ……ハアァァァ~~~~~~~~~~~~………
君と出会って世界が狂い始めた系男、たまんねぇんだよ……(奥歯でよぉ〜く噛み締めながら)
主人公と出会わなければ自分の思い描いてた通りの人生を歩めたはずの男が、主人公との恋を知って愚かになっちゃって、世界が狂っていくというのがとても好きすぎるので、結局とても好きすぎるのである…クソッ……クソッ……
【BADの話】
いやまさかここで淡雪の異端性も出てくるとは思わないだろ!?!?!?が初見の感想でした。マジで主に手出すやつがあるか……それは本当に悪手だぞ……
まあ、それはそれとして、
依という男のクソでクズで人間として終わってる部分を濃縮還元して煮詰めて煮詰めてぎゅぎゅっと詰め込みました!!
みたいなエンドで一周回って拍手喝采しそうになりましたね。
私も含め、皆が思ってた依ってこっちだよねっていう。
いやでもこれたぶん、寝取った淡雪が半分悪い説ある…気がしてる。あと体を許してしまった雛菊ちゃんも。考えが甘すぎないか??寝取られてなかったらここまでにはならなかったんじゃないかなーという……
つーか普通に、悪いんだけど淡雪が短絡的というか、あの依相手にバレないとでも?って彼の倫理観と考えの甘さに顔を顰めてしまった。それは主人のためじゃなくて自分のためだよ、淡雪……良くない……良くないよ……
依っぽく言うなら「先に手出したのはそっちなんだし、ボクは正当防衛が許されるよね。だってボクが婚約者で、裏切り者はキミたちなわけだから」ってことになっちゃうんだなあ、手出したら。どれだけ見てられなくても、手は出すべきじゃなかった。依に付け入る隙を与えただけだよね。あーあ…
寝取るなら、せめて依を泉下にぶちこむ算段整えてからにすればよかったね…。
あたしゃてっきり、淡雪が依を牢屋にぶちこむ算段整えて、姫に嬉々と報告してそのあと寝取っていくもんだと思ってましたわよ……
この終わり方、一見すると雛菊から見たBADエンドなんですけど、よくよく考えてみるとこの終わり方で一番BADなのは依なんですよね…。
初めて好きだと思えた女の子に一生信じてもらえず、その女の子を人生で一番憎んでいる人間に寝取られ、夫婦という世の中に認められる称号を手に入れたにもかかわらず彼女と本当の意味で目が合うことも心が通うことも一生ない。
自業自得とはいえ、詰みすぎているのでは…と遠い目になりました。
いや、半分以上は自分で蒔いた種なんですけどね。
いやでもなんか、依みたいな男が「寝取られた側」になるのがね…。どっちかっていうと寝取りそうなのに。いやでもそうか、こういう傲慢で唯我独尊な男であればあるほど、寝取られたら輝くのか…。
立場とかだけでいえば、BADの依は何も失ってないんですよね。罪が露呈していないし。地位も名誉も財産も持ったまま。でも、一番欲しかったはずのものは何一つ手に入れられず、負け男として生きていく。
あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~………。
まあでも、マジで胸クソなので普通に嫌いな終わり方です。
何でここまで好きになっちゃったんだろう。悔しい。めっちゃ悔しい。負けた。いやまだ負けてない。負けてないよね?
毎日、依のこと考えちゃうんだけどまだ負けてないよね????????
総じて、コイツにここまでハマるつもりなかったので沼の中で抗おうとしているんですけど、底なしすぎて出れそうにないので一旦バタフライしながら続編を待とうと思います。出るよ、ね??これは出るよね??出なきゃ嘘だよね??
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