久磨衣さんに見る日本的ライブコマース
食べ放題に行くと何で食べ過ぎてしまうんでしょうか。損をしたくないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、別に対価に見合う料理が食べられていれば、そこまで量を食べなくても損だとは思いません。となると、やはり底なしの食欲、いや、貧乏時代に培った食への執着の為せる業なのでしょうか。食べた後3kmほど歩きましたが、明日朝も5kmほど歩こうと思います。
岡山でライブ配信代行、MC、パーソナリティ、SNSを使った企業広報支援をしている、伝える人、わのみん小橋です。(この系の挨拶は皆さん、話の転換に使ってるのでしょうか?)
ライブコマースって
ライブコマースという言葉があります。簡単に言うとライブ配信をしながら、モノを販売する。ライブ配信+eコマース、略してライブコマースだと認識しています。中国では当たり前にされているとか、日本だとなかなか浸透していないとか、いろいろとデータは出ていますので、検索してみて下さい。三越伊勢丹ではかなりの売り上げを記録したようです。
布の力 久磨衣さん
とある、お世話になっている旅館の周年パーティの際に、簡単にご挨拶させていただいた、久磨衣のAさん。なんとなくFacebookで繋がっていて、投稿を拝見していたのですが、なかなかの個性的な方。いや、個性的な会社と言った方がいいかもしれません。
なんせフラフープを延々回しながら朗読をされたり、朝、社員のみなさんで特殊な体操をされていたり、それを動画やFBライブで配信されていたりと、ご商売と関係あるのかないのかないのかあるのか、よくわからない投稿をされています。
そんなある時、久磨衣さんで、セールをされるという投稿がありました。地元応援セール。埼玉の会社でいらっしゃるので、岡山在住の私にはまるで関係のなさそうなお話です。おそらく地元の方向けに、ある程度お安く商品を販売されるのだろう、そう思っていました。旅館などに和の制服を作られていたり、のれんなどを販売されています。
単なる会場リポート?
その後、続報として、セールの様子をFBライブで生配信するという投稿を拝見、ライブ配信代行業者としてはちょっと気になりまして、ちょうど空き時間だったこともあり、拝見することにしました。この時の私は、ただの興味と配信の勉強です。埼玉です。都会です。どんなすごい配信がなされるのか、すごく興味がありました。
ところがいざ始まってみると、おそらくiPhoneであろうスマートフォンをAさんが持ち、実際のセール会場を歩きまわりながら、売り場の商品を解説して回るリポータースタイル。音声も何の処理もされてなければ、何の細工もありません。遠い人の声は遠くに聞こえるし、スマートフォンを持っているAさんの声は大きく聞こえる。
あれ?これはあまり勉強にならないかな?そう思った矢先です。Aさんがコメントを拾い始めます。一つ一つのコメントにお礼を言いながら、丁寧に返答をしていく、隙間ができればまた商品の解説。当然自社商品ですから、いろんな知識と共に。
その内、コメントに入ってきた言葉に注目してしまいました。「さっきのシャツ、サイズいくつ?」商品への問い合わせです。明らかに視聴者が商品に興味を持ち始めた瞬間です。映像も音声も凡庸です。でも商品愛がすごい。
こんな感じで着られる。こんなことに使える。豊富な知識を、商品の魅力を余すことなく伝えることにより、通常なら営業したり、毎日SNSやBlogに投稿したり、魅力的なWebサイトを考えたりしながら、問合せを何件もらえるかをKPIとして、いろんなことを試している企業が多い中、スマートフォンひとつの、正直何の予算もかけていないライブ配信で、具体的な問い合わせが入る。これは、普通の事に見えて実はすごいことです。
その内、続々と問合せコメントが入り始めます。「その暖簾のサイズは?」「色はどれくらいバリエーションある?」「それのメンズはある?」Aさんが的確に返答していきます。サイズに関しては他のスタッフの身長を伝えつつ、実際に着てもらい、サイズ感を見せています。そして、それ取っておいてください、それ買います、そんなコメントに発展していったのです。
ライブコマースとは言ってない
もう一度言います。あくまでセール会場のリポートです。スマートフォンだけを使った簡単なライブ配信です。画面にカートに入れるボタンもなければ、テロップや商品情報も何もない。ただ商品を紹介して、コメントに返答するだけで、コメント欄に購入を決めた人たちがたくさん出てくる。
決してライブコマースとは言っていません。いわゆるライブコマースの形もとられていません。でも結果として、ライブコマースになっている。この配信で直接どれだけの方が買われて、どれだけの金額になったのか、この配信で商品を知った方が、後日買われるなどした周辺売り上げがどれだけあったのか、私には知る由もありません。ただ、確実に販売できていますし、確実に興味を持った人が増えた。私も含めて。(ズボンと作務衣を買いました)
もっと言えば、Aさんが果たしてライブコマースという販売手法をご存知だったのかすらわかりません。ただ、頭のいい方のようですから、マーケティングやブランディング的な狙いは確実にあったことだと思います。
これが日本的ライブコマースではなかろうか
日本は接客に厳しい文化だと思っています。接客マナーは厳しいし、それを売りにされている講師の方もたくさんいらっしゃいます。お客様は神様ですという言葉が独り歩きするほどです。(これ、お客さんが主張するのはみっともないからやめましょうね)いらっしゃいませから始まって、ありがとうございましたにとどまらず、その後のアフタフォロー、サポートまで含めて、かなりの工数が接客にはあります。
そんな中でオンラインショップが定着した。初めはかなりのメールをやり取りしながらしていた接客も、Amazonの台頭で接客と言う文化がオンラインではなくなり始めています。自己責任。自分で商品を調べて、自分でお店の信頼度を確かめて、自分で決めて買う。それが証拠にオンラインショップでの購入は基本的にクーリングオフ適用外です。自分で調べて、積極的に自分で買ったのだから自己責任。
ただ、心の奥底に接客されたい、商品の魅力を言葉でちゃんと聞きたい、販売者の姿をちゃんと見て判断したい、そんな気持ちはまだ残っているのではないでしょうか。その中で、テレビショッピングとオンラインショップを混ぜたようなライブコマースや、トーク番組とオンラインショップを混ぜたようなライブコマースが出てきた。でも浸透しない。これは、ちゃんと接客という形になっていないからなのかもしれない。今回の久磨衣さんの配信を見て、そう思ったのです。
お店の商品をちゃんとした知識で紹介する。魅力も伝える。コメントでの問い合わせが入ったら、一つ一つ、その方向けの返答をしていく。さらなる提案もしていく。かくして視聴者は商品を知り、会社を知り、その方を知り、信頼して、商品に興味を持って、購入までいたる。おそらく視聴者さんの中で、絶対買ってやろう、絶対購入しようと思ってた方は少ないはずです。和の服や小物に興味はあったものの、様子見で見始めたら、気づけば買っていた。そんな方が多かったように思います。
これぞ日本的ライブコマースなのではないだろうか?そんな仮説が、自分の中に芽生えた配信でした。
ポイントは3つ
1、セールである(お得感)
2、自社商品、もしくは自社が長く扱っている商品である。(信頼感)
3、ちゃんと一つ一つ丁寧にコメントに答える(1 to 1感)
これができる会社やお店であれば、ライブコマースはかなり有効なツールになると思います。さらに足すなら、数量限定であることでしょうか。もし売上としてはあまり上がらなくても、問合せ件数と認知件数、営業につながるファーストコンタクト、マーケティング、ブランディングの側面で考えるととんでもないメリットがそこには隠れていると思います。
変にシステマティックにならずに、とにかく熱をもって、愛をもって、全部のコメントに誠心誠意答える。それが出来るお店であれば、ぜひ挑戦すべきだと思います。
プラスで声もちゃんと伝える。もっとちゃんときれいな映像で伝える。そんな希望があれば、お近くのライブ配信代行業者さんに相談されるといいと思います。(あ、岡山の方、近県の方、ぜひわのみんにどうぞ笑)
そして、それが定着し始めて、初めて画面にカートに入れるボタンを付けるとか、専用の機能が付いたライブコマースプラットフォームを利用するのでも遅くない気がします。
ライブコマース。いろいろ試してみたいと思います。やってみたいお店がありましたら、お声がけ下さい。いろいろ試しながらお互いに経験値、貯めてみませんか?今ならメタルスライム並みの経験値が得られそうです。日本的ライブコマース追求していきましょう!
最後に、私の買った作務衣画像。こちらは秋ごろから岡山しゃべろう夜の衣裳にしようと思っています。