火文明単色型”轟轟轟”ブランド
概要
1.『火文明単色型”轟轟轟”ブランド』
2.『構築上のコンセプト 理念』
3.『ニクジール型”轟轟轟”ブランド 考察』
4.『マンマショック型”轟轟轟”ブランド 考察』
5.『アウトレイジ型”轟轟轟”ブランド 考察』
6.『本記事の最後に』
1.『火文明単色型”轟轟轟”ブランド』
この記事は、タイトルのデッキ、『火文明単色型”轟轟轟”ブランド』デッキを著者ワン公*B.HAWKSが、コンセプトカード《”轟轟轟”ブランド》がリリースされてから今までの調整結果、考察を持ってして解説という形に起こした記事となっております。
⚠︎注意
1.これは後に続く本命の有料記事のいわば「前置き」です。最低ここまでは認識を共有しておきたいと言う昔の説明書のような記事なので、興味が薄い方や価値を見出せない方は購入をお控えください。
2.造語がそこそこ出て来ます。先の有料記事などでバンバン出す気でいるのでその説明も兼ねて
3.長いです。この項を除いても全文字数が16362文字。文字の羅列に拒否感がある方は購入をお控えください。
4.所謂、「解らない」人向けの記事です。理解度に自信がある方などは目新しい知識などは筆記しておりませんのでお控えください。
ここまでの注意書きを見ていただいた上で興味がある方は購入をお願い致します。
当記事を見ていただいた方の、このデッキに対しての理解度の促進や新しい知見などを見つけていただければ幸いです。
まずは、「火単轟轟轟の強いところ」を分からない方向けに少しだけ掘り下げて解説致します。興味の薄い方は、本編そのものは3.『ニクジール型”轟轟轟”ブランド 考察』から始まりますので、そちらから閲覧ください。
2.『構築上のコンセプト 理念』
言葉に起こしてしまえば簡単なもので、このデッキは「速攻」と言うジャンルに属したデッキになります。「速攻」と一口で言っても厳密にはより細かい分類がありますが、ひとまずそれは置いておいて、このデッキのコンセプトについて考察していきましょう。
1.「G・G・G」
呼び名にして「ゴゴゴ・ガンガン・ギャラクシー」。が行の言葉が多くて強そうな言葉ですね。
今年の6月23日(土)。満を辞してリリースされた「逆襲のギャラクシー 卍・獄・殺‼︎」にて登場したビートジョッキーの持つ新効果「G・G・G」は、「手札を一枚以下にする事により、強力な効果を発揮したり制限を取り払ったりする」という、リソースを稼ぐという考え方からすれば真逆の概念でした。
このデッキもその「G・G・G」をコンセプトにしたデッキで、この弾に収録されたマスターカード《”轟轟轟”ブランド》を主軸に、軽量の「G・G・G」持ちクリーチャーを駆使して戦うデッキとなっています。
この「G・G・G」がどうしてここまで環境で猛威を振るったかと言うと、ひとえに「速攻」というデッキタイプに対して過去最高に相性が良かったからでしょう。「速攻」は元々手札を減らす代わりに速度を得て、相手のリソースを使わせる前に勝負を終わらせるデッキです。その手札がない状況を逆手にとって「盤面に送るカード、デッキトップから引くカード全てが強い」最高峰の速攻になった訳です。
2.2ターンキル
本来のデュエルマスターズにおいての「速攻」とは、「いかに、3ターン目での決着を目指すか」が肝要でした。それ以上を目指すとなると、非現実的な組み合わせを適正に引かなければいけなかったり、極度に運が絡まなければ実現しないものである事が常識でした。もちろん、何度もそのような試合を続ける事など不可能。そんな「理論上可能」なデッキがトーナメント環境に上がる事はありませんでした
このデッキの強みの一つをご紹介しましょう。このデッキは「最低3ターン以内での決着を目指す」デッキです。
《”轟轟轟”ブランド》は、それまでの速攻の常識であった3ターンの壁を易々と乗り越え、「現実的な2ターンキル」を実現したのです。《ニクジール・ブッシャー》や《グレイト”S-駆”》を駆使し、トーナメント環境に耐えうる最高峰の精度の「2ターンキル」を可能にしました。
3.再現性の高さ
現状、デュエルマスターズの殿堂フォーマットのトーナメント環境においてもっとも求められるのが、「強い動きを何度も再現する」事です。過去、どっしりと構えてやっていたスローなデュエルマスターズではなく、高速化した環境に求められる事になった物は、相手の返せない動きを押し付ける立場になる状態を高い確率で再現する事でした。
この火単”轟轟轟”ブランドというデッキも、高度な再現性を持ちます。
その理由としてはデッキのおおよそ半分弱の枚数が1コストのカードで構成されている事が挙げられます。素早く手札を一枚以下にする事を目指すこのデッキにおいて、手札消費効率の良い1コストが多く積まれているということは、同じ動きを再現するためのカードが多く積まれている事を意味します。
以上3つからこの火文明単色型”轟轟轟”ブランドのコンセプトをまとめると
「対処不可能な【速度】と高い【展開力】を高い【再現性】で相手に押し付ける」
以上、火単轟轟轟というデッキの概説は以上です。
以下から、「3つの火単轟轟轟というデッキに対してのそれぞれ異なる視点」について考察、及び解説を行います。
3.『ニクジール型”轟轟轟”ブランド 考察』
まずは凡そオーソドックスな構築と、おそらく一般的ではない「ニクジール型轟轟轟の考え方」について解説致します。
【確定枠32枚】
《凶戦士 ブレイズ・クロー》×4
《グレイト”S-駆”》×4
《ポップ・チュリス》×4
《螺神兵 ボロック》×4
《ドリル・スコール》×4
《ミサイル”J-飛》×4
《ニクジール・ブッシャー》×4
《”轟轟轟”ブランド》×4
以上リストがニクジール型”轟轟轟”ブランドのベーシック(基本取って代わることの無い枠)となります。よくよく見かける《”罰怒”ブランド》や《龍装者 バルチュリス》の記載がないのはのちのちご説明します。
まず《ニクジール・ブッシャー》と言うカードがどう言う利点を持ち、どう言う欠点を持ちうるのかと言うところからこのデッキを考察していきたいと思います。
1.《ニクジール・ブッシャー》について
一このカードが持ちうる利点について。
【利点1】.全てのメタクリーチャーよりも早く出てくるW・ブレイカー
手札、バトルゾーンのクリーチャー、シールド1枚をボトムに送る事を代替コストに、1ターン目にバトルゾーンに登場するW・ブレイカーである、と言うことは現状最速の2コストメタクリーチャー(ミクセル、オリオティス、デスマッチ等)の影響を全く受けずに登場することが出来る大型クリーチャーと言う事です。
つまり、このカードのアイデンティティとしては登場を阻害される事が基本無い事が大きな強みと言えるでしょう。
【利点2】.初手の中でプレイ計画を定めやすい
この記事を読んでいる方はもはや《ニクジール・ブッシャー》とのシナジーによる《”轟轟轟”ブランド》の1ターン高速召喚については今更言及する必要はないでしょう。
初手のプレイ計画を立てやすいと言うことは、「最初の手札で試合の最後まで見通す」事が容易になるということです。
3ターン以内のキル迄ならば、1コストクリーチャーと2コスト以下のSAがあるだけで成立すると言う「動きの予想」の立てやすさがこのカードの持ち味であると言えるでしょう。
以上2点がこの型がここまで多く分母を広げた理由となっています。
【利点3】.破格のステータス
コスト5以上である為《テック団の波壊GO‼︎》の全体バウンスを受けず、《闇凱亜ジャックアルカディアス》に焼かれず、パワー6000であるが為に《堕魔 ドゥシーザ》の除去を受け付けず、ウィニーで基本パワーラインを超えられない《制御の翼 オリオティス》を悠々と踏み超えていく。《”乱振”舞神 G・W・D》では破壊できず、《”龍装”チュリス》では殴り倒せない。
考慮されない傾向にありますが、これらの条件を持っているクリーチャーを1ターン目に着地させる事自体が大きな利点でしょう。
ここまで見ていただければ理解していただけるでしょう。各種「G・G・G」サイクルとのシナジーもさることながら、《ニクジール・ブッシャー》単体での性能を単純に上げてみてもこれだけの利点があるカードであると言う事が。
もちろん利点だけある最強カードのようなカードではなく、あくまでデッキの方向性たり得るカードパワー、特殊性があるというだけで多大なデメリットも抱えています。
そちらもいくつか上げて見ましょう。
【欠点1】.リソースを多大に吐き出す
カードテキストに書いてある通り、手札・盾・場と自分のありとあらゆるリソースを吐き出してようやくバトルゾーンに登場する事が出来るこのカードは、当然消費リソースに対して効率は著しく悪いカードです。リソースのほとんどを放棄していると言っても過言ではありません。
ですので、最初に決めたプランに《ニクジール・ブッシャー》が絡んだ場合、それがS・トリガーや想定外の除去(サイコロプス等)によって返されてしまった場合に攻撃が止まってしまいます。
《”轟轟轟”ブランド》が絡んだ場合であればニクジールと轟轟轟、轟轟轟のドローで最低限のリソースを確保した上でゲームを進行出来ますが、あくまで最低限。出来ても後続で1枚SAを刺せるかどうかと言ったところでしょう。
リソースがない故の脆さが一点。
【欠点2】.デッキ性質との矛盾
・SAを持っていない。
・6コストあり、素出しはほぼ考えられない。
・手札がなければ踏み倒すことができない。
先述した火単轟轟轟のコンセプトに沿っている瞬間は凡そ最初の2ターンのみである事。
枯渇したリソースの代わりにデッキトップから欲しいSAではなく、重さ故に素出しも考えられない。「G・G・G」の達成の為に手札をすり減らしたのに場に送り出すには追加で手札と場を要求する。
カードそのものが、デッキコンセプトとなり得るのにデッキの性質とは反するところは指摘せねばなりません。ある種矛盾を孕んだカードである点。
以上利点と欠点を総合してみると、《ニクジール・ブッシャー》と言うカードはどう言うカードかと言うところが見えてきます。
「リソースとトップ力ダウンを代償に、強力なクリーチャースペックと速度を得る」
これが私の《ニクジール・ブッシャー》と言うカードそのものの総評です。では、その《ニクジール・ブッシャー》を主軸とした火単轟轟轟デッキとはどの様な考え方の元成り立っているのか?この構築での火単轟轟轟に対しての視点について解説しましょう。
2.コンボデッキとしての側面
このデッキにおいての根幹にある考え方は、「あるカード」と「あるカード」の複数種の組み合わせを念頭に置いたコンボデッキと言う物です。
例えるならば、1コストのクリーチャー1枚と、《ドリル・スコール》、《グレイト”S-駆”》が先行で初手に揃えば、相手の2コスト以上の動きを封殺しながら3ターンキルをすると言うコンボが。
1コストのクリーチャー3枚と《”轟轟轟”ブランド》が先行で初手に揃えば、2ターン目に打点1×3に加えてパワー9000、SAのW・ブレイカーをバトルゾーンに出しつつ追加ワンドローかパワー6000以下のクリーチャー焼却を行うと言うコンボが成立する
このような考え方です。
それが根底にある為に、1コストクリーチャーの総量として16枚もの枚数を動きようのない確定の枚数で取り、「ビートダウン」という視点ではあまりに本来必要なリソースを捨て、プレイ計画を確定させる目的のもと《ニクジール・ブッシャー》というカードで最大値も確保している、という訳なのです。初手の内容で相手の盾を削るペースが大体わかってしまうので「火単轟轟轟コンボデッキ」のコンボの内容も見えやすいことが、このような考え方に至る理由になっています。
火単轟轟轟の「高度な再現性」に特化した結果、組み合わせから強力なプランが成り立つ「コンボデッキ」としての側面を獲得したということですね。
では何故、《”罰怒”ブランド》や《龍装者 バルチュリス》が確定された枠に入らないかというと、活用できる状況にランダム性が絡んでしまうからです。「再現性の高いコンボデッキ」という側面に合いにくいという事。
この2種がニクジール型”轟轟轟”ブランドにおいて確定にならない理由についてもう少し深く掘り下げていきます。
3.《龍装者 バルチュリス》について
このデッキでの活用条件として
1.本来の動きを阻害せず手札に抱えなければならない。
2.そのターンアタックできるクリーチャーが2体いなければならない。
3.使用する段階である程度ゲームを詰めていなければならない。
この内もっともニクジール型轟轟轟に適していない項目は「1.本来の動きを阻害せず手札に抱えなければならない」です。
もちろん先述したコンボデッキとしての側面以前に、積極的に殴っていく速攻なので少ない手札で特定のカードをキープしてゲームを進行するという場面は存在します。ですが、それはあくまで今現存している盤面が崩れた際の保険の為であり、詰めを有利にするためのリソースはデッキにはありません。つまりは2コストのSAや轟轟轟より優先される状況にはならない訳です。
加えて「2.そのターンアタックできるクリーチャーが二体いなければならない。」これも致命的で、つまり最初から作った盤面が崩れない想定でキープを行うという不安定な要素を抱えながらゲームをしなければならないことを意味しています。最初に言った通りこのデッキには動きが崩れた時に立て直す為のハンドリソースは与えられていません。リソースを速度に還元しているからです。
最後に「3.使用する段階である程度ゲームを詰めていなければならない。」
もはや2コスSAで良いです。
4.《”罰怒”ブランド》について
大雑把に言うとリソースを貯めてからの方が強いこのカードが、早期にリソースを吐き出して後詰のカードでゲーム展開を有利に持ち込む《ニクジール・ブッシャー》と相性が良くない。
もちろん完全に最悪の相性という訳ではなくて、《ニクジール・ブッシャー》の代替召喚はあくまで「M・B・A・D」にカウントされるので、先に盾を攻撃されハンドを抱えさせられた場合に少ないマナコストで《”罰怒”ブランド》を送り出すなど、シナジーしている部分もあります。過去、火水”罰怒”ブランドで遺憾無く発揮されたカウンター性ですね。
ただ基本このカードはターン内の運動量が高い状態での運用が望まれるカードであって、その都合上多く手札を持ち、その上で1ターンでの打点の爆発に注力した方が出力の出るカードなのです。
加えて本体の単体コストは「M・B・A・D」を使用しても5。デッキトップから来て欲しい詰めのSAとしてはカウント出来ないのです。
それでも《”轟轟轟”ブランド》の「M・G・G・G」は召喚としてカウント出来ますし、《斬斬人形 コダマンマ》を採用する事で使いやすさを増すことが出来ますので、高いカードパワー故に採用率は高いです。ですがここまでで説明した通りコンセプトに沿ってもおらず、基本的な試合の流れにも組み込みづらい。主要な使用対面が同型くらいであるなどの理由から、「必ず必要なカードではなく、環境によって必要度が変動する」ので、確定枠としてはカウント出来ないという事なのです。
トップや初手の《”罰怒”ブランド》より3以下のSAが望まれる状況の方が多い。
以上です。
ではそれを踏まえて、筆者がトーナメント環境で使用しているリストを含め、このニクジール型”轟轟轟”ブランドというデッキに対しての総評を最後に述べようと思います。
5.ニクジール型”轟轟轟”ブランド 総評
《凶戦士 ブレイズ・クロー》×4
《グレイト”S-駆”》×4
《ホップ・チュリス》×4
《螺神兵 ボロック》×4
《ドリル・スコール》×4
《ミサイル”J-飛”》×4
《紅風の盗賊 ビューラー》×2
《斬斬人形 コダマンマ》×2
《単騎連射 マグナム》×1
《ニクジール・ブッシャー》×4
《メガブースト・チュリス/『ぶっ飛び特攻っス‼︎』》×1
《”罰怒”ブランド》×2
《”轟轟轟”ブランド》×4
以上が、現状(2018年11月18日現在)私の使用しているニクジール型”轟轟轟”ブランドのリストです。
コンボデッキ的性質上1コストの総量を増加させることにより、より再現性の高いリストにする事も可能です。しかしあくまで1コストのカードはそれ相応のカードパワーしか持ち得ません。再現性を一定以上確保した後は、残りの枠でリソースを広げたり勝ち筋を増やしたりその他プラン決定を容易にするカードの採用に当てる形となりました。
「”罰怒”ブランド、確定じゃ無いんじゃないの?」という方がいらっしゃるかもしれませんが、凡そこのカードが持ち得る特性として「後攻の方が強くなる」性質と「踏み倒しではない」性質があります。メタクリーチャー着地を先に許してしまった後や、後攻で手札が一枚多くて吐き出せない等の不利要素を抱えた場合にゲーム展開を挽回する意味合いで二枚の採用をしています。抱えたせいで勝ちが負けになるかもしれ無いカードですが、負けが勝ちに変わるかもしれない事が重要なのです。
《斬斬人形 コダマンマ》採用も、《ニクジール・ブッシャー》により失ったリソースの回復、《”轟轟轟”ブランド》へのアクセス率の増加、先行においての《”罰怒”ブランド》プランの組み込みやすさの改善など、潤滑材として大きな役割を持っています。単発的なリソース回復は「剰点の生成」や「後続の強化」に大きく貢献しています。
《紅風の盗賊 ビューラー》に関しては、おおよそ《ミサイル”J-飛”》と同様の理由による採用です。後続の強化が1つ。もう1つは《ニクジール・ブッシャー》によるプレイ計画の決定をしやすくする為の2コストのSA追加二枚。除去に弱くもっとも先細りしやすい3キルですが、その部分が1コストのクリーチャーで埋められていてはできない事です。
《単騎連射 マグナム》に関しては、唯一このデッキで《”轟轟轟”ブランド》よりも優先してキープする場合があるカードです。無理対面をまくる。不利を覆す。一枚枠空いたならば率先して入れる価値があります。マナが5以上まで伸びた水自然光チェンジザダンテや、7までマナが伸びたブライゼシュート等、本来負けまで進行したゲームを挽回すると言うのはこのカードでしか出来ない事です。これに関しての詳しい評価については『火文明3コスト 総評』でまた触れようと思います。
最後に《メガブースト・チュリス/『ぶっ飛び特攻っス‼︎』》。役割として5枚目の《ニクジール・ブッシャー》です。
初手に関与した時点でプレイ計画を確定する要素である事。盤面に依存する形ではありますが追加リソースを獲得する余地が存在する事。同型戦において盾を刻まれ、抱えさせられた手札を解決する目的など、小回りが利き尚且つ扱いやすい。代わりに特定の組み合わせが揃って初めて有効活用できるというカード故に、大きい枚数として取らず一枚のみの採用となっています。
ニクジール型”轟轟轟”ブランドの総評価としては、リソースの先細りに目を瞑れば現環境においてもっとも適正な型の火単轟轟轟である、という見解になっています。
「ペリッと‼︎スペシャルだらけのミステリーパック」リリース後、凡そ爆発的といっていいほど増加したリリアング搭載火光轟轟轟の影響で、環境が2コストのメタクリーチャー中心の周りに戻ってきてしまっている事が理由として挙げられます。
水自然光チェンジザダンテなどは《奇石 ミクセル/ジャミング・チャフ》に加えて《デスマッチ・ビートル》をも搭載する徹底ぶり。こちらとしてもメタクリーチャーの登場より先に動きを確定させる必要があると判断できます。
それらメタクリーチャーを設置するタイプのデッキ全般に対して、早期の登場によってビートしていく速さ(以下ビートペースと呼ぶ)を確定させる《ニクジール・ブッシャー》は、トップで引かなければいけないカードの要求を大きく下げるという効果も見込めるというわけです。
ビートペースの安定とデッキトップの要求の低さ。速攻という大分類に属するコンボ性。それによる高い再現性が、現在大分母を占めるニクジール型”轟轟轟”ブランドのトップシェアたる所以である。と言うことなのです。
続いて次項ではまた異なる構築タイプ、考え方に基づいた火単轟轟轟デッキを解説致します。
4.『マンマショック型”轟轟轟”ブランド 考察』
3.『ニクジール型”轟轟轟”ブランド 考察』では再現性の特化によるコンボデッキとしての考え方について述べさせていただきました。今回もまた同じ様に、4.『マンマショック型”轟轟轟”ブランド 考察』でも、基礎構築から考えられる「マンマショック型轟轟轟の考え方」の視点から解説することにいたしましょう。
【確定枠34枚】
《凶戦士 ブレイズ・クロー》×4
《グレイト”S-駆”》×4
《螺神兵 ボロック》×4
《ドリル・スコール》×4
《斬斬人形 コダマンマ》×3
《花美師 ハナコ》×3
《デュアルショック・ドラゴン》×4
《”罰怒”ブランド》×4
《”轟轟轟”ブランド》×4
以上リストが、マンマショック型”轟轟轟”ブランドデッキのベーシックとなります。先ほど解説致しましたニクジール型”轟轟轟”ブランドとは打って変わり《”罰怒”ブランド》はしっかり4枚積まれ、代わりに1コストのクリーチャーが一種類4枚丸々、確定枠から抜け落ちています。《ミサイル”J-飛”》も同じ様に抜け、そのスロットに《斬斬人形 コダマンマ》、《花美師 ハナコ》と《デュアルショック・ドラゴン》が展開エンジンとして積まれています。
ストライク・バックとコダマンマ系統の盾から手札に加える軽いカードの組み合わせ…俗に「マンマショック」と呼ばれるギミックですね。
まずはこの展開エンジンとなる「マンマショック」がどの様な利点と欠点があるのかと言うところから、このデッキを解説致します。
1.「マンマショック」ギミックについて
ーこのギミックが持ちうる利点について
【利点1】.ギミックパーツが複数役割を持つ
《斬斬人形 コダマンマ》に関しては先で解説した通り、単発リソース回収や《”轟轟轟”ブランド》へのアクセス率を増加させる目的のもとリソースを積極的に吐き出すニクジール型”轟轟轟”ブランドにも積まれるほど利便性が高いカードです。それが展開ギミックの片方を担っているということは「息切れを起こしにくい」という多大なメリットがあります。
つまり、「展開ギミックのパーツ」としての役割と「単発リソース源兼、上ブレ値」としての役割まで担うのです。
《デュアルショック・ドラゴン》も同じく複数の役割を持ち、同型戦でのカウンター要素やこちらの《”轟轟轟”ブランド》を出させない為に盾を刻んで来た相手の計算を狂わせる等の「カウンター性」も大きな役割と言えます。
デッキの核となるパーツがただの展開ギミック専用ジャンクパーツではない事。
【利点2】.形成した盤面が強い
《デュアルショック・ドラゴン》の能力であるストライクバック(以下、SB)の発動条件の関係上、自発的に盤面に送り出す場合《斬斬人形 コダマンマ》が必須となります。ですが逆説的にギミックパーツが揃った場合「2マナで6コスト8000、W・ブレイカーと2コスト2000のクリーチャーをバトルゾーンに出す」事ができるという事。
SB効果に加え《デュアルショック・ドラゴン》は登場時に追加で自分の盾焼却も行ってしまうのでゲーム上脆くはなりますが、多大なバトルゾーン上での有利を得る事ができます。《ニクジール・ブッシャー》についての項で早期に出てくる大型クリーチャーの脅威を説きましたが、同じ事がここでも言えるでしょう。
加えて《”轟轟轟”ブランド》との相性も良く、1ターン目に1コストクリーチャーをプレイし、2ターン目にこの「マンマショック」ギミックを使用するだけですぐさま手札を一枚まで減らす事ができます。上記の《斬斬人形 コダマンマ》+《デュアルショック・ドラゴン》の盤面に《”轟轟轟”ブランド》も追加で登場するという事。最早生半な除去では追いつく事ができないほど強く盤面を広げる事ができるのです。崩されないほど強い盤面を瞬時に作れると言う事。
【利点3】.《”罰怒”ブランド》が使い易い
火単轟轟轟を一回でも使った事がある人はわかると思いますが、特に構築を捻らずニクジール型で《”罰怒”ブランド》を使おうとすると、なんとも言えない使いづらさを感じると思います。『ニクジール型”轟轟轟”ブランド 考察』でも触れましたが、《”罰怒”ブランド》というカードは手札が潤沢な時に初めて高い攻撃力を発揮するカードです。基本的な火単轟轟轟のコンセプトとは合致していません。
しかし、この「マンマショック」ギミックは《”轟轟轟”ブランド》との相性が良い上に、それ以上に《”罰怒”ブランド》との相性が抜群に良い。
SBは召喚の扱いとなる為、《”罰怒”ブランド》の「M・B・A・D」の効果にカウントされます。つまり、《斬斬人形 コダマンマ》で召喚一回。《デュアルショック・ドラゴン》のSBで召喚一回。この時点で《”罰怒”ブランド》のコストは1まで下げる事ができます。ここまでの動きを合計3マナで行う事ができるのです。
召喚する際のハンド消費効率と召喚数カウントの面で双方優れると言うことは、相反しているように見える《”轟轟轟”ブランド》と《”罰怒”ブランド》のコンセプトの両立を意味しているのです。各種ブランドとのシナジーの両立ができると言うこと。
上記利点を鑑みれば凡そニクジール型との差異が明らかになってきます。簡単なところで言えば《”罰怒”ブランド》が大幅に扱いやすくなる点が一番わかりやすいでしょう。リソースを早期に吐き出して押し付けるニクジール型と打って変わりマンマショック型はリソースを貯めて1ターンで打点として吐き出す動きに特化しています。加えて手札を得るコダマンマ系統のカードを計6枚以上採用するこの型では火単轟轟轟の弱点とも言える盤面を作る最低リソースも切れるというような事態を防ぐことにも一役買っています。
では欠点はどうか?
【欠点1】.手札消化が遅い
見てわかる通りこのマンマショック型火単轟轟轟はコダマンマ系統のカードを多数採用することによりマンマショックギミックや3ターン目による1.1.罰怒プランを通しやすくしています。ただ、コダマンマ系統のカード自体は複数抱えた場合に《”轟轟轟”ブランド》を出しにくくしたり、2コストなのがこのデッキの場合だと重くて扱いづらかったりと万能のカードではありません。
結果、手札が吐ききれないことによって「G・G・G」の未達や先述した通り当初の予定でそのプランで行く予定だった《”轟轟轟”ブランド》が出せなくなったりといった、所謂「ハンドの抱え過ぎ」が起きてしまうのです。
あくまで《”轟轟轟”ブランド》との相性の良さは、《デュアルショック・ドラゴン》ありきでの相性である事を理解しておきましょう。
【欠点2】.2コストメタクリーチャーに弱い
これは仕方がない事ではありますが、3ターン目に動きを寄せる関係上早期に登場するメタクリーチャーにあまりに弱いです。《奇石 ミクセル》や《制御の翼 オリオティス》、《デスマッチ・ビートル》等に対して、後手に回る機会がこのデッキの場合だと多いです。マンマショックギミックが最速で機能しても2ターン目である事が痛く、先手か後手かが大きく関わってしまいます。
対策としてはコダマンマ系統のカードが追加リソースを得てくれる事を加味して《スチームハエタタキ》の採用。平均ラインが他の火単轟轟轟より高めなのを強みに《革命の鉄拳》なども選択肢に入るでしょう。
環境上で致命的になる場面も多く、ニクジール型より普及しない理由もここにあります。
以上からこのデッキそのものは大分類としては「2ターンキル」の特性…というか「最低3ターン以内での決着」に重きを置いて、準備ターンにリソースを貯めてリーサルターンに一気に吐き出すという「ビートダウン的思考」の元作られたデッキタイプなのです。結果として準備ターンの内にメタクリーチャーの牽制を受けやすく、なおかつ殴るのも一挙にやるぶん少し遅いという訳です。
事項ではその考え方について少し解説いたします。
2.ビートダウン的思考
先ほども書きましたがこのデッキそのものは「最低3ターン以内での決着」に重きを置き、1ターン目で手順を定め、2ターン目でリソースを確保。3ターン目にぶつけると言った「ビートダウン的思考」の元で内容が形作られています。水自然光チェンジザダンテが、マストターンとして 5ターンや4ターンを見据えて動きを作る下地の動き(ライフ、シャワー等ブースト)から結果的に作る盤面(エナジーホール、チェンジザ等リソースの突き放し)の所までを3ターンの中に圧縮して行っていると言えばわかりやすいでしょうか?
「マンマショック」ギミックの関係上、1コストを使った《”罰怒”ブランド》プランで動いていて、引いたカードやコダマンマ系統のカードで得た手札からまたプラン変更の余地が出る事もあり、初手で試合終了までをしっかり見据えなければならないニクジール型と違いマンマショック型は最初に定めたプランより強いプランが後付けで出てくる分、代わりにそう言った下や上のブレを把握して対応しなければ行けない、いわば「分かってなきゃいけないことの多さ」が弱点となりうるでしょう。簡単さを火単轟轟轟に求める人は使いづらいかもしれません。
対面ごとに変えなければいけないプレイングや打点の計算がある上にニクジール型より少し遅いですがその分動き切った後の盤面は強く、《撃髄医スパイナー》や《爆殺‼︎覇悪怒楽苦》に対して1面しか処理できないような状況を故意的に作ると言う、リソースを投げ打つ速攻じゃなくリソースを適切に振っていくビートダウン的思考こそが求められるデッキタイプであると言えるでしょう。
では最後に構築例を挙げてこの項を閉めたいと思います。
3.マンマショック型”轟轟轟”ブランド 総評
【構築例】
《凶戦士 ブレイズ・クロー》×4
《グレイト”S-駆”》×4
《螺神兵 ボロック》×4
《ポップ・チュリス》×4
《ドリル・スコール》×4
《単騎連射 マグナム》×1
《斬斬人形 コダマンマ》×3
《花美師 ハナコ》×3
《”必駆”蛮触礼亞》×1
《デュアルショック・ドラゴン》×4
《”罰怒”ブランド》×4
《”轟轟轟”ブランド》×4
プレイの大まかな方針として、《”罰怒”ブランド》をメイン運用に据えた3ターンキルを目指して行くこの型では、つまりギミック以外の本来の動きをする際に邪魔にならない範囲での枚数変動が求められます。大まかには1コストの増量による1ターン目1コストのクリーチャー、2ターン目コダマンマ系統のクリーチャー、3ターン目に1.1.罰怒の動きであったり2ターン轟轟轟をしやすくなるようにする等が適正です。上記リストでは1コストの増量がそれですね。
メタクリーチャーへの回答についてはそもそも環境が2ターン目にメタクリーチャーを置く環境であればこのデッキタイプを使う事は憚られるであろう事を考えると、動きの再現性のキープに勤める目的のもと無しで行くのが適正な判断と思われます。同型が増え、尚且つメタクリーチャーも置かれる環境であれば《ポップ・チュリス》のところを丸々《スチームハエタタキ》にすると勝ちやすくなります。
《”必駆”蛮触礼亞》は《メガブースト・チュリス/『ぶっ飛び特攻っス‼︎』》でも良いですが、このデッキの特性上ハイコストのビートジョッキーを多数抱える試合が多くあり、加えて準備ターンの内にプレイするカードが手札を増やすコダマンマ系統のカードである事などを含めると、抱え過ぎの手札の処理も兼ねて盤面を大きく触りつつ打点を形成するプランも立てられます。ハンドを作ってから吐き出すこのデッキならではの相性ですね。
現環境におけるこのデッキの立ち位置としてはあまり良くありません。ニクジール型の項でも触れましたが、今はメタクリーチャーの刺す速度が2ターン目に寄っていて、他と比べかなり太いキルプランの取れるこのデッキの特徴が死にがちだからです。
凡そビートペースを上げられても2ターン目にマンマショック轟轟轟して3点、3点のペースで殴るところまでなので、過剰点を作る目的のもとならばこれほど優秀なパッケージはありませんが初速に劣り、メタクリーチャーを置かないのであれば現状ニクジールに勝れる部分は少ないでしょう。
以上がマンマショック型”轟轟轟”ブランドにおける総評となります。
では、デッキタイプ紹介の最後にアウトレイジ型”轟轟轟”ブランドにおいての考え方について解説します。
5.『アウトレイジ型”轟轟轟”ブランド 考察』
上記二つでコンボデッキ的考え方やビートダウン的考え方についてご紹介致しましたが、このデッキにおいて念頭に置くべき考え方、テーマは、手札のバトルゾーンへの効率的な還元がテーマとなっています。2.『構築上のコンセプト 理念』の項で触れた三項目の内もっとも「G・G・G」の強みを出す事に特化しているでしょう。コンボ性重視かビートダウン性重視かで言えばその中間、双方折衷に近いと思います。
速攻というコンセプトの内で速度の最大値もそうですが、こちらの相手を倒したいターン(以下マストターンと呼ぶ)に手札の1コスト及び《無重力 ナイン》+アウトレイジクリーチャーのシナジーによる展開によって《”轟轟轟”ブランド》の「M・G・G・G」を達成。対処するための除去を上回る物量を高速で用意すると言う形で、ニクジール型”轟轟轟”ブランドとは違うアプローチによって最大値を出しています。クリーチャースペックの増大によってビートペースを上げるのではなく、展開量、展開スピードでマストターンを縮めるという事。
【確定枠33】
《凶戦士 ブレイズクロー》×4
《グレイト”S-駆”》×4
《螺神兵 ボロック》×4
《勇気の爪 コルナゴ》×4
《超電磁砲台 ゲンツキ》×4
《無重力 ナイン》×4
《単騎連射 マグナム》×1
《”罰怒”ブランド》×4
《”轟轟轟”ブランド》×4
以上リストが、現行のアウトレイジ型”轟轟轟”ブランドのベーシックとなります。軽量アウトレイジと《無重力 ナイン》のシナジーによって本来手が届き得る範囲を超えて盤面を展開することが可能になっている事や、これまでの構築と違い《単騎連射 マグナム》がシナジーの関係上で確定の枠として入ることは大きな特徴でしょう。名称としてはコルナゴナイン型、アウトレイジ型などと呼ばれます。
この構築が環境に出て来た当初は同型に差をつける目的のもと《破壊者 シュトゥルム》が4投されていましたが、現行型では《超電磁砲台 ゲンツキ》の採用により《勇気の爪 コルナゴ》以外にゲームプランに組み込める軽量アウトレイジを増やす方針で構築が固まっています。
ではこのデッキのアウトレイジギミックがどのような利点がありどのような欠点があるのかを解説致します。
1.「アウトレイジ」ギミックについて
ーこのギミックが持ち得る利点について
【利点1】.同型戦に強い
火単轟轟轟において同型戦で最も気をつける要素は相手の手札が返しにどれだけ掃けるかどうかが重要になって来ます。先行なら返しの動きが無いように《ニクジール・ブッシャー》で使用する盾を消しに行ったり、後手で先行側の動きが鈍ければ盤面の総打点に気をつけながら次ターンのマナで動ける範囲より多めに盾を削る、もしくは罰怒プランを取れないよう最低限の点数を勝つために入れるなどがそれに当たります。なぜアウトレイジギミックが同型戦において強いかといえば、《無重力 ナイン》と《勇気の爪 コルナゴ》のパッケージそのものが、本来届き得る火単轟轟轟の動きの上を目指すものであるからです。
この二つのシナジーによって罰怒が他の型の火単轟轟轟より1ターン早く走ることが出来、後手限定での2キル さえ実現する事や、本来シールドを攻撃され抱えさせられた手札総数6枚以上は、火単轟轟轟のほぼ最後のマストターンである3ターン目にはマナ置きを加味しても吐ききれず、轟轟轟が登場するところまで行かず、打点が足りないことが理由で敗北につながるというのが大半ですがそれさえ《無重力 ナイン》は覆す事が出来るのです。
本来届き得るマナコスト外で展開できることはそれだけで同型戦において優位を得るに足るという事。
【利点2】.後攻で強い
まず後手2ターン目に限り、《”罰怒”ブランド》による2ターンキルが可能。つまりは火単轟轟轟の構築の中でも極めて稀有な特性として「後攻の方が強い」特性を持っているという事です。
動きに対してマナコスト要求が低い為後手でもビートペースが落ちる事が少なく、スコールプランを取った際にも罰怒プランを取った際にも相手の動きに対してこちら側に要求される動きの遅れが減ります。特筆してこの利点が生きる対面を言えば《”龍装”チュリス》を採用したドギラゴン剣アーキタイプ全般や同型戦、同速及び近い速度で刻むデッキに対して強く作用する利点となっています。
後攻の盤面の遅れ、ビートペースの遅れを取り戻す余地が大きくなるという事。
上記利点を総合して、「同型戦に強く本来不利な状況である後攻を利益化できる」という特殊性を得られるという事になります。
では欠点。
【欠点1】.再現性が落ちる
アウトレイジギミックは名前の通り特定種族を起点とした展開ギミックです。つまりは起点となる軽量アウトレイジを引けない場合、3コスト1000バニラを抱え続けなければならなかったり、展開が濁ったりするデメリットを持っています。つまりは動きが毎度毎度一定の再現性を持つことが出来ず、本来有利である対面に対してポロっと落とす事もあり、安定性という意味では欠けるところがあります。
動きの上限値を取った代わりに安定性が損なわれているという事
【欠点2】.先行利益が低い
利点の項で後攻の利益化を説明しましたが、つまるところハンドが潤沢な時に強いシナジーを火単轟轟轟で扱っている訳です。そのシナジーを作るために捻出した枠にはもともと2コストのSAが嵌まっていました。つまり最初に押し付けで出した打点の後詰の部分を削除してギミックを搭載しているという事です。
先行の札が一枚少ない展開盤面を取り返された後、もうワンプッシュ押し込むことが出来ないということは、火単轟轟轟が先天的に持ちうる「あとはSA投げて勝ちの状況」を作りづらいという事。
構造上追加リソースの獲得も難しい事から、先行利益を他構築と比べ得難いというそこそこ重めのデメリットを抱えています。
分母として同型戦が増えた後ゆっくりと衰退したのは、同型戦以外においてのデッキの持ち味が薄くなってしまったからなのです。
欠点から総合してみれば、「特殊性を得る代わりにコンセプトのいくつかを損なう」と言った特定環境下で強くなるがそれ以外では他の型の火単轟轟轟に一歩及ばなくなるといった側面が見えて来ます。
それでも後攻罰怒2キルのブレ値は眼を見張るものがあり、その特殊性から同型戦の対面する率が高い環境では存分にその特性を持って勝率を出せるでしょう。しかし現行型のニクジール型と比べ再現性に欠けるところがあり、長期に渡って握り続けるには勝率が安定しづらいのです。
最後に構築例と総評を述べさせていただきます。
2.アウトレイジ型”轟轟轟”ブランド 総評
【構築例】
《凶戦士 ブレイズクロー》×4
《グレイト”S-駆”》×4
《螺神兵 ボロック》×4
《勇気の爪 コルナゴ》×4
《斬斬人形 コダマンマ》×2
《メガブースト・チュリス/『ぶっ飛び特攻っス‼︎』》×1
《超電磁砲台 ゲンツキ》×4
《無重力 ナイン》×4
《単騎連射 マグナム》×1
《破壊者 シュトゥルム》×4
《”罰怒”ブランド》×4
《”轟轟轟”ブランド》×4
この型の火単轟轟轟を握るとなれば、同型戦に対策を打たなければならない環境となります。つまるところ原点回帰ではありますが、《破壊者 シュトゥルム》が有効牌になる環境という事です。
元来カウンターギミックの目的もあり、同型戦以外にもレティーシャやテイナー+2コストで走って来たドギラゴン剣に対しても有効になりうる受けとなるでしょう。基本、盾からの登場を期待するカードであるため4枚以外はないかと。
また、先行利益の脆さを改善する目的のもと動きの補強で《斬斬人形 コダマンマ》。轟轟轟含め一当てした時に添えるだけで吐いた分のリソースが帰ってくる《メガブースト・チュリス/『ぶっ飛び特攻っス‼︎』》を採用。もともと脆いスコールプランも副次的に補強出来ます。
再現性の部分での欠点やコツのあるキープを除けばポテンシャル自体は高いものがあります。それだけ《”罰怒”ブランド》と《”轟轟轟”ブランド》とアウトレイジギミックの親和性は高いものであるからです。
展開に際し必要となるカードや対面ごとにこのターンまでにはここまで殴らなければ勝ちの目を拾えないなと言ったところがわかるまで予習する事が必要です。一当て目で息切れします。
最初のリーサルで確実に仕留める事が肝要となるでしょう。瞬間打点の爆発で打倒、これがアウトレイジ型”轟轟轟”ブランドの命題と言えます。
6.『本記事の最後に』
ここまでで3種の火単轟轟轟の特徴やコンセプト、考え方の違いについてご説明致しました。もしここまで読了して頂いた方の中で理解度の高い方がいた場合、少し退屈な記事だったかと思います。
目新しいことの前に先ず解っておかなければならないことから。なんでこれを入れるのかで「強いから入れる」のと「〜という理由があって必要であるから入れる」のではゲームが泥った時や追い詰められた時の勝ち筋を見いだせるかで差が出ます。私はそれが重要であるという事を知って欲しいからこの記事を書きました。
冒頭にも書きましたが、この記事を目にして理解度を深めた方が新しいリストや考え方を見つけてくれる事を願います。
本記事の最後にここまでの長文に対して向き合ってくださった読者の方に感謝を。ありがとうございました。