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第1宇宙速度&第2宇宙速度を導出してみた
均質な球体の地球を考え、周囲が真空であると仮定する時、高度ゼロの地球表面を永久に回り続ける(仮想上の)円軌道の慣性速度が「第1宇宙速度」である。
そして地球重力から脱出し、引力圏から離れていく(仮想上の)慣性速度を「第2宇宙速度」と呼ぶ。
地球半径を$${R=6378km}$$、地表での重力加速度を$${g=9.806m/s}$$とした時の第1宇宙速度及び第2宇宙速度を導出していく。ただし、万有引力定数を$${G}$$、地球質量を$${M}$$、運動する物体の質量を$${m}$$とする。
<参考文献>
・地球半径 ・重力加速度 閲覧日 : 2022/02/17
<第1宇宙速度の導出>
地上での引力が向心力となる。速度$${v}$$で円軌道上を運動する時、運動方程式は以下のようになる。
$$
\begin{align*}mg &=m\frac{v^2}{R}\\v^2 &=gR\\ \therefore v &=\sqrt{gR}\end{align*}
$$
重力加速度と地球半径に数値を代入すると、第1宇宙速度は$${v=7.908km/s}$$となる(有効桁数4桁)。
<第2宇宙速度の導出>
地球表面からの距離を$${r}$$とする。地球上で速度$${v_0}$$をもち、$${r \rightarrow \infty}$$の時に速度$${v}$$をもてばよい。従って、エネルギー保存則より、
$$
\begin{align*}
\frac{1}{2}m v_0^2 - G \frac{Mm}{R} &= \frac{1}{2} m v^2 -G\frac{Mm}{r} \\ \frac{1}{2}m v_0^2 - G \frac{Mm}{R} &\ge 0 \\ \frac{1}{2}m v_0^2 &= G \frac{Mm}{R} \\ v_0^2 &= 2gR \\ \therefore v_0 &= \sqrt{2gR} \\ (\because mg =G\frac{Mm}{R^2} &\rightarrow GM = gR^2)
\end{align*}
$$
重力加速度と地球半径に数値を代入すると、第2宇宙速度は$${11.18km/s}$$となる(有効桁数4桁)。
地球は西から東に向かって自転しているので、我々が立っている地表面もその緯度に応じた東向きの慣性速度を持っている。従って、ロケットを東向きに打ち上げる時、地球自転により、ロケットの打ち上げ能力が向上する。
しかし、実際にロケットを打ち上げる場合には重力や大気の存在により加速を阻害されるため、LEO(低高度地球周回軌道)に衛星を打ち上げる場合には、第1宇宙速度以上の速度を獲得する必要がある。