免疫の仕組み その7 〜免疫異常Q&A〜
Q.加齢以外で免疫力が減退もしくは喪失した場合の例を教えてください
「食細胞異常症」
食細胞は大きく、好中球と単球から分化したマクロファージ、樹状細胞からなっており、遺伝子異常によりそれぞれの数の減少あるいは機能低下をきたすことで、食細胞異常症となります。好中球減少症・好中球機能異常症の場合は主に化膿菌(化膿の原因となる細菌でブドウ球菌・連鎖球菌・緑膿菌など)に感染した時に容易に症状が起こるようになります。一方、単球・マクロファージの減少症・機能低下の場合、細胞内寄生菌(結核菌など)と真菌(カビなど)に感染した時に容易に症状が起こるようになります。食細胞によって主な標的病原菌が違うために、起こりやすい症状も異なります。
Q. 関節リウマチやI型糖尿病以外の自己免疫疾患を教えてください
「橋本病」
橋本病は、甲状腺に対する臓器特異的な自己免疫反応によって甲状腺機能が低下する自己免疫疾患です。
橋本病は何らかの理由で免疫寛容が破綻しすることでヘルパーT細胞やキラーT細胞を中心とした免疫担当細胞が甲状腺実質に浸潤・蓄積し、甲状腺自己抗体の産生を誘導します。これとともに、甲状腺上皮細胞のアポトーシスや甲状腺内の繊維化といった細胞障害を引き起こすために機能が低下してしまいます。
参考文献:熊ノ郷淳,「免疫ペディア」,株式会社 羊土社,(2017).