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イプシロンロケットはなぜ失敗したのか

@ニュース分析

昨年10月に衛星打ち上げに失敗した小型固体燃料ロケット、イプシロン6号機について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日、姿勢制御装置の燃料タンク内にある部品が製造時の不具合によって損傷し、配管をふさいだことが原因と明らかにした。

去年の秋にイプシロン6号機が打ち上げ失敗した件ですが、実はJAXAの方から失敗原因の調査レポートが提出されています。その調査レポートによると打ち上げ失敗の原因は「ダイアフラム」というゴム膜だったようで、今日はそこらへんを分かりやすく解説していこうと思います。

まず失敗した時の状況から確認しましょう。そもそもイプシロンは3段構成の固体燃料ロケットで、1段目(一番下の段)と2段目(真ん中の段)は正常に動作し、2段目の燃焼完了までは順調に進んでいました。そして、2段目の固体燃料を全て使い切った後に3段目(一番上の段)から2段目を分離するまでの間はRCS(姿勢制御システム)という装置だけでロケットの姿勢を制御することになるんですが、問題が起きたのはココです。

このRCS(姿勢制御システム)の動作に不具合が起き、姿勢制御がうまくいかず目標姿勢からズレ、地球を周回する軌道に投入できないと判断、そして指令破壊されました。

ここまで失敗の状況を話してきましたが、RCSってなんじゃらほいっていう人がほとんどだと思います。
RCSっていうのは、メインエンジンとは別に備え付けられた、主に姿勢制御のための小さな推進システム(エンジン)のことです。イプシロンのメインエンジンは固体燃料を使っているんですが、RCSにはヒドラジンという液体燃料が使われています。

もう少し具体的に説明すると、タンクにある液体燃料(ヒドラジン)を送り出して、触媒に反応させることで高温のガスを生成し、それを噴射することでロケットの姿勢を制御しています。そしてタンクから液体燃料を送り出す際には、窒素ガスで圧力をかけており、ダイアフラム(ゴム膜)が窒素ガスと液体燃料の仕切りの役割を果たしているのですが、問題となっているのはちょうどこの部品です。

 燃料タンクとダイアフラムの図

どのような問題が起きたのかというと、ダイアフラムをタンク壁面に固定するためのシール部というところで、ダイアフラムが固定リングの間に噛み込み、その後の溶接などの工程で破損した可能性が高いと報告にあります。

この破損したダイアフラムが液体燃料を送り出すための液ポートと呼ばれる場所に覆い被さり、RCSに燃料が供給されなくなったため姿勢制御で失敗し、ひいてはイプシロンロケットの指令破壊を引き起こしたのです。

失敗原因がわかって一安心といきたいところですが、改良作業や信頼性確認のための試験も大変でしょうね、、、
イプシロンもH3ロケットも失敗して、日本の人工衛星打ち上げは割と危機的な状況にあると思うので、次回の打ち上げでは良いニュースが聞けることを期待しています。

@参考文献

@わんこふの日記

毎日必ずやっている日課が幾つかあって、そのうちの一つがピッコマで漫画を読むことなんですが、今日は「JIN -仁-」を一気読みしていました。仁は医療系マンガなんですが、テレビドラマなんかにもなっているので、名前を聞いたことある人も多いかもしれません。このマンガは南方仁(みなかたじん)という脳外科医が130年くらい前の日本、つまり江戸の終わり頃にタイムスリップし、現代の医療知識を駆使して、江戸の人々を救っていくという話です。医療系マンガと俺TUEEE系のハイブリッドとも言えます😂

JINを読んでいると、江戸時代に生きていた人々の死生観が、現代に生きる我々と全く違うことを否も応もなく突きつけられます。同じ日本に住んでいるのに、時代がたった100年違うだけで、暮らしや価値観がまるで想像できないのです。江戸時代の人々にとっては人の死も日常の一部で、死を克服しようというよりも、諦めて馴れ合っていこうみたいな、そういう雰囲気を感じます。死に対する考えに限らず、私たちが普通だとか常識だとか当たり前だとかいう行動・価値観ってあると思うんですけど、大抵はここ数十年っぽっちのスケールの話であり、時間的・地理的にもっと広く見れば、全く異なる風景が見えてくるはずです。

ちょっとだけマンガの内容を話すと、主人公の仁さんは、麻疹やコレラ、梅毒なんかの流行を抑えるために、武家のおひいさまと共に治療に取り組みます。MRTやレントゲンはもちろん使えないし、医療器具や薬も限られている中で手を尽くすしかありません。世界初の抗生物質ペニシリンでさえ、まだ存在しない世界です。だから仁さんは、アオカビの培養から、ペニシリンの分離、精製まで七面倒くさい手順を踏んで、抗生物質の量産にも取り組むことになります。

麻疹もコレラも梅毒も、今では有効なワクチンや薬があるので、それほど怖い病気ではありません。しかし江戸の頃は「疱瘡は見目定め、麻疹は命定め」と呼ばれており、麻疹になったら、生きるか死ぬかは一六勝負でした。梅毒も有効な薬がないので、遊女たちは命懸けです。現代に立ち戻ってみると、ガンや認知症、血管病には特効薬やワクチンのような予防薬はなく、今も苦しむ人が大勢います。しかし100年後に生きる人たちから見たら、こんな病気で苦しんでいる人たちがいるというのは信じられないのかもしれません。もしくは死も病気の一種だという扱いが一般的になり、人類が死を征服する未来もあり得るかもしれません。そんな未来もみてみたいですね。

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