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ツタの脅威的な成長スピードの秘密

朝顔やグリーンカーテンに使われるニガウリを育てた事はあるでしょうか?もしくは甲子園球場の外壁に這い上がっているツタを見た事はありますか?これらはいずれも「つる植物」と呼ばれる植物で圧倒的な成長スピードが特徴です。植物にとって光は必要不可欠であり、周りの植物よりも上へ上へ伸びることが重要となります。その点で言えばつる植物は大成功です。ですが、なぜつる植物は成長スピードが早いのでしょうか?

まず挙げられる理由としては、つる植物は他の植物や支柱を頼りに成長するため茎を頑強にする必要がありません。他の植物が茎の補強に使う分のエネルギーを使って、どんどん茎を伸ばすことができるのです。さらにつる植物は、水を運ぶ導管や栄養分を運ぶ師管が太いため効率よく水や栄養分を運搬できるのです。普通は導管や師管を太くすると構造的に弱くなってしまうので、細い導管や師管をたくさん作って植物繊維で補強しながら成長します。しかし茎の頑強さが必要ないつる植物は太い導管や師管を作ることができるので、成長スピードをより加速させる事ができるというわけです。

次につる植物が他の植物を捕まえる時の工夫を紹介します。ニガウリなどは巻きひげというものを持っていて、巻ひげは何かに触れてその先端で巻きつくと、らせん状に捻れて植物本体を引き寄せます。そして巻きひげがバネのように働いて緩やかに植物本体を固定するのです。この巻きひげをよく見ると、途中でらせんの向きが反転しています。実は向きを反転させる事によって引っ張られた場合もねじれてちぎれにくくなっているのです。つる植物はこのような生存戦略によって驚異的な成長スピードを実現させているのです。

参考文献:稲垣栄洋,「面白くて眠れなくなる植物学」,PHP研究所,(2016)

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