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遺伝子組換え技術からゲノム編集へ

これまでの記事では遺伝子組換え技術を取り扱ってきた。そして昨日の記事では言遺伝子組換え技術にはデメリットがある事も紹介した。そこで紹介したデメリットの他にベクターによって運ばれた外来遺伝子が動物細胞や植物細胞の目的の場所以外の領域に取り込まれる事も多いという課題もある。このように組換え遺伝子技術は成功率が高いとは言えない手法だった。

そこで開発されたのが「ゲノム編集」である。例えば、最近ノーベル化学賞を受賞した研究者が2012年に発表したCRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれるゲノム編集技術が有名である。クリスパー・キャスナインはCas9ヌクレアーゼと呼ばれる酵素とガイドRNAを利用して(DNAの)目的の場所を認識し、的確に切断してDNAが修復される際の機構を利用して遺伝子の改変を行う。

ゲノム編集は遺伝子導入のほか、特定の遺伝子の破壊や塩基配列の部分的置換など、DNAの切り貼りを比較的簡単に行うことができる技術として注目されている。同時にヒトゲノムの編集にあたっての倫理的な問題が大きな課題となっている。

参考文献1:「ゲノム編集ツール CRISPR-Cas9 システム特集」,閲覧日:2021/05/13.
参考文献2:嶋田正和ほか22名,「生物」,数研出版,(2017).

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