通信制大学「ZEN大学」を考察してみた
"ネットの高校"とも呼ばれる「N高等学校」「S高等学校」を展開するドワンゴと、ボートレースの収益金をもとに活動している日本財団が「ZEN(禅)大学」の設立に向けて動いている、というニュースが飛び込んできました。そこで今日はZEN大学をさまざまな角度から考察していきたいと思います。
まずは入学定員ですが、記事によると初年度(2025年)の入学定員は5000人を想定しているらしいです。2025年というと、平成18年生まれの子が大学に現役入学する年になり、その年の出生数は約108万人となっています。ここで簡単な算数をしてみましょう。大学進学率を56.6%(2022年度の実績より)とすると、平成18年生まれの子のうちで大学に行くのは108万人×0.566で約61万人となります。ということは、5000人の定員が埋まると仮定すると、61万人のうちの約0.8%の子がZEN大学に行くことになります。まぁこれは概算ですので、大学進学者のうち大体1%がZEN大学に行くと考えていいでしょう。
「5000人も埋まるのか?」という疑問もあるかもしれませんが、僕は埋まると思います。なぜなら、N/S高等学校では、2022年時点で23013人が在籍しており、これを一学年になおすと7671人です。この子たちはZEN大学入学者の予備軍であり、7671人のうちの3割が入学するだけで半数近くの定員が埋まります。また、高校卒業後には専門学校に行く人も一定数おり、これらの子たちも何割かはZEN大学に流れてくると思うので、5000人という定員は十分に埋まるでしょう。
次に授業料ですが、ZEN大学では一年あたりの授業料を38万円に設定するそうです(入学金は不明です)。国立大学では50〜60万円を授業料としてとっているので、大体3割安程度となります。意外とZEN大学は安くないですね。国立大学の半分、例えば1ヶ月2万円で年24万円とかにしたら、もっとインパクトがあったと思います。
最後に学部ですが、ZEN大学では「知能情報社会学部」の1学部のみを想定しているようです。とてもシンプルですね。最初は通信教材の準備などが大変でしょうから、学部の数を絞って、受け入れ体制をつくるんだと思います。コースの内容としては、名前に「知能情報」と入っていることから、AI(人工知能)の活用なんかを多く盛り込むんじゃないでしょうか。あと、今の子たちは「GAFAM」をはじめとした大手IT企業の活躍ぶりを見て育ってますから、「情報」というワードは刺さるでしょうね。
通信制大学だと学生同士の交流や繋がりがない、という批判(デメリット)も出てくると思いますが、それはドワンゴも承知の上だと思うので、オフラインでのイベント開催やSNSを通じた繋がりの強化などの対策を打ってくると思います。ちょうど現在は旧態依然とした教育体制から新しい教育体制に移行する過渡期ですので、ZEN大学はその過渡期を支える大学になるのではないでしょうか。今日は以上です。
↑余談ですが、一人くらい女性を入れた方が良かったのでは、、?