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豪州スキー場2020シーズン総括と、9月末時点の国内外での動き

こんにちは。

9月もあっという間に終わり、日本では初雪が観測されてスノーシーズンの訪れが見えてきましたね。

南半球のオーストラリアでは、2020ウィンターシーズンが終わりを迎えています。先週末に季節外れの大雪が降りまだまだ盛り上がってはいるのですが、シーズンをまとめる報道や、各スキー場からのメッセージも出揃ってきました。

いま世界のスノー業界では、北米スキー場の経営者がオーストラリアのスキー場経営者に電話してアドバイスをもらう……という地球規模の助けあいが起こっています。

日本には日本なりのやり方があるので真似しろとは言わないけど、「参考にしたいけど情報にたどり着けない」という人もいるかなと思いました。

この記事では、コロナ禍中の運営となったオーストラリアスキー場の2020シーズンを総括しつつ、2020年9月末時点での国内外の動きをまとめていきます。すべては訳せないのでリンクをたっぷり貼っておきます。翻訳アプリを駆使してお役立てください!

オーバービュー:2020年シーズンを振り返って

オーストラリアのスキー産業は本来、約23,000人の雇用を生み、年間24億ドルの経済効果をもたらすほどの規模があります。

ダメージの正確な算出はまだできていないようですが、オーストラリアスキー場協会の最高責任者Colin Hackworth氏によると、今シーズンのCovid-19による影響は「壊滅的」です。その深刻さについてメディアインタビューで“shockingly cruel(ショッキングなほど残酷)”という言葉で答えていました。▶参考記事:COVID-19’S ‘DEVASTATING IMPACT’ ON THE AUSTRALIAN SKI INDUSTRY

オーストラリア大陸には、冬に雪が降るNew South Wales州(以下NSW州)とVictoria州(以下VIC州)の2つの州に、全部で10箇所ほどのスキー場があります。中でも規模が大きく主要なところはこちら。

・Perisher(ペリッシャー)
・Thredbo(スレドボ)
・Mt Hotham(マウント・ホサム)
・Falls Creek(フォールズ・クリーク)
・Mt Buller(マウント・ブラー)

今年3月頃から、オーストラリアも世界同様に大変な状況でしたが、万全の対策をしたうえで6月下旬に5スキー場がほぼ同時にオープンしました。しかし間もなく、メルボルン中心にコロナ第二波が到来。1〜2週間のうちにすっかり状況が変わってしまいました。

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どのスキー場もこのように、Webサイト上で「COVID-19 UPDATES」のページを設け、情報を随時更新していける体制でのシーズンインとなりました。

州によって感染状況が異なったため、比較的軽かったNSW州内のスキー場は、稼働率を例年の50%まで抑えつつもなんとか営業できました。州をまたぐ移動が規制されていたため、最後まで州内客をターゲットに絞った小規模営業です。

一方、第二波が深刻だったVIC州では、ほとんど営業できないところも。8月に入るとVIC州の政府から「ステージ3の規制に伴い州内のすべてのアルパインリゾートを閉鎖せよ」と通達が出てしまったため、雪がたっぷり降るなかでのシーズン強制終了となりました。

オーストラリアでは2019年末から数ヶ月に渡る森林火災に見舞われ、ようやく収まってきた頃にCovid-19が流行するなど、災難続き。こんな環境下だったので、業界内では「部分的にでも営業できただけ奇跡」という見方もあります。とはいえ、VIC州の観光産業はパンデミックの影響で95〜98%の収入源だそうで、全体としてとんでもないダメージになりました。

続いて、各スキー場の簡単な振り返り、Covid-19対策やオペレーションがまとまっているページ、最近出たThank youメッセージ+動画(今シーズンどうもありがとう!というやつ)を、スキー場ごとにまとめます。


1. Perisher(ペリッシャー)

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NSW州にある一番大きなスキー場。稼働率は例年の50%となりましたが、そこそこ順調に営業していました。

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この画像をどこかで見た人も多いかもしれません。政府のガイドラインに則って、リゾートとして独自にイラストを作っています。わかりやすい。

▼Covid-19 Updatesのページ

▼Thank you メッセージ(シーズン総括)


▼Thank you動画



2. Thredbo(スレドボ)

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こちらもNSW州なので、Perisher同様に稼働率を例年の50%に下げての営業です。こちらもそこそこ順調に営業できていた印象です。

お客さんが少ないので諦めて、来シーズンに向けて新しいゴンドラを建設したりしていました。余談ですが、オーストラリアはコロナ期間中、あちこちで工事が驚くほど進んでいました。

▼Covid-19 Updatesのページ

https://www.thredbo.com.au/about-thredbo/covid-19-update/

▼Thank you メッセージ(シーズン総括)

https://www.thredbo.com.au/blog/2020/winter-2020-an-unforgettable-season/

▼Thank you動画


3. Mt Hotham(マウント・ホサム)

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VIC州内。7月上旬にメルボルンが6週間の本格ロックダウンに入ったのを受けて、リフトの全面運行停止を発表しました。営業できた日数はわずか5日間です。

しかしなんと最後の最後で、VIC州の地域住民(Regional Victorian)限定で、9/26・27の週末にリオープン!幸い季節外れの大雪が降ってくれたため、最後にちょっとだけ開けることができたみたいです。

▼リオープンの発表

▼リオープンの告知をするインスタ投稿

▼Covid-19 Updatesのページ


4. Falls Creek(フォールズ・クリーク)

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こちらもVIC州内で、Mt Hotham同様に、たった5日間しか営業できませんでした。Mt HothamとFalls Creekの2つのスキー場がリフト停止するというニュースのときには、かなり絶望的な空気が漂っていました。

しかしこちらも同じく、9月末に限定オープン。まだ終わってません!

▼リオープンの発表

▼リオープンの告知をする動画

▼9月30日時点、リオープンを大きく告知

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もはやCovid-19 Updatesのページが消えてました笑


5. Mt Buller(マウント・ブラー)

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Mt BullerもVIC州内なのですが、すぐに全面停止はせず、かなり稼働を減らしながらもかろうじてリフトを動かしていました。しかしその粘りも虚しく、43日間の営業までが限界でした。

ただ、Mt Bullerは9/17からリオープン。春スキーを楽しんでおります。

でもサイト上ではもうラップアップ済みで、2020シーズンの超細かい年表はかなり読み応えがあります。動画もエモい感じで、大変なシーズン乗り切れたのはみんなのおかげ!ありがとう!!というムード。ぜひ見てみて。

▼Covid-19 Updatesのページ

▼Thank you メッセージ(シーズン総括、というか年表。すごい)

▼Thank you動画(感動的)

海外動向:北米ベイルリゾート等のレター発表

オーストラリアはそんな感じで、ラップアップ(まとめ)モードに入っています。入れ替わるように動き出したのが北米のリゾート。

Vail Resortは8月27日、CEOからのメッセージレターを出しました。

この時点では数ヶ月先の状況なんてなにもわからないけど、やっぱり何かしら声明を出すのって大事だなと思いました。いち早く出したVail Resortはさすがです。具体的なレギュレーションも、一応いろいろと書いてあります。

新しい予約システムについてはここにページが作られています。

カリフォルニアのMammoth Mountainの発表も見つけました。11/14にオープン予定とのことで、グラフィックも作ってルールをなんとなく定めていますね。

北米・ヨーロッパでは徐々にルールなどが出てきている様子です。私も追いきれていないと思うので、他に見つけたら教えてください。

海外ではニュース記事もたくさん出てきています。(会員登録のポップ出てくるメディアもあるけど、しなくても全文読めます)

The Guardianがヨーロッパのことはめちゃくちゃ詳しい。まとめるの大変だから翻訳アプリ使って読んでね。

https://www.cbc.ca/news/canada/calgary/ski-resorts-pandemic-covid-1.5741666

CBCのこの記事によると、カナダのスキー場経営者は約2ヶ月後のオープンに向けて、利益を出すことと顧客を守ることのジレンマで揺れているって話。

医療専門家はやはりゴンドラやレストランでの感染を危険視しているようですが、カナダは今のところ入場人数制限まではしないかもしれないようです。午後のみのシーズンパスは発行する見通しですが、それだと10〜20%減くらいに留まるかも、と。

The Australian Lessonという見出しで、オーストラリアに学ぼうと書かれていますね。全世界的にオーストラリアを参考にしている感はあります。まだ決まっていないことだらけで、協議中のようです。

このへんも役立ちそうなので読んでみてください(だんだん雑になる)。

国内動向:白馬の3スキー場が発表、個人ムーブメントも

日本国内では白馬観光開発が、「白馬岩岳スノーフィールド」「白馬八方尾根スキー場」「栂池高原スキー場」の3つのスキー場の冬季営業方針を発表しています。シーズン券の返金ルールなどもありますね。

探した感じだと、日本でしっかりめのルール等を発表しているスキー場はまだここだけかも。シーズンパスの販売アナウンスは各スキー場しているのですが、あまりコロナには触れていないようです。これも見つけられてないだけかもなので、違ったらすみません。

スキー場側でなく、個人側からもムーブメントが起こっています。

こちらは個人プロジェクトとして運営されているGO SNOW RESORTという取り組み。滑る側目線で、今シーズンどうなる?や、スキー場を守るために何ができる?などの情報を発信してくれています。

毎月1日にテーマを決めて、アンバサダーの方たちの盛り上げでプッシュしながら、発信をされています。スキー場がまだあまり方向性を出していないので、滑り手側からも考えていくべきなのかもしれません。フォローぜひ。

▼GO SNOW RESORT Instagram
https://www.instagram.com/gosnowresort/?hl=ja

さいごに

長くなりましたが、オーストラリアスキー場のラップアップと、最近見えていることのまとめでした。

個人リサーチなので抜けているところは多々あると思いますが、参考にしてもらえれば幸いです。逆に「この情報をまとめよ!」「これを紹介せよ!」というものがあれば、Twitter DMなどでどんどんお寄せください。

雪不足とコロナショックで瀕死状態のスノーリゾート周辺地域ですが、なんとか日本の未来のためにも、生きのびてほしいですね。前からずっと言ってるけど、雪は日本が誇る天然資源です。

オーストラリアのシーズン終了と共に私も日本に帰国したため、なにかできることがあればやっていこうと思います。ぼちぼち外に出ます。気軽にお声掛けいただけると嬉しいです。

おわり。(役に立った!と思っていただけたら投げ銭サポート喜びます)

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