軽減税率でプラごみが増える?世界と日本の環境意識の差
こんなツイートをしたら、300RT/1200いいねの反応がありました。
びっくりですね。こんな日本もびっくりですけど、関心を持つ人がこれだけいたことにびっくりです。よかった。
軽減税率で「テイクアウトなら8%」だから、持ち帰りが増える=プラスチック容器がもっと必要になる!
少し想像すればわかった気がするけど、本当にこれが起きているらしいです。まだニュースになっていたりデータが出ていたりはなさそうですが、探せば現場の生の声はたくさん上がっています。
私はずっと環境問題に関心があり、大学の卒論もその関連で書いたくらいで、これを知って多大なショックを受けました。あとあまり関係ないですが今は海外にいて、外から見つつも日本の未来はとても大切に思っている。。
ちょうどいいので、なぜ日本の環境問題への意識はこんなに遅れてしまっているのか、世界と日本・客観と主観を交えながら書いてみようと思います。
世界の環境意識はこうなっている
EUは、2030年までにすべてのプラスチック包装をリサイクルし、使い捨てプラスチックを削減することを発表しました。
グローバル企業も、スターバックスが2020年までにプラスチックストローの全面廃止を宣言。コカ・コーラやユニリーバなどは、2025年までにパッケージのリサイクル率を100%にすると宣言しています。脱プラスチックの流れは確実にきています。
LUSHなどは10年以上も前からプラスチック削減の活動をしていて、それを発表することで売上が3倍になったりしてるんですよ。
もはやCSR活動にとどまらず、「持続可能であること」は企業のマーケティングにも欠かせない。そんなムーブメントが加速しています。
私は最近オーストラリアにいて、いち生活者目線でもブームやトレンドを感じます。
たとえばお洒落な雑貨屋さんに入れば、竹やステンレス製のリユーザブルストローのコーナーがけっこう大きく設けてあります。かわいいし、持ち歩き用のケースなんかもありますね。(日本にもあるかな?)
エコ意識の高いショップに限らず、環境に配慮したグッズは当たり前に増えています。美術館のミュージアムショップにも、こんなコーナーがありました。環境関連の本、ストロー、使い捨てないラップ、竹のマグカップなど、かわいい雑貨がたくさん。ちなみに展示内容とは無関係です笑
紙のランチバッグいいですよね。これ洗えるらしいですよ。
あと、トラムの駅にはこういうマシンがあります。自動販売機のようですが、これはウォーターリフィルマシン。
オーストラリア拠点の「Water3」というソーシャル・エンタープライズがやっていて、自分のマイボトルにたった$1でフレッシュなお水(スパークリングウォーターも選べる)がリフィルできるんです。オンラインショップからボトルを買うこともできます。
LIVE LIFE Unbottled.
かっこよくないですか?こういうテイストでポップに環境にいいことするのが好きなんですよねー、個人的には。
まあこのへんはまた詳しく紹介したいと思うのですが、ナチュラルにこんな感じになっていて、世界は進んでおります。
「環境に配慮してない=ダサい、時代遅れ」
これが今の世界のリアル。もう何も考えずにプラスチックを使いまくる人とかって、遅れてるよね〜のレッテルが貼られます。若い人ほど敏感な気がする。
先日のグレタ・トゥーンベリさんの演説などもあって、若者から切実な声が上がり、世界はもう「真剣に考えないとマズいな」という空気になってきてます。
日本の環境意識が遅れている理由
でも日本は、そうでもないですね。Twitterとか見ていると意識が高まっている感じはしますが、マスはそうでもない。。
ツイートしたように、平気で時代に逆行した制度とかが生まれます。このまえJRの「自販機のサブスク」が出てきて、ペットボトルを増やしてどうするんだと炎上していたのもありました。
政府や環境省はこうなるのを予測できなかったのかな……?と心配になりますがまあ政府は置いておいて、日本の一般生活者がなかなか行動に移せない理由は単純。「努力をするメリットがなにもないから」です。
その理由をもう少し噛み砕いていくと、以下の4つかなと思っています。
1 忙しすぎる
日本人は、とにかく忙しい。
単に忙しいことにより、選択を変える余裕がないのです。現に余裕がある国ほど環境意識は先進的で、人々のアンテナも高く、国もしっかり動いています。
日本では、人間らしい活動とか、暮らしを豊かにとか、自然との共生とか、言ってる場合じゃない人がほとんどですね。
疲れ果てて終電で帰り、魂が抜けた顔のままコンビニ飯を買って帰る……みたいな人に「プラスチックが環境に与える影響ガー」とか言っても、響くわけないに決まってます。
2 安全性と利便性が十分高い
日本はとっても平和で安全、そして便利なので、選択を変える理由が足りません。
その証拠に、世界一の長寿国。生活習慣による病気や肥満率も、たとえばアメリカなどに比べれば低いです。
海外(まとめてしまうけど)だと、chemicalなものって普通に危ない。カップケーキの色とか明らかにやばいもんね?身体に悪そうー。みたいなものが今までは多かった(偏見かも)。
すると、“自分や家族のために”オーガニックやエコのものを選ぼうという意識になってきます。無添加とかのほうが普通に美味しいことに気づき、環境に配慮しているもののほうが便利だったりする場合もあります。ビニール袋もまず配られないので、自然にエコバッグを持ち歩く。
日本はおもてなし精神とかも影響して、「しっかり何重にも包装すること=丁寧で素晴らしい」という価値観も根付いてしまっています。お年寄りなどはとくに、今から変えるのはむずかしく、お店側なども安易に戻しづらいですよね。
3 同調意識の強い国民性
「みんなと同じ」が良しとされる社会なので、個人の思想が消費選択に反映されにくい。
これは、日本人が小学生のころから同じ色のランドセルを背負わされ、スカート丈までぴったり同じ制服を着せられてきた後遺症。残念だけど「教育」が人格・思想形成に与える影響は大きいです。
自分の意志で「消費選択」をするという経験は、大学生くらいになってやっと……という人が多いのですが、そのころにはもう「思想」が介在する余地がない。
欧米などでは、思想のある消費をスタイルと捉える意識がスタンダードになりつつありりますが、なかなか遠いのかなと思います。
ただしこの国民性は、今この瞬間から始まろうとしている「エコなものがブームになった社会」においては、逆にプラスに働く。だから期待もしていたりします。
4マスメディアが伝えない
今の日本のメディアネットワーク的にも、主体性がある人じゃないとこういう情報になかなか接触しづらいです。
社会問題について自発的に情報を取ろうとする層はかなり限られるので、やっぱりテレビのような「受動型メディア」でどういう伝え方をされるかが、まず第一関門になります。最初の入り口としてここを突破できないと、いくらインターネットに良質な情報が流れていても、たどり着きにくい。
エコなライフスタイルとかって、長年「好んでする人はいいと思うけど、自分には関係ない」というものでした。
いかに「自分ゴト化」させていくか、の部分で、マスメディアは無視できないなと思います。
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けっこう当たり前のことばかりですが、改めて洗い出してみると「必然なんだな」って感じですよね。日本は凄まじく独創的なガラパゴス国家だから(そこが良いところでもある)、個人や政府を責めても仕方ない気がする。
ちなみにこれは、私が大学の卒論に書いていたことをまとめ直したのですが、今読んでもあまり変わってないですね。
さいごに:政治と絡むのは必須だけど、明るくいきましょう
こういう発信をすると、
・現政治への不満・愚痴
・特定の政党へのバッシング
・選挙に行かない若者を責める声
・企業や団体への過剰な期待
・海外信者からの「日本dis」
・私は先進的!というマウンティング
などが目につくようになり、疲弊します。やめようかとも思うのですが、けっこう今いい流れだなーと思うので、小出しにしていくかもしれない。
けどやっぱり思うのは、負のオーラ全開で啓発してもしかたなくて、ポジティブにやってみましょうよってこと。
環境のために消費選択することが、消費者本人にも利益をもたらすような仕組みを、明るく楽しく作っていけたらいいですよね。
おわり。