幸せとお食事、運びます。
いつか食堂かカフェかお店を出す夢がある。まだまだ実現には程遠いが、一歩近づくことになった。
ひょんなことから飲食店を手伝うこととなった。
銀座にある閑静なダイニングバー。お酒もデザートも美味しくヘルシーなメニューも取り揃えてある。わたしのお気に入りはサービスしてもらったヌガーグラッセ。私は不安と期待が入り混じりながら手伝える日に臨んでいるが、やはり不安の方が大きいかもしれない。
わたしは仕事ができない。本当に笑ってしまうぐらいできない。大学生の頃、百貨店に入っているおハイソなカフェでバイトしていたことがある。ホールとして受け入れられたが案の定物覚えが悪く、グラスを何度も割り、会計でもたついてはお客さんを困らせた。やがて皿洗いに回されてしまった苦い記憶がある。ケーキが有名なお店だったので、店のメニューを覚えるためにクローズしてから試食会をした。食欲にスイッチが入り、帰りに百貨店のスーパーでビールとスナックを買い込んで家に帰るのが習慣だった。酒と安い菓子を胃の中に流し込んでストレスに対処しいつからか過食症になっていた。
これから手伝う店は閑静な店で以前のように超有名店ではない。けれど、ヘルプで入る以上には忙しい中で役に立たなきゃいけない、うまくやらなきゃいけないというプレッシャーがのしかかる。かつてのカフェバイトの二の舞になったらどうしようと不安が募るばかりだ。実は自分の勤める会社が多角事業ではじめた店で、わたしはどうしようもなく仕事ができないからそちらに行くことになったのだという気持ちが拭えない。前の失敗とどうしても重ねてしまうのだ。そして自暴自棄になってまた食べることで解消しようとするのがたまらなく怖い。しかし今引いて考えてみると自信なさげにしていたら仕事を任せる方も心もとないし、なによりお客様に対しいいおもてなしができない。料理店を出す夢に至った理由を思い出しながら自分を奮い立たせよう。
丁寧にていねいに、お客様第一に自分も大切に料理と幸せを運びたい。
気になったらこっそりと教えるのでお店に来てね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?