映画 「悪人」続き


殺してもいられませんから、ここがどこであろうと車から降りてと言ったんでしょう。
本心ではこんな女この辺で一人で歩く事になったとしても自分は痛くも痒くもないんですね。
ビビりながら全く状況が飲み込めてないニンニク女もゴネますが、こちとら殺意押し殺して我慢してましたって感じにキレ散らかし、降りてもらう事になりましたが蹴りもお見舞いしてしまいます。
実際には蹴りなのか強く背中を手で押してただけなのかは分かりません。が、佳乃には酷いダメージ。ガコン!とガードレールにぶつかってます。
冷たく去る男の車を尻目に、今度は祐一の車が来ます。
これからはとても切なく辛いシーン。
佳乃は恥ずかしさからか、さぞザマあみろと思ってんだろうなぁという思考に行き着く元々ひねくれた性格からかは分かりませんが、、とにかく自分が好きな男からこんな場所で降ろされた混乱もあり、「送るよ」という祐一に暴言を吐きます。 
はんと醜いものです。
「レイプされたって訴えてやる」と喚きます。
バカだ。
しかし祐一も祐一で嘘つくなよ!と詰め寄ると佳乃はまた叫び声をあげ、脅します。
誰もあんたのいう事なんか信じない!とさえ。
神経を逆撫でする佳乃の虚言の脅しと罵倒で祐一は彼女の首を絞めます。
ここを見ると佳乃は単に自分で自分の首を絞めたバカに見えますが、様々な感情と状況が重なりそうなってしまったのです。

佳乃の両親は地元で昔ながらの小さな床屋を切り盛りしているごく普通の家。
佳乃が社会人になって自立して家を出ても、両親にとって幸せを第一に願う存在でした。
お父さんは佳乃に保険に加入してくれるお客さんを紹介するなど貢献しています。それは単に娘の役に立てたらというだけで、愛情が見てとれます。
せっかく知人を紹介して保険の契約を終えた後で佳乃とご飯に行こうと思ってたのに、約束があるから無理と断られ、その場で別れました。
それがお父さんと佳乃が会った最後でした。
娘が遺体で発見されたと警察から床屋に連絡がありました。

こうなると罪は深く大きく、償いきれないものになりますね。
佳乃の幸せを願って生きる人達から佳乃を奪ってしまったのですから。

それなのに祐一は新たに光代という女性に出会い、不器用ながら絆を作ります。光代は祐一の痛みが分かるというか、たとえ失礼な事をされても弁解を聞き、理解するのです。
この二人を見てると、ひたっとくる良い相性という印象でした。
光代も妹と暮らしていますがどこか孤独を抱えた女性。不器用だけど心を開いてくれた祐一を愛しますが、人を殺した事を告白されます。
光代の様子から祐一は不幸な出来事で殺したのだろうと悟ります。決して憎かったとか邪魔だからとか単純な理由ではないと思ったのでしょう。
しかし、見過ごす訳にはいかず自主を進め、祐一を見送るつもりでした。
この時の光代は祐一との別れと、また来る孤独に怯えたのかもしれません。警察署に向かう祐一を引き止めました。

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