映画「モンスター」
凄かったですね、この映画。
ヒロインの売春婦アイリーン演じるシャーリーズ・セロン、崖っぷちを生きている人に見えました。
いや、崖っぷちって色々あって普通に暮らしている様に見えて実は精神的にボロボロで今にでも死にそうとかも含めて彼女の場合、本当に行く場所が無いんです!そういう崖っぷちです。
そんな彼女が行く先で殺人を殺して、その人の金品を奪い、生き延びるんですが、もちろん捕まって死刑になる。そんなお話です。
ヒロインのアイリーンが元々冷酷だったかと言うと多分違って、同性愛者のセルビーちゃんとの出会いで頑張っちゃったのかな?と思う…。頑張るところが殺人?って感じですけどアイリーンは思考回路自体まともにできてない状態で大人になったから、分からなくも無い。
またセルビーもね…。薄汚いアイリーンに惚れてお持ち帰り。
アイリーンの顔を触りながら「あなたキレイ…♡あなたと寝るために男性は何人も並ぶんでしょうね…」とか言ってます。惚れたら素敵に見えるものです。
束の間の優しく美しいひとときでした。
ここから何故連続殺人になったかというのは難しいところで、理由は一つじゃない。
セルビーを喜ばせたいのと、その日暮らしの崖っぷちですからお金を稼ぐのに必死度が違うのと、悪いものが重なって起きたのでしょう。
アイリーンって自分がどう見られているかは実は分かっていたのだと思うんです。
単に「娼婦」だけではなく。
ただ欲を満たしたいとしてもアイリーン自身、自分が男なら、今の自分よりもっとマシな身なりの女を引っ掛ければいいものを、自分のところに来るのは口なり体なりで性行為をしても、罪悪感にもならない者、つまり自分を選ぶんだろうな〜って。
ようはみんな敵。
彼女に対し相当酷いこと言ってしまいますが、あながち間違いではなさそう。
だから連続して殺せたのかなぁって感じます。
このお話で辛いのが、セルビーの心は案外早めに離れてしまっているところ。
セルビーとアイリーンでは育った環境が違うし、そもそもがそんなギリギリの生活をしてまで駆け落ちする必要もなかったのですから苦労から愛も冷めてしまうのです。
セルビーは酒場で出会ったキレイな?アイリーンに惚れて、流されるまま着いてきただけ。
やがて迫る捜査の手。
あっさりセルビーはアイリーンを売ります。
とても切ないシーンですがあんな疫病神、たとえ人を殺さなかったとして、セルビーと何とか付き合ってもおおかた暴力でも振るったり癇癪起こしたりで、のちに思い出したくもない人間になるのは目に見えてますから。
悲しいけどね。
アイリーンは法廷に来たセルビーを見て喜びますが、すぐに打ちのめされます。
悲しい悲しい映画でした。