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顎変形症まとめ②両顎手術と入院生活

はじめに

あくまで自分の場合はこうだったという記録であり、個人によって適切な術式や経過は異なります。
自分に何の術式が適応されるかや、手術のリスク、入院のスケジュールなどは、お医者さんに聞いてください。

痛みなどの記憶とともに、Twitterなどに投稿していた心情などもまとめてるので、長いです。
簡単に読みたい方は”まとめ”をどうぞ。

2020年8月 両顎手術

手術内容

上顎、下顎ともに動かす両顎手術だった。
以下は、ごく簡単なメモで、説明を受けた素人の解釈なので、間違っている可能性がある。

上顎はLe Fort 1型骨切り術
歯が生えてる骨と、その上の骨を分離させて動かした後にプレートで固定する方法。
前と上に動かしたが、何ミリ動かしたかは忘れた。

下顎は下顎枝矢状分割術(SSRO)と下顎枝垂直骨切り(IVRO)の併用
SSROは顎関節あたりの骨を内側と外側に割って動かし、プレートで固定する方法。
IVROは顎関節あたりを縦に割り、動かす方法で、プレートによる固定は行わない。
左右でそれぞれの術式が適用されたが、どっちがどっちかは忘れた。

合計でオペは7時間ほど、全身麻酔で行った。

手術までに行なったこと

採血、検尿、心電図、肺活量
麻酔の種類や量の決定のため、また感染症の検査などと聞いた。

貯血
手術に伴って、まれに多く出血する場合がある。
その際に輸血を自分の血で行うために、手術日前の2週間以内に400ml(だった気がする)の貯血をする。
ちなみに感染症の関連で手術が一度延期になり、貯血は3週間ほどしか保管できないために1回目の血は廃棄された。悲しかった。

口腔外科での診察
レントゲンの撮影と、口腔内の診察が何度かあった。
顎の移動量の決定などは、矯正歯科と連携して決定される。
手術前日の説明も口腔外科で行われた。

検温
入院の2週間前から、検温して用紙に記入、入院手続き時に提出した。
37.5°以上あると手術延期の可能性があると言われた。
入院してからも毎日検温があるが、手術前日は緊張して熱が出るのはあるあるらしい。
しかしずっと下がらないと、一度入院したとて手術延期の判断が下され、退院を求められる場合もある。

術後の顎間固定のためのフック付け
矯正歯科で、術後に顎間固定するためのトゲトゲフックを手術前に取り付けた。
そこまで違和感はないものの、見た目が攻撃的になった。

入院期間

手術前日

昼頃に入院。
口腔外科での手術説明と、看護師さんによる入院生活(消灯の時間やお風呂など)の説明、検温など。
手術室とICUに持ち込む荷物(タオル、靴、吸い飲みなど)にシールを貼って名前を書く。
18時に晩御飯。
20時から絶食だったような記憶。

手術当日

6時30分に起床。
7時から絶飲。
8時頃に手術着に着替える。
看護師さんに貴重品類を預ける。
8時30分に歩いてオペ室へ移動。
名前と手術内容を確認のために自分の口で看護師さんに伝える。
9時からオペ開始。

手術

術着は薄いので、オペ室がめちゃくちゃ寒い。室内には10人以上いたような気がする。
最後にもう一度フルネームを確認され、手術を担当する先生の自己紹介(何科の誰です、程度)があったのち、台に横たわる。

毛布をかけられた後、血液循環のため(?)の靴下を穿かされる。
術着が毛布の下で剥ぎ取られ、心電図が貼られる。
同時進行で指にパルスオキシメーターがつけられて、点滴が始まる。
そのほかにも色々していたが、忘れた。
ここまでオペ室ついてから5分ぐらい。

麻酔を入れていきます、冷たい感じがしますよ〜という声かけがあり、実際に冷たさを感じたのち、意識がなくなる。

術後

点滴、血抜きドレーン、尿管カテーテル、パルスオキシメーターなどなどが身体についている。
顎はバンテージとワイヤーで固定されている状態。

HCUに移動。
16時ぐらいに意識が戻るが、あまり記憶なし。

夜中に布ズレの痛みで目が覚める。
めちゃくちゃ痛いから身体を動かしたいけど無理、看護師さんに伝えたいけど喋れないから無理、痛みから唸ることしかできない、呼吸もしにくいという最悪な夜を過ごした。
定期的に血栓防止のために看護師さんが身体を動かしてくれるものの、どうやっても痛かったし、それが伝わらないのが絶望的だった。

じわじわ顎も痛かったが、痛み止めと意識のフラフラであまり痛く感じなかった。

術後1日

(変化)
尿管カテーテルとパルスオキシメーターが外れ、歩いてトイレに行けるようになる。
朝、車椅子で一般病棟に移動
ドレーンが夕方に抜ける

(状態)
痛み:覚えてない
腫れ:すごい。パンパン
感覚:なし
ご飯:なし
熱:37.5°ぐらい
痰:すごい
お腹の具合:悪い

お昼頃には携帯を触れるぐらいに意識回復。
顎はじわじわ痛かったような気がするが、喉の痛みと口から伸びるドレーンの方がストレスであまり記憶なし。
よだれ垂れ流し状態だったので、ティッシュが大量になくなる。
夕方から拭けば血がつく程度の鼻血が2時間ほど続く。
水分補給は可能だが、口が開かないし、頬から下の感覚は麻痺しているので、めっちゃこぼす。
夜になると腫れだして、鼻が圧迫されて呼吸が難しく、あまり眠れない。
手の甲の点滴が痛い。
水分しか取らないので、下痢気味。

術後2日

(変化)
顎間固定がワイヤーからゴムに。替えるときに顎をめちゃくちゃ押され、痛くて泣く。
急に痛み止めを飲んでも顎が痛い。

(状態)
痛み:けっこう痛い
腫れ:すごい。パンパン
感覚:なし
ご飯:なし
熱:37.5°ぐらい
痰:すごい
お腹の具合:悪い

鼻水がすごいけど、鼻をかむのを禁止されているのでストレス。
鏡を見ながら綿棒で掃除していた。
よだれ垂れ流し状態は変わらず、痰が絡まるので何度も吐き出す。
ティッシュが一箱ほぼなくなった。
夜がほとんど眠れなかったので、ほぼ寝落ちのような状態で昼間に細切れに眠っては、呼吸が苦しくなって目覚めるの繰り返し。
この日も痛みでほぼ眠れなかった。

術後3日

(変化)
この日の朝から流動食が始まる。

(状態)
痛み:普通に痛い。
腫れ:すごい。カバぐらい
感覚:なし
ご飯:流動食
熱:37.5°ぐらい
痰:すごい
お腹の具合:悪い

流動食が始まり、久しぶりに味がするものを口にして大感動するもほぼ飲めず。
Twitterには「味があるものを口に入れたという満足感だけで疲れた」と書いてある。
感覚がないので、鏡を見ながら手で口の位置を確認して食べていた。
よだれは変わらず垂れ流し。
診察で口内洗浄と傷口チェックがある。
昼食ののち、鼻呼吸ができたからかまた気絶するように眠る。
看護師さんと先生たちから「明日から楽になると思う」と言われるが、到底信じられない。
夜になるとまた腫れて、鼻呼吸ができなくなる。
流動食も液体なので、変わらず下痢気味。

術後4日

(変化)
下顎の感覚が少し戻る

昼から流動食をスムーズに飲めるようになる。うれしい。

(状態)
痛み:ちょっと痛い
腫れ:すごい。カバぐらい
感覚:下顎だけ少しあり
ご飯:流動食
熱:37.5°ぐらい
痰:すごい
お腹の具合:悪い

少し元気になる。
下顎は指で触れば少し感覚があるが、ご飯粒がついているとかは全く分からない。
上顎は変わらず感覚なし。
診察では変わらず口内洗浄と傷口チェック。
よだれの扱い(?)に慣れてくる。痰は普通に出る。
大半を寝て過ごした。

術後5日

(変化)
下顎に黄色い痣
ができる。
少し腫れがおさまる。
点滴が全て外れる
お風呂に入れるようになる
食欲が湧く。
感覚がじわじわ戻る。

(状態)
痛み:ちょっと痛い
腫れ:すごい。ハムスターぐらい
感覚:下顎から上顎にかけてじわっとあり
ご飯:流動食
熱:37°後半
痰:すごい
お腹の具合:悪い

けっこう元気になるが、熱がなぜか高い。
少し腫れがおさまったことで、呼吸がしやすくなる。
診察で口内洗浄、傷口のチェックと顎間固定のゴムを変えてもらう。
お昼に点滴が全部外れたので、お風呂に五日ぶりに入ってスッキリ!
体重を測ると、術前から3キロほど落ちていた。
なぜか夜中に猛烈にホタテのお寿司を食べたくなる。
感覚的には元気なのに活動できてないので、眠れない。

術後6日

(変化)
抜糸
(痛い)
自分の手でのゴム掛け(13本)開始

(状態)
痛み:ちょっと痛い
腫れ:すごい。ハムスターぐらい
感覚:右頬だけなし。他は触れば分かるぐらいにはあり
ご飯:流動食
熱:37.5°ぐらい
痰:出る
お腹の具合:悪い

変わらずけっこう元気。でも熱は下がらない。
腫れが少しおさまったからか、鼻呼吸がしやすくなる。
感覚も急にめちゃくちゃ戻る。
右の小鼻横から涙袋の下の範囲だけ、触っても分からない。
抜糸、腫れた頬肉に埋もれた糸をほじくるのがめちゃくちゃ痛くて泣いちゃった。
へしこが食べたい。
元気なのに活動してないから眠れない。
歯茎についているスクリューで出来た口内炎がバンテージで圧迫されてすごく痛い。

術後7日

(変化)
この日の朝から、刻み食開始。
メチコバール処方。
バンテージが取れる

(状態)
痛み:ちょっと痛い
腫れ:普通に腫れてる
感覚:右頬だけなし。他は触れば分かるぐらいにはあり。
ご飯:刻み食
熱:37.0°ぐらい
痰:出る
お腹の具合:悪い

元気。熱も少し下がる。
刻み食が始まって喜ぶも、口が開かないので全然食べられない。
流動食をスムーズに飲めるようになったあとだったので、また食事の困難さが振り出しに戻って、ちょっと辛かった。
バンテージが取れたことによって、少し呼吸がしやすくなる。
暇を持て余し始める。

術後8日

(変化)
朝に感染症検査のために採血される。
退院後の食事に関する栄養指導あり。

(状態)
痛み:ちょっとだけ痛い
腫れ:腫れてる
感覚:右頬だけなし。他は触れば分かるぐらいにはあり。
ご飯:刻み食
熱:37.0°ぐらい
痰:出る
お腹の具合:少し悪い

朝の6時に起こされたうえに採血されてちょっと萎えたけど、元気。
ご飯をスムーズに食べられるようになる。
と同時に、「明日の朝の診察でOK出たら帰っていいよ」と言われる。
診察とお風呂とご飯以外、ずっとゲームしてた。

術後9日

(変化)
退院

(状態)
痛み:ちょっとだけ痛い
腫れ:腫れてる
感覚:右頬だけなし。他は触れば分かるぐらいにはあり。
ご飯:刻み食
熱:平熱
痰:出る
お腹の具合:ちょっとだけ悪い

朝の診察でOKが出たので、荷物整理して、支払いして、ナースステーションで確認してもらって、忘れ物の最終確認を看護師さんとして、午前中に退院!
太陽がとても眩しかった。

その後の経過

術後10日
触ればわかるぐらいの感覚が戻っている部分が、痒くなり始める。
皮膚の下でムズムズする感じ。
神経が通り始めてるのを実感して面白かった。

術後12日
矯正歯科に通院。
ゴム掛けが13本から9本に。

術後15日
口腔外科に通院し、開口22mm。

術後23日
大学が始まる。
激しい運動は禁止されるものの、日常生活にそこまで支障なし。
食べ物も柔らかければ食べられる。

術後29日
矯正歯科に通院。
ゴム掛けが7本に。

術後1ヶ月と20日
矯正歯科に通院。
ゴム掛けが5本に。

術後2ヶ月と19日
矯正歯科に通院。
ゴム掛けに使ってないフックをとってもらうのと、手術時に必要だった歯茎に刺さってるネジを抜いてもらう。
かなりスッキリ。

術後3ヶ月と16日
矯正歯科に通院。
ゴム掛けが1本に。

術後5ヶ月と13日
口腔外科に通院。
あんまりリハビリ頑張ってなかったので、やっと開口40mmになる。
月一の通院がなくなる。

以降はプレート除去とオトガイ形成、そしてブラケットオフに向けて治療をしていく。

まとめ

・手術の日程が決まってから入院まで、診察や貯血などでかなり頻繁に口腔外科と矯正歯科に通院することになる。(月2、3回のペース)

・退院してからも、口が40mm開くまで月1ペースで口腔外科に通院する。

・手術説明では平均10日の入院という話だったが、私の場合は入院から退院まで11日だった。退院の許可は割と唐突に出るが、どうなるか分からない部分はあるので、余裕を持って入院から社会復帰まで2週間ほどは休みが必要かなと思った。

・術後4日の朝ぐらいまでは「呼吸しにくい」「眠れない」「食べられない」でかなり辛い。5日でかなり回復する。

・術前に半永久的に残るかもしれないリスクとして説明されていた麻痺は、時間はかかったものの気付いたら治っていた。主治医が「麻痺がなくなるかは年齢と体質による」と言っていたので、運が良い方だったのかもしれない。

・幸いなことに私は特に後遺症もなく回復できたが、全身麻酔を伴う大掛かりな手術である以上、麻痺が残ったり、血栓が出来るなど、さまざまなリスクは起こり得る。しっかり調べて、お医者さんに説明されるリスクまで把握した上で手術を受けよう

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