自治会役員の仕事の内容 (ルーチン、突発、プロジェクト型 )について考えてみた

世間はいざ知らず当自治会の場合、自治会役員の業務は「中身わからんし」「忙しそうだし」「よくわからん責任を取らされそうだし」などと思って受けたくない人をよく見かける。かく言う私もそうであった。
そこで、中身の見える化、そして明きらかにできた忙しいと思う部分を改善すること、さらには自治会役員各々の役割と責任の見える化と明確化によって、自治会役員を受けてくれる人が少しは増えるんじゃないか・・・と思って役員としての活動をしながらこれらに取り組んだ。この経験をもとに記事を書くことにする。

多くの場合、住民はみな仕事(家事、育児、介護、学業含む)を持つ傍ら自治会役員の業務に携わる場合が多く、ゆえにその関わり方は片手間にならざるを得ず、例えば、回覧だの会費徴収だの目先のやっつけ仕事だけ済ませて「ハイ終わり」にして、いつまでも自治会のお仕事の内容が経験者以外には曖昧なままとなってしまうケースが多いと思われる。

このようなことを避けるためにも、自治会内の業務の分析整理、文書化、共有化を必須にすべきだと考える。

また、自治会業務は私が長年携わったIT運用業務と共通する部分を感じるので、この点にも触れながら筆をすすめたいと思う。


I.自治会業務の見える化


当自治会の場合、業務内容を、①ルーチン業務、②突発業務、③プロジェクト型業務の3つに分類した。
分類方法は様々あるが、当方においては自治会役員を受けた当初に、自らがかつて企業のIT運用部門でエンジニアやオペレーターの業務を見てきた経験をベースに分類した。その後、自治会役員としての経験を通してみてもこの分類を適用できることを確信できた。

①ルーチン業務
あらかじめ知られている、定常的に発生する定型的な業務である。
当方では、月次、年次などに分けて整理した。
月次としては、回覧、役員定例会議などがあり、年次として、自治会費徴収、募金徴収、規約の見直し、年次総会およびその中での決算・予算の報告、役員交代、行政等への諸届けなどの事務手続き、などがある。
これらについては過去から引き継いだ資料と自らの経験をもとに、日々少しずつでも整理し文書化することを意識し、まとめてやろうと思うとなかなかできないので、何かのイベントのつど文書化することに尽きる。

②突発業務
元々予定していない想定外の業務をいう。
まずは発生する突発業務を記録することから始める必要がある。
記録し傾向分析することで、突発イベントと思っていたことが実は突発ではないことが判明することもある。
また、類似案件を含めた発生時の対応の事前準備ができ、さらには事前予防にもつなげることができる。
当然、記録の共有化は必須であるが、なかなか難しい。一つの案として、役員間での日々のやり取りにLINE等を活用して記録が残るようにする方法がある。

③プロジェクト型業務
これは上述の①②の業務から得た気づきや、それとは別の自治会内に存在する課題への対策に関するものである。①②による見える化の結果あらわになった課題や、事前から自治会内で認識されていた課題などをリスト化して、最低限でも自治会役員の間で共有し、優先順位をつけて対策に着手する必要がある。

II.見える化を受けた上での改善活動

業務を整理分析し見える化を実施して初めて改善活動に結びつけることができる。

①ルーチン業務
いずれの業務にも共通の事柄として、手順を文書化し役員間で共有することは必須であり、LINE、ことに、役員全員が参加するグループLINEを用いると迅速かつ効率的な情報共有が可能である。また円滑な役員交代時のためにも文書は必須であり、可能ならば紙媒体ではなく電子媒体で残すほうが後の検索のしやすさを考えて見ても適切と思われる。
また、仕上げとして各業務、各手順のリスト化というかカタログ化して1箇所に集約しておくことも必要である。(せっかく作成した文書の在処がバラバラなのも問題である。)

回覧について言うと、当方のように1000世帯弱の世帯数を持つ自治会の場合、紙の回覧に関して言えば、目次の作成、事前の枚数確認、仕分け、班長さんへの配布、回覧中または回覧後の問い合わせ対応など、非常な手間がかかる。これを特定の役員のみに担わせた場合、ストレスや不満が溜まり、いざこざ頻発や、果ては自治会退会などトラブルのもとになるので、負荷分散のために他の役員にも交代できるようにする必要がある。そのためにも手順の文書化と共有などの工夫が必要である。
そもそも電子化(DX化)すれば、問い合わせ対応を除き、このような手間の多くの部分がなくなる。しかし、日頃の住民からの感触からして紙の回覧の廃止にはまだ抵抗感が多い。今は、将来を見据えて現状では紙媒体と電子媒体を並行して回覧しているが、住民全体にも電子媒体に少しずつ慣れて頂き、紙媒体の割合を減らしていく必要があると考えている。

役員の定例会議については、伝達事項を先述のグループLINEでつど伝えておけば、実際の皆で集まってFace to Faceで行う会議の時間短縮になり、そこでは議事録に残すべき重要なことの話し合いのみに集中できるメリットがある。

年次のうち、募金徴収については、自治会からの依頼による募金の場合、近所の世帯の募金額が見えてしまい、周囲の目が気になってやむをえず募金をしてしまうケースもある。しかし、そもそも募金は任意であるし、たとえば日赤募金や赤い羽根共同募金はあえて自治会を通さずとも、今時だと例えば各自のスマホでの処理で直接各世帯から実施可能である。このことを自治会全体に周知しつつ自治会経由での取り扱いを減らすことも役員負荷軽減のためには必要だと考える。

②突発業務
突発業務の例として、例えば、害獣(ニホンザルなど)出没がある。記録が残っていなければ新たに転入して役員になった人はそのリスクを認識できないままになってしまう可能性があり、ある日突然サルに遭遇すれば突発事態と思ってあたふたすることになる。しかし記録があれば認識共有は容易になり、記録から出没しやすい時刻や場所が想定でき対処がしやすくなるメリットが出る。記録の方法として先述のようにLINEを使うことで容易に記録を残す事ができる。

③プロジェクト型業務
プロジェクトを効率的に進めるためのメソッドが各ビジネス業界で培われており、それらの活用が可能であると考える。自治会には様々な業界で働いた経験を持つ人々が住んでおり、その経験を自治会活動に転用すれば良いと考える。IT業界での経験をもつ自分の場合、IT開発運用プロジェクトで使われる手法を使用することで効率的かつ周囲に見える形で進捗できた。

III.役割と責任の見える化

会長、会計、班長はあちこちの自治会や町内会で耳にする役職である。役職があまり分化されず役員数が少ないうちは役職間のギャップによる仕事や責任の漏れの発生は少ないが、少人数ゆえに各役員の作業負荷がオーバーフローするので、例えば副会長、顧問、特命役員などと役職を増やし、合わせて役員数も増やしていくことになる。そうなればなるほど各役員の職掌、作業や責任の範囲を一層明確にすべきである。そのためにも役割と責任(Roles and Responsibilities)の定義を役員全体が理解できるように明確化して、各役員に確実に割り振る必要がある。
「役割と責任」については、インターネット全体はともかく、note内にも適切な説明を行なっている記事がいくつかあるので検索して参考にして頂きたい。
たかが自治会なので何もそこまで四角四面なことをしなくても良いではないかという意見を受け入れてしまうと、いざ鎌倉の際、お互いに仕事と責任の擦り合いになり、自治会運営が滞り、各役員の苦労やストレスが積み重なり、結果的に「役員は大変な仕事」と言う認識が自治会全体に広まり、役員が敬遠され成り手がいなくなる負のループに陥ることを肝に銘じておく必要がある。
とはいえ、自治会内の住民は、会社の社員のようにある程度同じような能力や志向の人が集まっている、あるいは、粒が揃っているということはあり得ず、いろんな事情や能力を持つ人々の集まりなので、役割と責任を過度に硬直的に定義して割り振れないことも考慮せざるを得ない点である。

IV.まとめ

自治会業務見える化により自分の業務範囲・内容が明確になり改善ポイントが明確になり改善作業ができた。また、まとめた資料をもとに役員交代に向けた引き継ぎ作業がスムーズにできている。役割と責任については、厳密すぎず緩すぎない定義と運用を行いながら、今後の役員交代などを好機にして良くしていく必要がある。

V.終わりに

以上、自治会役員の体験をもとに備忘がてらにまとめてみた。
自治会の業務内容の整理や見える化の参考になれば幸いである。