2021年の影霊衣
はじめに
はじめまして。くまねこぱすた。と申します。
発売当初からイラストの良さと特徴的な効果に惹かれ、影霊衣というテーマで遊ばせていただいているものです。今回は、これまで私が使ってきた中で得たものやこれからの影霊衣について少しばかり形に残したいと思い、投稿するに至りました。参考になるかはわかりませんが読んでいただけると嬉しいです。
影霊衣というテーマについて
2014年に発売された「ブースターSP-トライブ・フォース-」にて初収録。それまでも「終焉の王デミス」や「リチュア」などを活用したデッキが結果を残すようなことはあったものの、当時としてはかなりのパワーを持ったテーマとして注目を集めました。EXデッキへのメタとしての役割は非常に画期的であるとともに、手札効果によるサーチ能力の高さが強さの要因と考えられます。
※今回は、1枚ずつのカード解説は省略させていただきます。
今環境における影霊衣
2021年10月改訂の現環境において、目立つのは「勇者」と「DーHERO デストロイフェニックスガイ」という2つの出張ギミックです。非常に多くのデッキがこれらのデッキを採用しており、対策は必須といえるでしょう。
まず「勇者」については、召喚権を使うことなくライダーによる最低限の妨害の確保やリンク数を用意する能力は厄介ではありますが、影霊衣にとって最も厄介なのは彼らが「トークン」であるということです。そのため、後手からの勇者ギミックについては厳しいと言わざるを得ません。
次に「DーHERO デストロイフェニックスガイ」についてですが、はっきり言って最悪であると言わざるを得ません。儀式テーマという性質上モンスター1体の重みがあるため、そこをつぶされてしまうと痛手となります。また、墓地から復活した際にはEXメタの対象外となるため、どうしてもトリシューラ頼みとなってしまいます。
その他にも、「禁じられた一滴」の流行などもあるため、先行1ターン目でのユニコールやクラウソラスの強みは活かしきれないと考えられます。過去の環境においても、後手を選択し、トリシューラの影霊衣をはじめとする捲り札で勝つというデッキも少なくありませんでしたが、現代遊戯王の先行盤面に対しては力不足な印象を受けます。
環境で戦える影霊衣を考える
では、影霊衣が環境で戦うには何をすればよいのでしょうか。私自身、様々なテーマやカードとの組み合わせを考え、構築に励んできたと自負しています。ここではいくつかの例を挙げ、それぞれの強みと弱みについて考えていくこととします。
純構築
長所 安定性、自由枠の多さ
短所 先行盤面の弱さ、手数の少なさ
教導型
長所 罠での妨害、打点形成力、
短所 自由枠の少なさ、事故率の上昇
展開型
長所 先行盤面の強さ、ハリセレーネアクセスによる後手の捲り
短所 素引きによる事故、全体的なデッキパワーの低下
罠型
長所 罠での妨害が可能、永続罠による詰みを作れる
短所 事故率の上昇、息切れのしやすさ
魔神儀型
長所 安定性、テーマ外儀式等の採用、手数の多さ
短所 自由枠の少なさ、EXの使い辛さ
その他にも、ウィッチクラフトなどの他テーマとの混ぜ物もありますが、私自身が最近触ったものを紹介させていただきました。純構築に近づけるほど安定性は向上しますが、古いテーマであることからパワー負けしやすくなってしまいます。そのため、安定性とパワーのバランスを考えながら構築をすることが求められます。
安定性を語るうえで重要視されるのが壺系魔法の採用ですが、「金満で謙虚な壺」は無理なく採用することができます。「強欲で金満な壺」については非常に強力ですが、型を選ぶので注意が必要です。
先述した出張パーツの流行、またその対策として、「禁じられた一滴」の採用が増えるなど形成された盤面を処理するカードへの意識が高まっていることため、「ユニコールの影霊衣」を立てて守るという従来の戦術は必ずしも効果的ではないと考えられます。同時に、展開型を使用する場合にも、モンスターによる妨害に集中することもできる限り避けなければなりません。このことから、様々な種類の妨害手段もしくはその他の勝敗に直結するようなギミックの採用が求められます。
構築する上での難しさ
影霊衣というテーマについて、よく「サーチが豊富で安定している」という話を聞いたことがありませんか?事実、ブリューナクの影霊衣やクラウソラスの影霊衣が召喚権を行使せずに幅広いサーチをすることができるため、その点を見れば安定しているといえるでしょう。しかし、儀式召喚という根本が構築における一番の課題であるのです。
儀式召喚を行うためには①召喚するモンスター②儀式魔法③儀式召喚に使用する素材の三つの要素が求められます。そのため基本の消費枚数は3枚ですが、影霊衣は素材をEXや墓地から指定したり、墓地から儀式召喚することが可能であるため2枚の消費で行うことができます。また、虹光の宣告者やシュリットを素材にすることで、実質1枚の消費ともなります。しかし、1枚の手札から先行盤面を形成することが当たり前の現代遊戯王において、それを長所というには不十分でしょう。また、メインデッキの枠を圧迫するという点においては、致命的な欠点ともいえます。
構築のおけるもう一つの難しさは、「ユニコールの影霊衣」の存在です。ユニコールの影霊衣は、影霊衣を代表するモンスターであり、場に存在する限りフィールド上のEXから出たモンスターの効果を無効化するモンスターです。その強力な効果から、制限カードであった時代もありました。基本的には主力となり得るモンスターですが、この効果は自身のモンスターにも及ぶため、盤面形成の邪魔になってしまうことも多々あります。もちろん、ユニコールを素材としてハリファイバーにつなげるなどの展開方法もありますが、誘発を踏むリスク等を考慮すると、必ずしも得策とは言えません。このカードの存在が影霊衣の魅力でもあり、構築を凝り固まったものにしてしまう要因ともいえるのです。
これまでの内容を踏まえて
これまでの内容から、現環境において私自身が戦えると考えているのは「魔神儀型」です。
理由は以下の通りとなっています。
魔神儀型を選ぶ理由
・強欲で金満な壺の採用のしやすさ
・テーマ外の儀式(カオスMAX等)の採用ができる
・継続的なリソースの確保
・轟雷帝ザボルグのパワー
・ユニコール+アラドヴァルの盤面の作りやすさ
安定感や継戦能力については言うまでもないと考えています。また、「ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン」の存在は大きく、現環境においても力のあるカードとなっています。「轟雷帝ザボルグ」については、先述した通り「無限泡影」に比べて「禁じられた一滴」の採用が増えていることから、以前より通りやすくなっていると考え、採用を考えています。欠点として、メインデッキの自由枠の無さがあげられ、手札誘発に割く余裕がありません。今回の仮組みしている構築では、圧倒的な範囲の広さと重くなってしまう「増殖する G」への対策として「灰流うらら」を採用しています。また、「三戦の才」を採用していることについては、フィールドの魔神儀効果に無効をあてられた場合の札としての役割を期待しており、轟雷帝を通すための札としても運用したいと考えています。
「轟雷帝ザボルグ」の効果は自分及び相手のEXからカードを8枚墓地に送るものであり、相手には選択肢を消す妨害、こちらにはサーチや盤面処理を与えてくれるパワーカードです。魔神儀型を選ぶ一番の理由であり、影霊衣が環境で戦うためにはこのカードの力を借りる必要があると考えました。
先行盤面の強さやワンキルを狙うのではなく、魔神儀によるリソース管理を意識して立ち回り、トリシューラやカオスMAX、轟雷帝での勝利を目指します。どうしてもトリシューラだよりになりがちな影霊衣にとって勝ち筋が複数存在することは重要であるとともに、勅命下でも機能するパワーカードの存在は大きいと感じます。
最後に
今回は初めての投稿ということで、影霊衣というデッキの解説や構築について、その概要のみを書かせていただきました。一人でも多くの目に触れ、一人でも多くの影霊衣ユーザーが増えることを願っております。今後、影霊衣についてもう少し細かい話なども投稿したいと思いますので、その際はご一読いただけると幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました。