おれは「雪国まい」の再上場を歓迎するが、そんなことより、ホンシメジのフォルムに完全に魅了された。(ネットサーフィン記2020/8/17)
おれは先日、トゥイッターでこの話をしていたのだが、すっかりまとめるを忘れていた。そういうこともある。
「雪国まい」復活なるか。
「雪国まい」の萌えキャラめいた銘柄略称で知られた雪国まいたけ。粉飾事件などもあり、2015年にベインが買い取って非上場化していたが、この度9月17日の再上場が決定。また略称が「雪国まい」になるのかどうか、一部熱狂的な「雪国まい」ファンの注目を集めている。
(Ⅰの部より)
雪国まいの生産品目では、もちろんマイタケが主力で、おおよそ全生産量の半分弱がマイタケである。次に多いのが「ブナシメジ」でだいたい3割。それにエリンギが続く。
ここで重要なのは、雪国まいがかわいい名前に見えてしょうがないことではない。我が国のホンシメジ生産のおよそ99%を雪国まいが占めているということだ。なにせ、人工栽培が非常に難しく、ほぼ天然ものしかないため、あまり流通していないらしい。
ホンシメジの人工栽培は、もともとはタカラバイオから買収した事業なのだが、要するに、現在、事実上雪国まいがホンシメジのリーディングカンパニーであるということだ。「匂いマツタケ、味シメジ」とも言われる場合の「シメジ」が本来はこのホンシメジのことではないかという話だ。
なんというかこの丸いフォルムが、これ絶対うまいやつと五感を刺激してくる。たぶん、形はあまり関係ないが、それは別にいいだろう。食べたことはおそらく無いような気がする。
キノコ業界ではこの伝説の「シメジ」をかたるのが横行していたらしく、現在の「ブナシメジ」は1991年に林野庁に禁止されるまでは、ホンシメジを名乗っていた。われわれがシメジと言われたときに、ブナシメジをイメージしがちなのは、おおよそこのせいであろう。
その他にも、ヒラタケもシメジ、ツクリシメジ、味シメジ、信州シメジなどを名乗っていたようだが、そもそもキシメジ科のキノコですらない。
写真を見れば見るほどうまそうである。ぜひ一度食べてみたい。なお、こんなに丸いのは菌床栽培品だけであって、天然物はこうではないという話である。
もしかすると、天然物には劣るのかも知れないが、伝説のキノコですらテクノロジーの進歩が栽培を可能にした。おれはたぶん天然物を食べることが一生ないだろうから別に気にしないが、味もいずれ天然レベルにクオリティアップしてくるに違いない。キノコ栽培は、バイオテクノロジーであってサイエンスだ。要するに、合成肉みたいなものだから、未来を愛する者として食さないわけにはいかないのだ。
ちなみに、おれは勇んでそんなホンシメジのすばらしさを家族に説いてみたが、ブナシメジで十分うまいだろうが、と一蹴される結果となった。まあ、それも一つの真理なのかも知れない。確かに、家族が作るシメジの料理はうまい。それがブナシメジであっても、おれにとっては十二分なものだということは決して忘れていないのである。