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おれには電力トークンが切手ばりにコレクションされる未来が見える
わりと仕事用のメモ
電力生産者の見える時代、P2Pとブロックチェーン
■「みんな電力」なるいかにも育ちの良さそうな電力小売事業者が、ブロックチェーン技術を用いたP2P電力サービスとして「アーティスト電力」を開始。いとうせいこう発電所の電気の販売を開始した。
■電力というは知ってのとおり、誰が作ったかは本来関係ない。発電所で作られた電気は、送電網に接続され、どこかで消費される。電気は本質的に代替可能物(物?)である。再生可能エネルギーを買っているというのは、実際には気持ちの問題であって、使っている電気がどこで発電されたものとかそういうのは基本的にない。アーティスト電力も同様である。
■こういう、発電所が一箇所で、一つの小売事業者から電力を買うというスタイルであれば、本来ブロックチェーンによらず、中央集権的な台帳での管理でいいはずだが、そこは実験的な試みなのだろう。単純にバズりやすいみたいなことなのかもしれない。こういう、何かをしている気にさせるというストーリー消費的なものの売り方は、昨今流行りの手法ではあるので、なるほどそういう売り方もあったかと感心するところではある。
■アーティストと紐づけたトークンを発行するのは、まさに三河屋のコーラの王冠的であり「間違いなくおれは買ったぞ」的な証明も出るのであれば、ソーシャルネットワーク的なものでも自慢アイテムとして機能するかもしれない。できる事なら、それが転売できたりするような、多少行き過ぎた未来にまで行って欲しいものである。ていうか、割と普通に、著名人を紐づけるのであれば、トークンを転売するマーケットを用意しない手はないと思うんだけどな。
■電力トークン市場はいいかもしれない。発電事業者は、電力をトークン化して、電力トークン市場に売り出す。需要家は、そのトークンを使用した電気に対応させ、決済する。電力は今のところあまり貯蓄できないが、電力トークンは貯蓄できるのがミソである。電気が安い時にトークンを買いだめしておいて、電気が高い時には供給された電気の量に応じた手持ちのトークンで支払う、みたいなことができる。収集家は、誰かが作った特別なトークンを集めたり、コレクションしたり売買して遊ぶ。なんか、適当に言ってみたけど案外楽しそうだな。もちろん、排出権取引的なことにも使えるだろう。もしかしたら、先日のJEPX価格高騰問題みたいなものを緩和する事にも役立つかもしれない。
■電力トークンの話はさておき、将来的にブロックチェーンが威力を発揮するのは、P2P電力取引が広まった世界であろうと言われている。簡単に言えば、屋根置きの太陽光で発電した電気を隣の家に売る、みたいな話だ。確かに、なんとなくブロックチェーンと相性がよさそうな感じはある。どうしてもブロックチェーンでないといけないということはないような気もするが、確かにシステムは止まらなさそうだし、性質的に台帳が堅牢であるという安心感もあろう。なんとかコインのように、純粋にパブリックなものにするのは、少々無駄な気もしなくもないが、暗号通貨での決済システムと組み合わせるなど、色々便利そうなことが考えられる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの資料
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2019/04/seiken_190422.pdf
■しかし、台帳の便利さはともかくとして、大事なのは、むしろ電力メーターの不正が行われない事なんじゃないだろうか。スマートメーター的なものをどう堅牢にしていくか、というところはまだまだ追及の余地がありそうである。
■電力に特徴的な問題としては、電源が分散し、かつ自然エネルギーのような出力制御が難しい電源が増加した場合、電圧や周波数を維持することが難しいことがある。このような問題に対処するためにずっと前から研究が進められているのがいわゆるスマートグリッドである。要するに、リアルタイムに変動する需要に合わせて、供給をコントロールするためには、コンピュータ制御をより徹底しないといけない、といったような話だと理解している。
■そのために欠かせないのは、電力の需給状況をリアルタイムで把握するシステムであるが、平たくいうとメーターを高性能にするということである。今は30分毎に検針しているようだが、次世代メーターでは15分毎にするらしい。現行スマートメーターは2024年までに完全転換を目指しているようで、次世代はそれ以降となる。
METIの次世代スマートメーターの資料
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/jisedai_smart_meter/pdf/005_04_00.pdf
■いかに電力をトークン化することができたとしても、肝心の電力が相変わらず、需要量をリアルタイムで供給する仕組みによっているようだとしょうがない。つまり、誰からどんな電力を買おうとも、電気を使う権利を持っていようとも、停電してしまったり、電気が物理的に足りなくなったりするととなんの役にも立たない。結局高性能な蓄電池は必ず必要になるだろう。
全固体電池の研究
バイポーラ型鉛蓄電池とか全樹脂電池とか
■しかし、ブロックチェーン技術の応用が進んでいくと、結局膨大な計算量が必要となっていくわけで、それはそれで、電気食いそうだよなー、と。
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