おれはDNAワクチンとかインドの話をしようと思ったが、気がついたら脱線して少々違う話になっていた。
インドでDNAワクチンが緊急承認される
もはや人口の7割が抗体をもっているとも言われるが、20日、インド規制当局は、ザイダス・カディラなるジェネリックメーカーが開発した、DNAワクチン、「ザイコブD」を承認した。
「なんたらD」というネーミングは、奇しくも我々にとって馴染みがあるため、なんとなく、崖から落ちそうとかそういう、タフなコンディションでも戦える力が手に入りそうに思えてくる。なお、1発ではなく3発必要らしい。しかも、注射じゃなくてなんか細かいやつを噴射して皮下に薬剤を届けるみたいなことを言ってる。
効き目のほどはというと、どうやら66%ほどの有効性が中間試験で示されたみたいなことらしい。
DNAワクチンは、以前から比較的高温(2~8℃)で保存が可能であると言われていて、カディラ社の安定性試験では、25℃でも3カ月は持ったとか言われている。
DNAワクチンは、(大阪のあれは置いとくとしても)オーストラリアでも研究されていて、こちらも、ニードルフリーのインジェクションを用いるようだ。
こういうものらしい。
なんでこういうものが出てきたかというと、ウッカリ注射針が刺さると怪我をしたり、病気をもらったりしてしまうし、みたいな、言われてみると、もの凄い普通の理由だった。まあ、確かにそうだな。捨てられた注射針から病気になることもある。5億本も捨てられているようだ。エコじゃないな。
DNAワクチンに話を戻すと、他にも臨床試験が進んでいる候補はあるようだ。
INOVIO INO-4800
とっかかりはわりと早かったようだが、ロイターが言うには、ワクチンを核内にデリバリーするデバイスがどうなの?という話になって、後れを取ってしまったのだとか。
どうやら、INOVIO社の売りは、特殊なデバイスを用いて、プラスミドを細胞内に送り込むところにある模様。そういえば、DNAワクチンはプラスミドを送り込むのが大変とか言う話がさっきのBBCに書いてあった。
ちなみに、なにげに原薬はカネカが製造しているらしい。
昨今話題のmRNAの製造においてもプラスミドDNAが用いられるが、日本ではその製造技術をAGCやカネカが保有している。
そして、ファイザーのmRNAワクチンの鋳型となるプラスミドDNAはAGCが製造している。
モデルナへのpDNAの供給は、アルデブロン(Aldevron)が行っているようだ。
ちなみに、このアルデブロン社は非公開企業だったらしく、96億ドルで最近ダナハーがお買い上げした模様。1兆円ですよ1兆円。
ダナハーという会社は一風変わった投資会社で、DBS(ダナハー・ビジネス・システム)なる経営手法を用いて、お買い上げした事業をひたすら育てあげるというやりかたで、現在は時価総2300億ドルほどの大企業となっている。世界時価総額でいうと40位ぐらいだ。
創業者のレイルズ兄弟は、1980年代に不動産屋を始めたが、経営状態の悪い製造業をいくつか買って、手を入れると儲けがでたことから、この方が儲かると気づき、以降、M&Aとカイゼンでひたすら成長していったという。
DBSが誕生したきっかけは、1988年頃に買収した、ディーゼルトラック用ブレーキを製造していた会社にあるらしい。この会社は、製造の効率化のために、TPSのセンセイであった岩田氏と中尾氏を招いて教えを受けた結果、効率的な生産を成し遂げており、そこから学んだのだとか。
https://www.strategyand.pwc.com/jp/ja/publications/periodical/strategyand-foresight-11/sf11-04.pdf
なお、モデルナ社は、2021年秋から2022年初めにかけて2つの生産ラインを追加、ワクチンの年間生産量を3倍の30億本に引き上げる計画。かつては70億ドルほどだった時価総額は、今や1500億ドルである。
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